接ぎ木
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接ぎ木(つぎき、英語:grafting)とは、異なる2個体の植物体を、人為的に作った切断面で繋げて、1つの個体とすることである。このとき、上部にする植物体を穂木、下部にする植物体を台木という。遺伝的に異なる部分から構成されている個体を作る技術である。国際花と緑の博覧会で展示されたトマピーナも接ぎ木により作られた。
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[編集] 目的と実例
- 新品種の増殖、保存および収穫までの期間の短縮
- 果樹一般
- 穂木:新品種
- 果樹の枝変わりや新品種は遺伝的に固定していないので、増殖には接ぎ木を利用する。
[編集] 接ぎ木手法の種類
- 枝接ぎ(切接ぎ・腹接ぎ・割接ぎ): 芽を持った枝を穂木にして接ぐ。穂木と接触する台木の面の切り方で3方法に分けられる。切接ぎは、台木上端から側面を切り下げてできた形成層断面の間に穂木を挿入する接ぎ方。腹接ぎは、台木途中から側面を切り下げてできた形成層断面の間に穂木を挿入する接ぎ方で、やり直し可能。割接ぎは、台木上端から中央を切り下げてできた形成層断面の間に穂木を挿入する接ぎ方。
- 芽接ぎ:台木の樹皮を剥ぎ、そこに芽を接ぐ。成功・失敗が早く判定でき、やり直しも可能。
- 根接ぎ:台木の根と穂木を接ぐ。樹勢回復のため用いられることもある。
- 呼び接ぎ:穂木を元の植物から切り離さない状態で接ぐ方法。台木と穂木を削ぎ、両者の形成層を密着させ、活着を確認した後で、穂木下部を切り除く。
- 高接ぎ:穂木の状態とは関係なく、台木に接ぐ位置で分けた呼び方。植物の高い位置で接ぐ方法。枝接ぎ・芽接ぎなどで行われる。
[編集] 備考
- 花成ホルモン(フロリゲン)の生成についての研究で、接ぎ木を用いた実験が広く知られている。
- 接ぎ木による周縁キメラの作成 (Winkler, 1935)
2種類のトマト属(Lycopersicon、現在はナス属Solanumに分類される)植物を材料に使って接ぎ木した後、接ぎ木の接合面を横切る形で切断した。その切断面から生じた新芽は周縁キメラであることが確認された。
[編集] 関連項目
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