大杉谷
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大杉谷(おおすぎだに)は、三重県多気郡大台町の宮川上流、吉野熊野国立公園内にある渓谷。
近畿の秘境とも呼ばれ、黒部峡谷、清津渓谷とともに日本三大渓谷の一つにあげられている。ほとんど手付かずの自然と数多くの滝、渓谷の巨石で著名である。
大杉谷へは宮川第3発電所と大台ケ原を結ぶ登山道を歩くしかない。途中、大台ケ原山麓に1本だけ交差する林道(大台林道;一般車通行禁止)があるが、宮川沿いには登山道があるのみである。 登山道(特に宮川沿い)はアップダウンが激しく急峻な断崖にあり狭く危険であるので、十分な装備と慎重な行動が要求される。 事実、毎年数名の転落死亡者が発生している。 登山道は、1500m程度の高低差があるため、大台ケ原から下る行程を選ぶ人が多いが、登る行程のほうが安全である。 第三発電所から3kmほどの千尋の滝までなら比較的安全で、ある程度秘境の雰囲気を味わえるが、登山装備は必要で油断は禁物である。
2004年の水害で、宮川沿いの登山道は2006年現在通行不能である。(大台ケ原から大台林道までは可能。)
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[編集] 登山道概要
- 大台ケ原駐車場(ここから日出ヶ岳まではハイキングコース並)
- 日出ヶ岳:大台ケ原最高峰、天気がよければ眼下に太平洋(熊野灘)が広がる。
- 粟谷小屋:交差する大台林道沿いにある。
- 堂倉避難小屋:交差する大台林道沿いにある。
- 堂倉滝:落差18m
- 与八郎滝:2段、落差40m
- 隠滝:落差15m
- 光滝:落差40m
- 七ツ釜滝:7段、落差120m、日本の滝百選
- 桃の木山の家:最大収容人員500名
- 平等嵓
- ニコニコ滝:2段、落差50m
- シシ渕
- 千尋滝:落差約180m
- 宮川第三発電所:東側の起終点。
[編集] 所要時間
- 日出ヶ岳 - 桃の木山の家:約6時間
- 桃の木山の家 - 第三発電所:約4時間半
登山道中に野宿に適した場所は非常に少なく、大杉谷のほぼ中央に位置する桃の木山の家宿泊以外の行程は不可能に近い。 また、よほどの足の速いものでない限り、大台ケ原(もしくは粟谷小屋か堂倉避難小屋)でも1泊する必要がある。
[編集] アクセス
- 奈良県側
- 三重県側
(注)自動車利用は、タクシーなど送迎のみ。
[編集] 吊橋事故
1979年9月15日 登山サークル一行(ほとんどが初心者)52名が、老朽化した吊橋を「通行は一人ずつ」との警告板を無視し10人ずつ渡った結果、ケーブル2本のうち1本が切断し1名が墜落死亡1名が重症を負った事故。 当該サークルは、1泊2日で行程を組んでいたため、当該吊橋で待たされると日没までに山の家に到着しなくなることを恐れ、前に渡っている登山客が制止するにもかかわらず通行した。
本事故に関するサークルリーダーの刑事責任は不問とされた。
遺族は、三重県と国に対し、国家賠償訴訟を神戸地裁に起こした。 神戸地裁は、三重県には吊橋の管理に瑕疵があり、国には吊橋の設置管理費用負担者の責任がある、一方死亡者にも警告板を無視した過失があるとして3割を減額した賠償を命じた判決を下した。
本判決に原告・被告とも控訴した。 特に被告側は、裁判官が被告側の要求する現地検証を拒否し、登山道を「ハイキングコースであり、スカートやヒールでの登山客もいる。」と認定するなど大きな事実誤認をしたと主張した。 控訴審では、被告側の主張を一部入れ、死亡者の過失割合を4割に増やした。 被告の上告を受けた最高裁では、国を費用負担者と認定せず、三重県には上告棄却(敗訴)、国には原審破棄(勝訴)の判決を下した。
本件を契機として、環境庁は登山道の安全に神経を尖らせ、多くの登山道が通行禁止となり、自然保護団体からは自然破壊と評されるほどの登山道整備を行った。 本登山道も、岩盤に発破をかけるまでの自然に負荷を掛ける方法で登山道を整備しなおし、1983年に再開された。
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 日本の谷 | 三重県の建築物・観光名所