幻想水滸伝
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『幻想水滸伝』(げんそうすいこでん)は、コナミより1995年12月15日に発売されたプレイステーション用コンピュータRPG作品である。
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[編集] 概要
幻想水滸伝シリーズ第1作目である。最初の発売の後、1996年11月29日にPlayStation the Bestで、1997年9月17日にセガサターンへの移植版が発売された。その後も、1998年3月26日にWindows95版、2002年7月11日にPS one Booksで発売された。また、2006年2月23日に幻想水滸伝1と2がセットで、1つのソフトとしてプレイステーションポータブル版が発売された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
赤月帝国5将軍のひとりテオ=マクドールの子息である主人公が、親友テッドから27の真の紋章のひとつ「ソウルイーター」を受け継いだことをきっかけとして、帝国軍から離反する。その後、解放軍をリーダーとして率いて仲間の死や父との戦いを乗り越え運命に導かれた107人の仲間と共に赤月帝国を倒すべく奮闘する。
本拠地となるのは、トラン湖の古城。後にこの戦いは門の紋章戦争と呼ばれる。
[編集] 登場人物
[編集] 重要人物
[編集] 108星
- 主人公
- 赤月帝国の将軍テオ・マクドールの嫡男(通称・坊ちゃん)。上流階級の生まれだが、寛大な父の影響もあってか、自由気ままに育つ。武器は長棍。紋章は27の真の紋章の一つ「ソウルイーター」。選択肢によっては、偽名としてシュトルテハイム・ラインバッハ4世を名乗る場合がある。
- ある一定条件を満たすと2にも登場し、戦闘メンバーにも加わってくれる。
- マッシュ・シルバーバーグ
- 赤月帝国皇位継承戦争にてバルバロッサ側で副軍師を勤めたが、カレッカの虐殺事件後一切の官職を退いてセイカで塾を開き隠遁生活をすごしていた。1主人公に未来を託し、再び軍師となり解放軍に助力する。またI、II、IIIでも軍師として活躍するアップル、IIで登場する軍師シュウの師にあたる。
[編集] 108星以外
- オデッサ・シルバーバーグ
- 元帝国貴族。解放軍初代リーダー。恋人アキレスを帝国に殺され以来帝国に復讐を誓う。マッシュの妹。フリック最愛の人である。
- バルバロッサ・ルーグナー
- 赤月帝国第17代皇帝。通称「黄金皇帝」。政治的手腕もあり、国民の支持も絶大だがウィンディに出会って以降は政治をほとんど省みなくなり、暴君と化す。27の真の紋章の一つ「覇王の紋章」の持ち主。
- ウィンディ
- 赤月皇帝バルバロッサの愛人で宮廷魔術師。亡き皇后クラウディアに似ているという理由でバルバロッサの目にとまり接近し、帝国を裏で操る存在となる。かつて、門の紋章を狙い故郷の村に侵攻してきたハルモニア神聖国最高権力者ヒクサクに、自分とレックナート以外の村の者を皆殺しにされた過去があり、ヒクサクとハルモニアに復讐するためにソウルイーターを執拗に追っている。
- テオ・マクドール
- 主人公の父で赤月帝国の優秀な軍人であり、人望も厚い。通称、「百戦百勝のテオ・マクドール」。一度は解放軍を壊滅寸前にまで追いやるが、火炎槍により敗退、最期は息子である主人公との決闘に敗れ、息子の成長を喜びながらこの世を去る。皇帝バルバロッサが皇太子時代より絶対の信頼を寄せていた人物。他人に対して以上に自分自身に厳格かつ頑固であり、同時に包容力も兼ね備えている。
[編集] 竜洞騎士団
- ヨシュア・レーベンハイト
