放浪息子
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放浪息子（ほうろうむすこ）は志村貴子による漫画作品。
目次 |
[編集] 概要
2002年12月号よりエンターブレイン発行の月刊誌コミックビームにて連載開始。現在も連載中で、単行本は6巻まで刊行されている（2007年3月現在）。第一話のタイトルである「ぼくは、おんなのこ」は、志村が以前かいた短編（ぼくは、おんなのこ収録）と同名であるが、内容としての関連はない。平成18年度（第10回）文化庁メディア芸術祭マンガ部門・審査委員会推薦作品。
女の子になりたい男の子・二鳥修一と、男の子になりたい女の子・高槻よしの。2人が、自分の性別のことや友人関係に悩み葛藤する姿が、重々しいトーンを伴わず、淡々と描かれてゆく。1～4巻は小学生編、5巻からは中学生編となっている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
女の子になりたい男の子・二鳥修一は、転校先の小学校で、背が高くてかっこいい女の子高槻よしのと出会う。最初は女の子になりたいという気持ちを隠し通していた修一だったが、ふとしたことからクラスメイトの千葉さおりに、ワンピースを着てヘアバンドをつけているところを見られてしまい、修一に好意を持っているさおりから、誕生日にワンピースを贈られる。部屋においていたそれを遊びに来たよしのに発見されてしまい、修一は困惑する。だが、よしのもまた「男の子になりたい女の子」であり、時折学ランを着て遠くの街へ出ているのだった。お互いの秘密を知った2人は、修一がセーラー服を、よしのが学ランを着て、遠くの街で遊ぶことになる。
[編集] 登場人物
- 二鳥修一（にとり しゅういち）
- 主人公。シュウ、にとりん。女の子になりたい男の子。連載開始時小学5年生で10歳。家族構成は父（博之）、母（さとみ）、姉（真穂）。とてもおとなしい性格で周りに流されることも多いが、たまに感情が爆発する。友達は女の子が多く男の子と遊ぶのが苦手。お菓子作りが得意。女装で（高槻の）生理用品を買いに行ったことがある。女装姿は一般の女子よりも容姿が良く、男であることを見破られないばかりか逆に男子から惚れられたりもする。物語の主人公だけに様々な出来事の中心にいることが多いが、基本的に流される傾向にあり自分から動くことは多くはない。しかし、自分から積極的に動いたことに関しては裏目に出ることが多く、そのたびに落ち込んでしまう。
- 高槻よしの（たかつき よしの）
- もうひとりの主人公。男の子になりたい女の子。連載開始時小学5年生で二鳥修一と同学年。家族構成は父、母、姉、兄。ハンサムな女の子で背が高いため女子からは「高槻くん」と呼ばれている。普段から男の子のような格好をしており、スカートなど女の子らしい格好は嫌い。ケーキはレアチーズが好き。1人で男装をして街に出かけるなど行動力があり、ケンカも強く男子相手でも一歩も引く事はない。二鳥修一が「女の子になりたい人」だと気付きその願望を引き出すことになる。しかし生理や胸の膨らみなど、成長して女らしくなっていく自分自身に悩むようになっていく。
[編集] 2人の友達
- 千葉さおり（ちば さおり）
- 二鳥修一たちの友達。さおりん。連載開始時小学5年生で二鳥修一と同学年。家族構成は母のみ確認済み。恐らく一人っ子。我侭かつ情緒不安定な性格で、自己中気味な行動が目立つ。そのため一部の女子からは嫌われている。しかし長くて綺麗な髪や容姿端麗なことから男子からは人気がある。普段はおとなしいが、感情的になると突然傘を突きつけたり「下衆！！」「腹切ってわびなさいよ」などのセリフとともにものすごい剣幕で怒鳴ったりする“デンジャラスビューティー”。特にニ鳥の性癖がからかわれると彼の代わりに相手に激情をぶつける事が多く、彼への憧れの為に同化していた節もある、高槻も本当は友人だと思ってはいるが彼女への嫉妬からどうにもできない模様。
- 佐々かなこ（ささ かなこ）
- 高槻よしのたちの友達。ささちゃん。連載開始時小学5年生で二鳥修一と同学年。家族構成は母、弟のみ確認。弟が友達を連れてくるとうるさくて嫌らしい。頭を使うと頭がかゆくなり、泣くときは変な泣き方をする。交換日記はすぐ忘れてしまい長続きしない模様。メンバーの中では数少ない常識人で、それゆえに、事あるごとに関係がギクシャクする周囲の仲を取り持つために苦労するようになる。しかし基本的に元気な子。高槻とは幼稚園以来の幼なじみ。余談だが連載当初は名前がなかった。
- 有賀誠（ありが まこと）
