宣戦布告
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宣戦布告(せんせんふこく)は、国家間で行われる外交上の通告の一つ。開戦宣言、戦争宣言とも呼ばれる。
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[編集] 概要
相手の国との交戦状態に入ることの通告が目的というより、自国民や中立国に特定の相手国と戦争状態に入ることを知らせることが目的であることのほうが多い。従って、開戦通知を含む場合と含まない場合がある。
転じて、宣戦布告をした直後攻撃を開始するもの(宣戦布告同時攻撃)と、攻撃した後に宣戦布告をするものがある(真珠湾攻撃では、宣戦布告ののちに攻撃を開始する予定であったところが、不手際で攻撃後に宣戦布告をするという形になった)。この2つは事実上、宣戦布告の意味をなさないものとされる。
[編集] 宣戦布告がなされた後
国交が断絶されれば、戦争は開始され、戦争が開始されたことを通知する宣戦布告の前に事前警告として最後通牒が交付されることが通常である。
宣戦布告がなされると戦時国際法が適用される。戦争当事国の間の武力行使には交戦法規が適用され、第三国には中立法規が適用になる。宣戦布告の有無は戦争の正当性を左右しないが、武力行使に先立ち相手国になんら通告を行わない場合開戦に関する条約違反の責任を問われる可能性はある。
[編集] 宣戦布告の有無
宣戦布告が行われない国家間の武力衝突は事変あるいは紛争と呼ばれ、国際法上の戦争とは区別される。また「事実上の戦争」と呼ばれることもある。事変・紛争の場合、国際法上は戦争ではないので第三国に中立法規の適用はなく、第三国は紛争当事国と平時同様の外交関係を保つことが認められる。紛争当事国の一方が、なんらかの形で戦争状態にあることを布告すれば、そこから「国際法上の戦争」と認められ、第三国に対しては中立法規が適用になる。
宣戦布告の有無に関わらず、国家間の大規模な武力衝突については、その武力行使にあたって戦争法・交戦法規が適用され無法状態に陥るわけではない。この交戦法規を最近では国際人道法と呼ぶ。
[編集] 日本の憲法における宣戦布告
大日本帝国憲法は第13条で「天皇ハ戰ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ條約ヲ締結ス」と規定しており、天皇大権の一つであった。日本国憲法は第9条で戦争放棄を謳っており、当然、宣戦布告に関する規定はない。