- 竜洞騎士団団長であり、27の真の紋章の一つ「竜の紋章」の持ち主。220歳。ハンフリーとは旧知の仲。
- ミリア
- 竜洞騎士団副団長。竜の名前はスラッシュ。後にヨシュアから竜の紋章を受け継ぎ、竜洞騎士団団長に就任する。
[編集] 赤月帝国
- クワンダ・ロスマン
- 皇帝バルバロッサの危機を幾度となく助けた将軍。見た目通り強靭な防御力が自慢。
- カシム・ハジル
- 青い月のカシムと呼ばれ、赤月帝国に古くから使える古参の将軍。性格はかなり頑固で保守的な考えである。かつての部下マッシュの説得により解放軍に降伏し、仲間になる。
- ソニア・シューレン
- 赤月帝国に従うトラン湖の女水軍頭領。カシムと同じく帝国への忠誠心が強く、若いながらも保守的である。テオとは懇意の仲だった。
- グリフィス
- 北の関所を守る将軍。一見やる気がなさそうに見えるが、部下思いであり、部下に慕われている。
- アレン
- テオの部下。「火炎将アレン」と呼ばれる。テオの遺言に従い主人公の仲間になる。
- グレンシール
- テオの部下。「雷撃将グレンシール」と呼ばれる。アレンと同じく、テオの遺言に従い主人公の仲間になる。
- グレミオ
- 主人公の教育係。頬に大きな傷がある。大きな斧を振り回して戦う。ミルイヒの策略から主人公をかばい命を落とすが、一定条件を満たすと復活する。得意料理はシチュー。2にも一定条件を満たすと出演する(仲間にはならない)。
- クレオ
- テオお抱えの兵士。女性。パーンとは違って、帝国軍の上級将校採用試験に受かって配属された。飛刀の遣い手。主人公を自分の弟のように可愛がっていた。
- パーン
- テオお抱えの格闘家。序盤に主人公の父、テオを裏切れず、主人公たちに刃を向けるが後に和解。主人公を守るため、帝国を裏切った後も尊敬し忠誠心を捨て切れなかったテオに対して特攻する。
[編集] 戦士
- カミーユ
- 槍を武器とする女戦士。「夜叉カミーユ」の二つ名で呼ばれる借金取り。
- カイ
- 主人公の棒術の師匠。
[編集] 魔法使い
- クロウリー
- 世界中でも最強クラスの魔力を持つと自負する魔法使い。体に百の紋章を宿すという。真の紋章なしでどれまで高みに到達できるか、が自身の最大の研究テーマである。解放軍に手を貸したときの力も、本来の実力の少しだけだったという。
[編集] ナルシー
- エスメラルダ
- 貴族の匂いを漂わせる婦人。ナルシーというより完全にただの貴族婦人である。
- ミルイヒ・オッペンハイマー
- 赤月帝国の大将軍の一人でファッションにうるさいきざな男。花と美しい物をこよなく愛する風流人。皇帝と亡き皇后クラウディアに忠誠を誓っており、二人の亡き後生涯その墓前を守ることになる。解放戦争時はウィンディに洗脳されており、卑劣な武将という性格が強かったが、実際は潔き武人である。「花将軍」という通称の通り、服装は非常に華美で独創的。これは本人が、「花将軍」の名に相応しい服装を貫くことも、国家への忠義になると考えているためである。幻想水滸伝5にも名前のみだが登場している。
[編集] 文官
- テスラ
- 赤月帝国南方にて代書屋をやっていた人物。気が弱く小心者であり出来るだけ揉め事にはかかわらないように暮らしてきたが結局災難に巻き込まれる。その能力は高く、どんな人物の筆跡も真似ることが可能。解放戦争終結後はトラン共和国の高級官僚として国家再建に尽力する。
[編集] コボルト
- クロミミ
- トラン大森林のコボルト村に住む青年。解放戦争の後は村長に就任した。
- ゴン
- クロミミにあこがれるコボルト。村二番手の戦士らしい(一番はクロミミ)。
[編集] エルフ・森の住人
- クインシー
- 赤月帝国の森の狩人。勝ち馬に乗りたがるタイプ。
