合議制
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合議制(ごうぎせい)とは、組織内における意思決定の権限が、複数の人物の合議体に付与される事を建前とする制度をいう。
独任制の対概念である。
合議制の機関は、その権限の範囲内の意思決定については、その組織内の他の機関から指揮監督を受けないのが一般である。
これは、合議制は合議体による意思決定である事それ自体によって、判断の慎重さや公正さ、民主的正統性が担保されると考えられているからである。 しかし、少人数で行われる場合、この制度の下では合議の構成員の中で権力を集中させるものが出現する可能性があり、独裁制に陥ることがある。また、そうした人物が出てこなくても、合議政権が弱体であれば社会の混乱を招き、政権転覆を狙うものも出てくる。
なお、行政機関においては、国家公安委員会(警察法5条1項)や公正取引委員会(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律27条の2第1項、28条)などが合議制を採用している。
[編集] 合議制の例
- 古代ローマ三頭政治:ローマの有力軍閥による合議であったが、第一回のときはカエサル、第二回のときはアウグストゥスによる権力掌握によって独裁制に入った。
- 初期の鎌倉幕府(評定衆):有力御家人による合議制であったが、北条氏の勢力が強大化し、敵対勢力は放逐され、執権独裁(得宗専制政治)に陥る。
- 秀吉死後の豊臣政権:五大老による合議。大老の一人徳川家康の勢力が増大し、主家豊臣氏を凌駕するようになった。
- 総裁政府:フランス第一共和政期における五人の総裁による合議制。総裁一人一人の権限が小さく弱体であったためバブーフらの国家転覆未遂事件が起こった。
- 統領政府:三人の頭領による合議でメンバーに優先順位を付し、頭領の権限を拡大した。しかし、事実上第一頭領であったナポレオン・ボナパルトの独裁であった。
- 国際連合(安全保障理事会):事実上常任理事国の五大国による合議制