干物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
干物(ひもの、英語 Dried fish)とは、魚などの魚介類の身を開いて干した加工食品。干すことで表面に固い膜を作り、保存性が高まり、独特の食感とそれに伴う食味が形成されている。
ご飯、味噌汁、漬物、卵焼き、海苔と並んで和食の朝食には欠かせない一品である。また全国の海辺では土産品としてよく使われている。
同じ魚介類の乾燥品としては乾物もあるが、乾物は身の一部または全てを完全乾燥させて作られている。
干物は風通しを特に重要視するため、乾燥した空気が吹き込む冬場の物が美味しいとされている。また、夏場は日光に当てると煮立ってしまい美味しさを損ねる。この為日陰干しが美味しいと言われている。
実際に天日干しと言っても1時間程度干すだけであとは影にて干す事が多い。本稿の写真では天日で干しているが、その時間も短時間で、干したあと1時間程度で直ぐに販売される。
目次 |
[編集] 干物の種類
昔からの干物である素干しは、保存性を重視し細菌類の繁殖を抑えるため、長い日数をかけて干し、かなりの水分を抜いていたが、風味が抜け身が硬くなり食感が悪くなる欠点があった。
このため最近では、軽く水分を抜くだけにとどめた生干しや一夜干しが主流である。但しこの方法は保存が効かないため、冷蔵庫での貯蔵が必要となっている。
他にはくさやのように調味液に漬けしたものを干す調味干し、塩漬けにしたものを干す塩干し、焼いて水分を抜く焼干し、乾物と同じ方法で何度も凍結させて乾燥させる凍干し、水揚げされた新鮮な魚を、すぐに薄塩で味付けし、天日干しで仕上げる丸干しなどがある。なお小魚などの煮干しも干物の種類に入る。
[編集] 干物の干し方
ほとんどの干物では天日乾燥が基本であり、最近では虫付きを防ぎ乾燥を早めるため、つり下げた魚を回転させる干し台が作られている。工場など大量生産などを行う所では人工乾燥機が使われており、生干しでは水分を保つため低温の乾燥機を使うこともある。なお乾燥する時に魚をセロファンで包む方法は、特別に文化干しと称されている。
[編集] 一般的な干物の作り方
魚を頭まで腹開きあるいは背開きにし、内臓を取り除いて水洗いしたあと、海水程度の塩水に一晩漬けるか、もしくはそのまま、半日ほど風に当たるよう日干しにする。
[編集] 外国の干物
アジア、アフリカ、ヨーロッパなど、漁業の盛んな地域では、さまざまなタイプの干物が製造されている。
- 咸魚(ハームユー、シエンユー) - 中国のマカオや広東省などで作られる、塩の中に直接漬けた後に、天日干ししたもので、塩分が強い。
- バカリァウ(Bacalhau) - ポルトガルのタラの干物。グラタン風など、各種料理に再加工される。同様のものがイタリアではバッカラ(Baccalà)、スペインではバカラオ(Bacalao)の名で作られている。
- タンバジャン - セネガルのボラの干物。一昼夜塩漬けしたのち天日で乾燥させる。
[編集] 主な干物
カテゴリ: 水産加工品 | 日本の水産加工品 | 食文化関連のスタブ項目