- キルキス
- エルフの村の危機を救うため、解放軍の力を借りにくる。人間、ドワーフとの共存を心から望んでいる。シルビナとは相思相愛の仲。
- シルビナ
- キルキスの恋人。長老の孫娘。キルキスの理想を理解しきれてないが、彼への素朴な愛情から解放軍に協力している。
[編集] 学者・職人
- ジュッポ
- 発明家であり、からくり師。姪のメグにいつも悩まされている。奇抜な格好をしている人で、言葉遣いも強烈、発明もとてつもなく、レパント宅に多数のカラクリ兵と、トラップを仕掛けるという(防犯システムとしては画期的だろうが)えげつないものである。終戦後、姪のメグの追跡を振り切るためにからくり丸を作り、何処かへ逃げてしまう。
- セルゲイ
- 初代「えれべーた」開発・管理者。自身の開発した「えれべーた」を売り込むために各地を放浪している。戦後は「えれべーた」がヒット商品になり、大金持ちになる。
- ウィンドゥ
- 飾り窓職人。
[編集] 商人
- チャンドラー
- 自分の店を持つことを夢見てさまよう行商人。
- チャップマン
- アンテイの町で防具屋を営んでいる男。
- ジャバ
- 「自分に鑑定できないものはない」と豪語する鑑定師。
- クン・トー
- キーロフの商人。タイ・ホーとは旧知の仲。
[編集] 忍者、諜報員
- フウマ
- ロッカクの里出身の忍者だが、抜け忍である。解放戦争後は里に戻った。
[編集] 盗賊
- バルカス
- 清風山を根城とする山賊の頭領。腐った帝国の役人しか襲わない義賊でもある。帝国崩壊後は山林の事情を詳しいことから国境警備隊長に抜擢される。
- シドニア
- バルカスの仲間できざな男。忍者のようにすばやく、器用である。帝国崩壊後はバルカスとともにいることは無くどこかへと消えてしまった。
- アンジー
- トラン湖を縄張りとする湖賊三人組の頭。タイ・ホーとは腐れ縁。ソニア・シューレンとは犬猿の仲。
- カナック
- アンジーの仲間。台詞は『こんちわ』。
- レオナルド
- アンジーの仲間。
[編集] マ行シリーズ
鍛冶屋の5人組。それぞれの関係は師弟(マ→ミ→モ→ム→メの順で鍛えられる武器レベルの上限が上がる。メースが最高位)。
- マース
- 大森林の村に住む若手の鍛冶屋。
- ミース
- ドワーフの技術を学ぶために、ドワーフの村で修行している鍛冶屋。
- ムース
- 戦士の村に住む鍛冶屋。一流の腕を持つ。帝国崩壊後はメースから鍛冶屋大師匠の名を受け継ぐ。
- メース
- 鍛冶屋大師匠。シークの谷間に隠棲している。
- モース
- 解放軍秘密工場の工場長。
[編集] 料理人
- アントニオ
- 自分の店を構えることを夢見て日々修行をしている放浪の料理人。
- レスター
- アントニオの親友。得意料理はシチュー。2にも登場し、ハイ・ヨーに様々な手引きをしてくれる。
[編集] レパント夫妻
- レパント
- 赤月帝国南部で商売をしている豪商。武人としても名高く、名刀キリンジで戦う。妻と名刀を大事にしている良き夫。息子のシーナにはかなり厳しい。解放戦争後に主人公に代わって共和国初代大統領となる。若い頃は息子顔負けの遊び人だったため、強く出にくいらしい。
- アイリーン
- レパントの妻。かなりの美人でレパントもそれを誇りに思っている。
[編集] 農民
- ゼン
- クロン寺の裏で畑を耕している庭師。トラン湖の城のガーデニング担当。
- ブラックマン
- 廃墟となったカレッカで畑を耕している農夫。
[編集] 108星以外
- サンチェス
- 『博覧強記のサンチェス』の異名を持つ。解放軍の財政を担当していた。後に、帝国のスパイだと判明する。
- アイン・ジード
