命名
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命名(めいめい、naming)とは、人、物、商品、土地、時代、気候、ほか概念化可能な対象一般に対して、それを他から区別し、指示できるようにする為に、一意的な記号(一般に言葉、文字)を与える行為である。
一般に命名は無名の対象に名前をつける行為を指し、既に名前がある対象に名前をつけなおす場合は、改名と呼ばれることが多い。またすでに誰かが使用している人名を、他の誰かが引き継ぐ場合は襲名と呼ばれる。命名は「正式名称を決定する」という厳格な行為を指すのに使われることが多く、略称、愛称、蔑称などを新しく作り出しても、命名行為と呼ばれることはあまりない。 さらに正式な命名権者による命名の過程を経ずに生まれた名称が広く使用されていて、かつ公的にその名称を正式名称とする判断がまだなされていない場合、そのような名称は通称または俗称と呼ばれるが(それが社会の中の一部の集団にしか理解できない場合であれば隠語と呼ばれる)、このような名称を新しく作り出すこともまた命名行為とは言わない。
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[編集] 命名規則
名前を付ける対象が膨大な数にのぼる場合、または名前によって対象を厳密に管理したい場合など、いくつかの分野においては 名前を付けるさいに従うべき規則(命名規則、nomenclature)が存在している。以下にその一例を示す。
- 軍用機 - 各国の軍隊や航空機メーカーなどが、軍用機に対して命名する際の一定の規則。詳しくは記事:軍用機の命名規則を参照のこと。
- ミサイル・ロケット - 各国の軍隊や政府機関が、ミサイルやロケットに対して命名する際の一定の規則。アメリカ軍の命名規則についての詳細は記事:ミサイル・ロケットの命名規則を参照のこと。
- 軍用電子機器 - 各国の軍隊が、軍用電子機器に対して命名する際の一定の規則。アメリカ軍の命名規則についての詳細は記事:軍用電子機器の命名規則を参照のこと。
- 商品 - 大企業では、取り扱っている商品が膨大な数にのぼるため、混乱を避ける目的で一定の規則に従った管理名を付与していることが多い。ここでは一例として自動車メーカートヨタがエンジンの型式に対して用いている、エンジン型式の命名規則を挙げておく。
- 化合物 - 2006年4月現在、確認されている化合物の種類は2780万種類に上る。これら全ての化合物に対して、重複しないように名前を付けておかないと、混乱が生じることから、化合物の命名にさいしては一定の命名規則が存在する。詳しくは記事:IUPAC命名法・CAS登録番号を参照のこと。
- 生物種 - 2006年現在、確認されている生物種の数は200万に上る。未確認のものまで含めると全体で1000万種近い生物が存在すると考えられている。命名規則の詳細については記事:学名を参照のこと。
- 天体 - 2006年現在、確認されている天体の数は10億を超える。これら天体に対する命名規則の詳細については、記事:国際天文学連合を参照のこと。
[編集] ビジネスにおける命名
ビジネスの世界では、ブランド名や商品名の違いだけで売り上げが大きく異なってくるという事があり、 そのため命名という行為は商行為の一環として重視される。また法的にもその名前は保護される。 詳しくは商標、コーポレートアイデンティティ、ブランド等を参照。
[編集] ネーミング戦略
ビジネスの世界での命名は、名前の持つ「印象」や「覚えやすさ」などの点が重視され、最終的に商業上もっとも有利と思われる名前を選択する。これをネーミング戦略と言い、次のような事を考慮する。
- ○ッ○ン○ー
- 二重綴り - 靴のことを「くく」、車のことを「ぶーぶー」というところから、子供向けの商品名に使われる。「コロコロコミック」など。
- ~ラ - 「ゴジラ」から派生し、怪獣の名前に使用された。
[編集] 子音によるネーミング術
- K(か行)
- 速い、骨っぽいイメージ。
- G(が行)
- N(な行)
- 家庭的なイメージ。
- F(ふ、ふぁ行)
- 優雅なイメージ。
- B(ば行)
- 醜い、汚いイメージ。
- P(ぱ行)
- かわいらしく親しみやすいイメージ。例に、グリコの「パピコ」はそれを理由として、とくに言葉自体の意味はない。昔の女の子向け魔法少女アニメの呪文にも多用される。ほかには「ペコちゃん」など。ペ・ヨンジュンが日本で人気を得たのも起因ではないかとされる。もし「べ」と呼ばれていたなら韓流ブームはなかったといってもいい[要出典]。
[編集] 省略形風のカナ4文字
1998年頃から若者向けフィクション作品を中心に「何かの省略形に見えるカナ4文字」のタイトルが多数誕生した。それ以降もこの流れは続いており、一過性の流行ではなく、一つのフォーマットとして定着したと見られる。日本語では単語の頭を取って4音に省略する伝統が元々あるが、このネーミング法では省略形の方が正式なタイトルであり、省略前のフレーズは必ずしも明示されてない場合が多い。
省略形に留まらず、「ぱにぽに」のように音感重視で意味を排除したタイトルや、「シグルイ」のように何の省略も無いそのままのタイトルも出てきている。ただしカナ4文字というだけなら「ばるぼら」、「のらくろ」のように先例は存在する。
- メリット(省略形風であることによる)
- 元のフレーズや意味を推測させることで興味を引く
- 既存の言葉の組み合わせで、既存作品と被らないオリジナルなタイトルを新たに考案できる
- メリット(カナ4文字であることによる)
- 4音と短いため人口に膾炙しやすく、キーボードからの入力も容易
- 文字数が少ないため、限られた面積をいっぱいに利用できる
- カナなので、文字の大きさに比して漢字よりも視認性が高い
- 文字を空間の中で大胆に配置したり、タイトルロゴにおいて文字を加工しやすいといったデザイン性に優れる
- デメリット
[編集] 命名に際しての精神の働き
名前を付けるとは、それをどう呼ぶことにするかという行為で、それがどのように見えるかという感性・感受性による部分と、それをどう認識するかという発想・思想による部分(知性)とがある。感性・感受性と知性の間には、それがどんなもの(である)かを把握しようとする想像力がある。
感性・感受性 | 想像力 | 知性 |
受動 ← 精神の働き → 能動 |
[編集] 関連項目
[編集] 参照著作
- 『ユニークな日本人』 グレゴリー・クラーク著 講談社現代新書 1979年 ISBN 4061455605
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