手 (沖縄武術)
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手(ティー)とは、空手以前に存在したとされる沖縄の琉球王国時代の徒手空拳の武術である。
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[編集] 概要
「
- 現代の空手の直接の源流である「
唐手 」の意味。 - 唐手以前に存在した「沖縄固有の武術」の意味。いわゆる「
沖縄手 (おきなわて)」と呼ばれた武術。
[編集] 手=唐手
「手」は、琉球語では、第一義にはもちろん手首から先の手のことであるが、武術家がこの語を使う場合は、「…の武術」もしくは、単に「武術」一般を意味する言葉であった。それゆえ、明治の唐手家たちにとって、「手」といえば、単に唐手のことを意味していた。
唐手の言葉の起源は、
[編集] 手=沖縄手
佐久川が唐手を持ち帰る以前にあったとされる沖縄固有の武術、いわゆる「沖縄手」を指す意味で、「手」が使われる場合もある。
[編集] 沖縄手とは
沖縄手という言葉は、船越義珍(富名腰義珍)の著作に見られる言葉で、船越によれば、明治初期の唐手の古老たちは、中国発祥の武術を唐手(トゥーディー)と呼び、それに対して、沖縄固有の武術を沖縄手と呼んで区別していたと言う。(『空手道一路』)
また、船越は『空手道教範』(1935年)の中で、「近世
また、摩文仁賢和によれば、「
沖縄固有の武術の存在については、彼ら以外にも、安里安恒、本部朝基といった、戦前の著名な唐手家が自著や新聞紙上で、その存在について言及しており、当時の唐手家達にとっては自明であったようである。最近では、「手」といえば、この唐手以前の沖縄手を指して、用いている研究者や空手家の方が多いようである。
[編集] 沖縄手の起源
ただし、この沖縄手の起源となると諸説がある。安里安恒は、琉球新報(大正3年1月17日)で発表した「沖縄の武技」という記事において、「沖縄固有の武芸にして田舎の舞方なるものが、いわゆる唐手の未だ発達せざる時代のそのままであらう」と述べている。「
他にも、「シマ」(沖縄角力)から発展した説、中国のより古い武術がかつて沖縄に伝えられて土着化した説、日本から柔術が伝来した説などがある。
[編集] 手の時代の武人達
古くは16世紀の「
[編集] 参考文献
- 船越義珍『空手道一路』榕樹書林 ISBN 4947667702
- 富名腰義珍『空手道教範』大倉広文堂
- 摩文仁賢和・仲宗根源和『空手道入門―攻防拳法』榕樹社 ISBN 4947667311
- 岩井虎伯『本部朝基と琉球カラテ』愛隆堂 ISBN 4750202479