- 3巻から登場。二鳥修一たちの友達。マコちゃん。初登場時小学6年生で二鳥修一と同学年。一人っ子で実家はパン屋。二鳥修一と同じ「女の子になりたい男の子」だが、眼鏡着用でそばかすがあり自分の容姿が悪いことは自覚している。また二鳥修一とは違いはっきりと「男子が好きだから女子になりたいのかもしれない」との思いを抱く。かっこいい男性が好きで恋愛にあこがれている。母譲りのおしゃべり好き。本質を突く事を言い、聞き上手な為ニ鳥以外とも仲が良く、傍観者的な立場が多かったが文化祭で千葉のロミオ相手にジュリエット役を演じ、千葉の（数少ない）友人になりつつある様子。
- 更科千鶴（さらしな ちづる）
- 5巻から登場。高槻よしのたちの友達。ちーちゃん。初登場時中学1年生で二鳥修一と同学年。実家はそば屋で白井桃子とは幼馴染。長身長髪でスタイルが良い。一人で渋い喫茶店に出入りするなど大人びた面も見せるが、一人称が「ちーちゃん」だったりと子どもっぽい一面も多い。気分次第で詰襟を着てきたり、水泳の時間にビキニを着てきたりと、突拍子も無い行動で周囲を度々驚かす。ただし詰襟を着たのは男子の真似であって、男装願望があるわけではない。ただし物怖じせず生きたいままに生きる彼女に高槻は憧れた。
- 白井桃子（しらい ももこ）
- 5巻から登場。更科千鶴の幼馴染。モモ。初登場時中学1年生で二鳥修一と同学年。更科千鶴にいつもくっついている女の子だが恋愛感情まで発展しているのかまでは不明。更科千鶴が大好きなあまり、他の女子と楽しく話しているのを見るだけでも不機嫌になる。また更科千鶴に対して存外な態度を取り続ける千葉さおりとは一瞬にして犬猿の仲になってしまい、言葉を交わすたびにいつもケンカになる。
[編集] 大人の友達
- ユキ
- 二鳥修一と高槻よしのの大人のお友達。とても綺麗なお姉さん。恋人はしーちゃん。バーのママ。実家は制服屋「吉田洋品店」。母親と冷戦中で実家には長らく帰っていない模様。お菓子は作れるが片付けが面倒らしい。二鳥修一や高槻よしのに対してよくペタペタとさわったり抱きしめたりする。2人のよき理解者で2人を心の底から応援している。
- なお、短編集「ぼくは、おんなのこ」に収録されている作品「花」の主役であり、こちらには母親以外の家族も出ている。実家の家族構成は父、母、兄、兄嫁（愛ちゃん）。テレビ出演の経験あり。佐田啓二のファン。
- しーちゃん（本名：椎名）
- 2巻から登場。二鳥修一と高槻よしのの大人のお友達。ユキの恋人。ユキにはとても優しくユキが二鳥修一と高槻よしのを追って日光に行くと言い出したときも連れて行ってあげた。また、ユキ同様に2人を優しく見守っている。このように基本的には優しいがユキの知り合いだったとはいえ、見知らぬ男の子の股間を急に鷲掴みにしたり（高槻をユキの彼氏ではないかと疑っていた為･･と思われるが･･？）と大胆な行動を取ることもある。
[編集] お姉ちゃんの友達
- 二鳥真穂（にとり まほ）
- 二鳥修一の姉。麻衣子からはマホマホと呼ばれたいらしい。連載開始時小学6年生で12歳（弟より学年でいえば1つ上）。弟の二鳥修一とは違いとても勝気、活発でおしゃべり。アイドルの麻衣子の大ファン。弟をよくいじめ、言う事をきかないと叩いたり、無理やり自分の用事を押し付けようとする。しかし弟の夢を知ったときは笑わずに慰めるなど弟への思いやりをもっている・・が理解を示しているかは微妙。モデルオーディションや瀬谷に会う為に弟に女装させて利用した節もある。だが瀬谷が女装した弟に恋した事を発端にその人気っぷりとかわいらしさに度々嫉妬し不機嫌になる。弟が女らしいと女の自分の立場がなくなる事が嫉妬の元であり、修一の成長に伴う男性化を必要以上に喜ぶ、ただしモデルとして認められる事で徐々に自信がついてきた為、本来の弟想いの姉に戻りつつある。
- 瀬谷理久（せや りく）
- 2巻から登場。二鳥真穂のクラスメート。初登場時中学1年生で二鳥修一の1つ上。当初は隣の席になった二鳥真穂に好意を寄せていたが、ある日ノートを届けに二鳥家を訪問した際に遭遇した女の子を一目見て気に入ってしまう。その後、二鳥真穂に頼み込んで念願のデートをセッティングしてもらうが「恋とは何か」と悩むこととなる。
- 末広安那（すえひろ あんな）
- 3巻から登場。モデル。あんなちゃん。モデル仲間の麻衣子と仲が良い。プロ意識が高く仕事に厳しい。彼氏はいない模様で、男嫌いと思われているらしい。自身の女装姿に見惚れていた二鳥修一に「変態」と言ったため、彼から苦手意識をもたれてしまった。その後も何かと二鳥修一にちょっかいを出すようになる。放つ言葉はストレートだがなかなか自分の気持ちには素直になれない様子。
- 佐藤環（さとう たまき）