- テオの部下で、首都グレッグミンスターを守るクワバの城塞の守備を任されている将軍。大将軍ではないが、その能力は大将軍にも引けを取らない。最期まで解放軍に抵抗し、戦死した。
- クレイズ
- 金と権力に汚い成り上がり官僚。元は帝国近衛隊長だったが、ウィンディにソウルイーター奪取失敗をとがめられて失脚し、地方の軍政官に左遷される。
- カナン
- クレイズの副官でこちらも金に汚い小役人。典型的な悪徳官僚で、行動パターンはまさに「強きを助け、弱きをくじく」といった感じである。賄賂や裏取引は当たり前で、全てクレイズ黙認のもと行われている。こちらはクレイズとは違い、高級官僚にとどまり、それどころかなぜか帝都防衛の副指令官になっている。ある意味クレイズよりも出世した人物である。赤月帝国崩壊後は転落の人生を歩み、首都グレッグミンスターで詐欺を働いていたが、3年後逮捕される。
[編集] 複数作品登場キャラクター
以下の人物は、幻想水滸伝のキャラクター一覧を参照
[編集] 108星
- ビクトール
- フリック
- アップル
- ビッキー
- ジーン
- ルック
- ハンフリー
- フッチ
- スタリオン
- ローレライ
- ヒックス
- テンガアール
- ペシュメルガ
- ヴァンサン・ド・ブール
- マクシミリアン
- テンプルトン
- カスミ
- バレリア
- メグ
- タイ・ホー
- ヤム・クー
- シーナ
- カゲ
- クライブ
- レオン・シルバーバーグ
[編集] 108星以外
- レックナート
- テッド
- ユーバー
- ネクロード
- ゲオルグ・プライム
[編集] ソウルイーター
生と死を司る紋章、宿主と親しい者の魂を喰らい、宿主の思惑とは関係なく戦乱を巻き起こす呪いの紋章。1主人公は前所有者テッドの親友だが、ソウルイーターの犠牲にはならなかった。
[編集] 赤月帝国
幻想水滸伝の舞台。軍政一体国家。近隣の群島諸国やクールーク皇国に多大な影響を与える。中心にはトラン湖がある。 政治形態は中央集権制ではなく、どちらかといえば封建制に近い。大将軍たちに各地を委任させ、その下の軍政官が村や町の治安、自治を行い、その代償として税を得るという形態を取っていた。しかし、帝国末期になると政治が乱れ、結果として腐敗した軍政官による理不尽な税徴収、大商人たちとの癒着が起こり、帝国を滅ぼす一因となった。
[編集] 歴史
- 太陽歴230年にハルモニアから独立。初代皇帝クラナッハ・ルーグナーは、この年を帝国暦元年とする。
- 太陽歴446年に継承戦争勃発。帝国六将軍やレオン・シルバーバーグの活躍により、バルバロッサ・ルーグナー側が勝利を収める。
- 太陽歴447年ジョウストン都市同盟が帝国の混乱に乗じて侵攻するが、失敗に終わる。
- 太陽歴457年解放軍によって滅ぼされる。
[編集] 継承戦争
バルバロッサ・ルーグナーとゲイル・ルーグナーに帝国の継承権をめぐる戦争。
[編集] 皇帝
- バルバロッサ・ルーグナー:赤月帝国第17代皇帝。通称「黄金皇帝」。継承戦争で不利な立場に陥りながらも6人の名将を使いこなし、勝利し即位。荒廃した国土をすぐに復興するなどその政治的手腕は優れたもので、国民の支持は絶大である。
[編集] 帝国六将軍
- 百戦百勝のテオ・マクドール
- 青い月のカシム・ハジル
- 花将軍ミルイヒ・オッペンハイマー
- 二太刀いらずのゲオルグ・プライム
- 水軍統領キラウェア・シューレン
- 鉄壁のクワンダ・ロスマン
の六人の武将は、継承戦争時代の活躍から帝国六将軍と呼ばれた。
幻想水滸伝では、ゲオルグ・プライムはすでに帝国を去っていて登場しない。ゲオルグ・プライムは、幻想水滸伝II、幻想水滸伝Vに登場することとなる。
キラウェア・シューレンは幻想水滸伝の時代にはすでに亡くなっているが、娘ソニア・シューレンが登場する。