大越孝太郎
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大越 孝太郎(おおごし こうたろう、1967年4月24日 - )は、日本の漫画家。神奈川県横浜市出身。1986年、「アカグミノカチ」(『ガロ』12月号)でデビュー。 いわゆる、ガロ系作家の中でも非常に奇麗な描線、そしてエンターテイメントを意識した作風が氏の特徴である。氏の全ての作品におけるテーマは「猟奇」。
ちなみに「大越孝太郎」とは本名で、本人が答えているインタヴューによれば、ガロ編集部は投稿した作品を掲載するという前連絡を氏にせず、突然氏のもとへ掲載されたガロを送ってきたらしく、氏がペンネームを考え出す隙を与えなかったとのこと。
目次 |
[編集] 特徴
大越孝太郎の作品は内容、そして画風などにおいて最も影響を受けていると考えられるのは花輪和一や丸尾末広であろう。とくに内容面では両氏以外に、本人が好きな作家と公言する横溝正史や、江戸川乱歩、そして夢野久作などが得意とする怪奇、淫靡、そして猟奇などといった要素が滲み出ている。ちなみに本人が最も影響を受けたいう漫画家は西江ひろあき。
主に1話完結の読み切り形式の作品を発表しているが、長編やシリーズ物も手がけている。代表作として挙げられるのは「天国に結ぶ戀」。 07年4月に4年ぶりの単行本で、長らく発売延期されていた「猟奇刑事マルサイ」がコアマガジンより発売された。
ちなみに実弟・大越雅彦氏は「天国に結ぶ戀」、「不思議庭園の魔物」の装幀を担当している。
[編集] 漫画家になったきっかけ
高校で美術を担当していた教師が氏の作品を見て、後にデビューの場となるガロへの投稿を薦めたのがそもそもの始まり。
教師の言われた通り投稿するものの1度目の投稿は落選。その後もう一度投稿した「アカグミノカチ」が見事採用されガロ誌上に掲載された。蛇足だが、氏は子供の頃にプラモデルの原型師になりたかったそうで、モデラーとしてもかなりの腕前を持っている。その実力のほどは単行本「月喰ウ蟲(改訂前)」や氏と交流の深いHR/HMバンド人間椅子のアルバム「踊る一寸法師」のジャケットなどで見ることが出来る。
[編集] 交流
前述したとおり、氏と人間椅子との交流は深く、人間椅子のアルバム「黄金の夜明け」と「怪人二十面相」ではジャケット画を「踊る一寸法師」では江戸川乱歩の踊る一寸法師をモチーフとしたと考えられる造形を手がけた。
また逆に、人間椅子のギタリスト和嶋慎治が「月喰ウ蟲」での解説、「猟奇刑事マルサイ」の帯文句を寄せたりしている。 あと、氏は人間椅子以外にドレミ團のアルバム「激情抄録」のジャケットも手がけている。
[編集] 単行本
- 月喰ウ蟲(青林堂、改訂版は青林工藝舍 ISBN 4883790215)※1
- フィギッシュ(青林工藝舎 ISBN 4883790398)
- 天国に結ぶ戀(青林堂 ISBN 4792603609)※2
- 不思議庭園の魔物(河出書房新社 ISBN 4309728243)
- 猟奇刑事マルサイ(コアマガジン ISBN 4862521525)
※1 )オリジナルと改訂版では収録作品などに若干相違がある。
青林堂版のみ収録 : 江戸川乱歩「妖虫」、当摩世四郎の模型講座 / 改訂版のみ収録 : メトロポリス、モチーフ
その他の主な相違点としてカバーや解説トビラのイラストが別の物になっている事、オリジナル版で「月喰ウ蟲」(91年版)のみマゼンタカラーを加えた多色刷りになっている点が挙げられる。
※2 ) 現在絶版で入手困難である。
[編集] 未完の作品
氏の作品には未完のままになっているものが幾つかある。その原因は主に掲載誌の休刊など不遇なものだが、「不思議庭園の魔物」巻末のインタヴュー及びキーワード事典などを見る限り本人はやはり完結させたいようだが、残念ながらそれは未だ叶えられていない。
- 「星にねがいを」
ガロ92年6月号にて第2話発表後、休載。その後6年のブランクを経てアックス(青林工藝舎)第2号より連載を再開するも第6話を発表し再度休載。ストーリー自体は完成されているとの事。
- 「幻想都市」
98年にガロにて第5話まで発表したが、その後休止。尤もこれはガロがこの時に一時休刊した事が大きい。
- 「天国に結ぶ戀」
ガロ02年7月号に第二部・第1話を発表したが、同年ガロが休刊した事によって休載を余儀なくされた。
- 「誘蛾灯街の標本」
04年9月創刊のサイドフリーク(三才ブックス)に掲載されるが、発売予定だった同誌第2号がとうとう発売されず事実上廃刊してしまった。掲載作品は1話完結しているが、表題に第1話と銘打っている以上連作になる予定だった筈なので一応このカテゴリで扱う。本作に関しては前述の作品のように記事等で一切言及されていない為、氏の創作活動の中でどのような位置付けになっているのかは不明である。ただ本作は長編と言うよりシリーズ物として描かれた向きがあるので、その場合は掲載誌を三誌も変えながら(註)継続した「猟奇刑事マルサイ」という前例に倣い別誌にてひっそりと再開する可能性はある。
註:「猟奇刑事マルサイ」は変玉(ワニマガジン)で初掲載、その後は秘宝KAN(ワニマガジン)、ニャン2倶楽部Z(コアマガジン)と掲載の場を移している。
[編集] 単行本未収録作品
- 86年 「アカグミノカチ」(「ガロ」掲載)
- 87年 「第三資源」「Mr.MOONLIGHT 浪人生に送るイメージ」「白雪姫物語」「惑星X」(以上「ガロ」掲載)
- 88年 「帝共乃黙示録」「S市63街区」「ウタヘ現実ノ唄ヲ・前後編」「櫻田家の嫁」「WARNING」(以上「ガロ」掲載)
- 89年 「渓 第一部」「渓 第二部 死んだ犯人」「渓 第三部 少女」「WARNING2 90's DOGMA」「WARNING3 SORRY」(以上「ガロ」掲載)
- 90年 「ベルナデッド」(「ガロ」掲載)「パンクロッカー」(「マンガ宝島」掲載)
- 92年 「星にねがいを」「星にねがいをⅡ」(以上「ガロ」掲載)「ひとにやさしく(※)」(「グランドチャンピオン」掲載)
- 94年 トオジョオミホ氏の同人誌「十三夜」に寄稿
- 98年 「幻想都市 第1~5話」(「ガロ」掲載)「星にねがいを 第3~5話」(「アックス」掲載)
- 99年 「星にねがいを 第6話」(「アックス」掲載)
- 02年 「天国に結ぶ戀 第二部第1話」「ベルナデッド(90年の物に加筆訂正)」
- 03年 「(D)と國民体操」(「九龍」掲載)
- 04年 「誘蛾灯街の標本 第1話 異形の快楽」(「サイドフリーク」掲載)
※92~93年にかけて連載、うち6話分が単行本「フィギッシュ」に収録された。