- 3巻から登場。新米モデル。たまきちゃん。背が高い。彼氏あり。他の同期の新米モデルとは一線を隔し、仕事に真面目に取り組んでいる。数少ない良識派だが、末広安那からは「お前はいちいち余計だよ」と思われてしまった。
- 麻衣子（まいこ）
- モデル。麻衣子ちゃん。売れっ子モデルで二鳥真穂の憧れの人。末広安那とは仲が良い。おっとりした性格で普段は眼鏡をかけている。ちなみにこの作品で最初に描かれるのは彼女である。
[編集] 学校の先生
- 中澤先生（なかざわ）
- 二鳥修一達の通う小学校の先生。連載開始時二鳥真穂の担任。事故で遅れることになった三浦先生の代わりに二鳥修一をクラスに紹介する。二鳥修一を女の子と間違えた。二鳥修一があこがれたり、ユキから「最も忌むべき存在だが好み」と言われたりするほど美人で、先生としての評価も高い。
- 山崎先生（やまざき）
- 二鳥修一達の通う小学校の先生。二鳥修一たちが6年生に上がったときの6年1組の担任。非常にさわやかな男の先生。
- 税所学（さいしょ まなぶ）
- 二鳥修一達の通う中学校の先生。新米先生で担当教科は国語。先生だが朝起きれないため良く遅刻をする。新米の先生らしく自分の考えを生徒に押し付けたりして暴走する面もある。自分の受け持ったクラスがあまりに自身の中学時代を再現しているため苦手。中学のころは美術部に入っていたようだ。ミステリー好きでカラオケ嫌い。現在、恋人は居ない模様。教壇に立ちながらもあれこれと頭の中で妄想し、そのままトリップする傾向がある。
[編集] クラスメート
- 小林さん（こばやし）
- 二鳥修一のクラスメート。5年生時、“6年生を送る会”の出し物『ベルサイユのばら』の台本を担当した。6年生時は二鳥修一とともに修学旅行の実行委員になる。中学では演劇部に入部し、小学校の時に行なった劇を演劇部の先生に紹介する。
- 石井（いしい）
- 二鳥修一が5年生のときのクラスメート。『ベルサイユのばら』にて最初ロザリー役だったが、二鳥修一のほうが向いているという意見が多数を占めたためにオスカルと交換することになった。しかし彼のほうが「オスカル」という役には向いていなかったらしく、クラスの女子に笑われてしまった。
- 相川（あいかわ）
- 二鳥修一が5年生のときのクラスメート。性に興味を持ち出した小学校の高学年男子らしく、同級生の女子を触ったり生理になった高槻さんをからかったりした。
- 岡孝典（おか たかのり）
- 2巻から登場。二鳥修一が6年生のときのクラスメート。土居伸平と仲が良い。修学旅行の際、会話が続かない二鳥修一に対していたずらをするようになる。いたずらの度に千葉さおりが怒り、二鳥修一と高槻よしのの関係がギクシャクすることとなるが、本人はいたって気にしていない。中学でもプール開きのときに真っ先にプールに飛び込むなど元気いっぱいでいるようだ。
- 土居伸平（どい しんぺい）
- 3巻から登場。二鳥修一が6年生のときの別のクラスの男の子。岡孝典と仲が良い。千葉さおりに対して好意を持っていたようだが千葉さおりからの評判は最悪だった。
[編集] その他の登場人物
- 二宮文弥（にのみや ふみや）
- 千葉さおりが通った教会で出会った男の子。千葉さおりより年上。花屋の息子。おしゃべりで軽めな性格。影でニ鳥をオカマと馬鹿にした舌の根も乾かないうちに自分のほうが可愛いと言ったりもした。千葉さおりに興味を持つが、無神経故に嫌われる。
[編集] メンバーの家族
- 二鳥ママ
- 二鳥修一と二鳥真穂の母親。本名：二鳥さとみ。真穂に厳しく、修一に優しいお母さん。しかし修一の誕生日を忘れてしまったこともある。姉妹がいる。父親、母親（修一たちの母方の祖父母）ともに気前が良く、進学・進級祝いとしてお小遣いをくれたりした。
- 二鳥パパ
- 二鳥修一と二鳥真穂の父親。本名：二鳥博之。サラリーマンでやさしいお父さん。父母（修一たちの父方の祖父母）ともに健在で、進学祝に孫達にブックカバーをプレゼントした。
- 高槻ママ
- 高槻よしのの母親。優しいお母さん。しかし成長するにつれて時々暴走するようになる自分の娘に手を焼くようになる。
- 高槻パパ
- 高槻よしのの父親。宝塚ファンで娘には宝塚に入って欲しいと思っている。
- 高槻兄
- 高槻よしのの兄。妹の高槻よしのとは若干年が離れている。
- 高槻姉
- 高槻よしのの姉。妹の高槻よしのとは若干年が離れている。中学時代は締め付けの厳しい学校に通っていたらしい。
- さおりママ
- 千葉さおりの母親。のんびりおっとりしている不思議ママ。娘には甘い。情緒不安定気味のさおりに振り回されつつも暖かく見守っている。
- 佐々ママ
- 佐々かなこの母親。よく怒るらしい。
- 有賀ママ
- 有賀誠の母親。パン屋「ありがベーカリー」を営んでいる。面食いで息子以上におしゃべり。
