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ベルサイユのばら

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ベルサイユのばら』は池田理代子漫画作品。通称「ベルばら」。フランス革命前から革命前期を舞台に、近衛兵である男装の麗人オスカルとフランス王妃マリー・アントワネットらの人生を描く。

目次

[編集] 概要

『ベルサイユのばら』は、雑誌「週刊マーガレット」(集英社)に1972年21号から1973年まで連載された。近世末期のフランスを舞台に、ルイ15世末期からフランス革命の時代を描いている。前半はオスカルとアントワネットの二人を中心に描き、中盤以降はオスカルを主人公として、フランス革命に至る悲劇をリアルに描ききっている。ベルサイユとはヴェルサイユ宮殿のこと。2005年から2006年にかけて完全版コミックスが刊行された。

宝塚歌劇団による舞台化の大成功が作品のヒットに拍車をかけ、テレビアニメベルサイユのばら』、劇場版アニメなどが製作されて一種の社会現象となった。テレビアニメはフランスでも放映されたことがあり、その出来にフランス製のアニメと思われていたらしい。

池田理代子がオーストリア作家シュテファン・ツヴァイク小説『マリー・アントワネット』に感銘を受け、同小説を参考にして描いた作品であると言われている[1]。また、作中で描かれたオスカルのフランス衛兵隊ベルサイユ常駐部隊長時代の軍服は、フランス革命期のものではなく、より豪華絢爛なナポレオン帝政期のものを基にしていると著者は述べている。

[編集] あらすじ

1755年12月25日フランス王国貴族であるジャルジェ家に、1人の女児が生まれた。父親であるジャルジェ将軍は家督を相続する男児の誕生を長い間待ち焦がれていたが、生まれたのは6人目の女児だった。痺れを切らした将軍は、姉妹の中で一番美しく生まれた末娘を男として育て、後継者とすることにした。彼女は「オスカル」と名づけられ、幼い頃から父親に剣術を仕込まれて厳しく育てられる。

オスカルは若くして近衛連隊長(階級は准将)となり、オーストリア生まれの王妃マリー・アントワネットの寵愛を受ける。しかし、オスカルはそれをかさにきることなく、誠実な友人としてアントワネットに良い王妃となるよう諭す。しかし、アントワネットはオスカルの言葉の真意を理解することが出来ず、「自分が幸せであれば国民も幸せである」と考え、国民の税金を自らの華麗な生活(服飾品や娯楽、賭博の掛け金など)、またはごく一部のお気に入りの貴族たちのためにどんどん浪費してしまい、国家財政を窮乏化させる。苦悩するオスカルはやがて、スウェーデン貴族フェルゼンを愛するようになるが、フェルゼンの想い人がアントワネットであることを知り、思いを伝えることなく身をひく。そして、自分を幼い時からずっと見守ってきてくれた幼馴染で従卒のアンドレが自分に寄せている愛に気づくようになり、次第に彼に心惹かれていく。

一方、ロベスピエールら革命家に接し、さらに民衆の窮乏を自分の目で確かめたオスカルは次第に、貴族中心の社会に疑問を持つようになる。そして、オスカルは次第に民衆寄りの言動をおこなうようになる。そのころ、パリでは苦しい生活に耐えかねた民衆が次第にマリー・アントワネットや貴族たちに憎悪を向けるようになり、時代は革命へと一気に突き進んでいった。そんな不穏な情勢の中、オスカルはアンドレと結ばれる。だが、フランス革命は、オスカル、アンドレ、そしてマリー・アントワネットを過酷な運命へと巻き込んでいく・・・。

[編集] 登場人物

[編集] 本編登場キャラクター

主要キャラクターは全員美形であり、女性のみならず男性からの人気も非常に高い。

  • オスカル(オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ)
    将軍レニエ・ド・ジャルジェの末娘。ジャルジェ将軍が男児に恵まれなかった為、男として育てられた男装の麗人。颯爽とした美しさでしばしば婦人達の恋慕の対象となる。正義感が強く、男性・軍人としての自分と女性としての心の間で苦しむ。若くして近衛士官となり准将にまで昇進するが、自らの信念に基づいて近衛隊を辞し、フランス衛兵隊のベルサイユ常駐部隊長の地位に就任。マリー・アントワネットの寵愛を受け誠実に仕えるが、民衆の苦しみを目の当たりにして、自らのなすべき道を模索する。フランス革命の勃発に際しては、バスティーユ襲撃に参加。その際被弾し、要塞の陥落を見届けて戦死。フェルゼンに密かな想いを寄せており、正体を隠して生涯に1度だけドレスを着用、女性としてフェルゼンの前に現れる。しかしやがてアンドレへの愛を自覚、相思相愛ののち結ばれた。革命の少し前から胸を病んでいたが周囲に知らせることはなかった。ヴァイオリンが得意らしい。宝塚歌劇版では男役が演じている。
  • アンドレ(アンドレ・グランディエ)
    オスカルの従卒で、マロン・グラッセ(オスカルの養育係)の孫。幼くして両親をなくし、ジャルジェ家に仕えていた祖母に引き取られる。激情家のオスカルを穏やかに見守り続け、影のように寄り添う。一方で、身分の違いからオスカルへの報われないに苦しむが後半で結ばれる。オスカルと結ばれたのち、先立って戦死。物語の後半で左目を失明したのをきっかけに視力を失っていく。
  • マリー・アントワネット(マリー・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・オートリッシュ)
    「ベルサイユのばら」その人。ルイ16世王妃。オーストリア皇女として生まれ育ち、14歳の若さでフランス王太子の元へ嫁ぐ。無邪気で深謀遠慮とは無縁の性格、且つ派手好きでわがままだが、人を惹き付ける天性の魅力を持つ。賭け事などに夢中になって財政を悪化させ、フランス革命の原因を作る。子を産んだのち、良き母・良き王妃たろうと自覚するが、時既に遅く民衆の恨みを一身に受け、革命により断頭台で処刑される。
  • フェルゼン(ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン)
    パリに留学していたスウェーデン貴族。身分は伯爵。アントワネットとの禁断の愛に苦しむ。革命に反発し、アントワネットとルイ16世を逃亡させようとした(ヴァレンヌ事件)。しかし結果として、彼の存在がフランス革命に拍車をかけることになった。オスカルとは好意の関係であり親友であったが、オスカルの自分への想いに気づき、一時距離を置く。しかし生涯最高の友であったと後に語っている。アントワネットが処刑された後、アントワネットを処刑した平民を憎むようになり、心冷たい人間になる。そしてスウェーデン平民の恨みを買い、虐殺された。
  • オルレアン公(ルイ・フィリップ2世ジョゼフ)
    フランスの王族。妻はルイ14世の曾孫。面従腹背の野心家で、マリー・アントワネットのフランス入りを阻止しようとしたり、ルイ16世を事故に見せかけて暗殺しようとしたりしていた。王位を狙って様々な策謀を巡らし、史実でもアントワネットと対立。フランス革命が勃発すると革命を支持し、ルイ16世の処刑にも賛成した。結局王位には就けず、彼もまた革命の余波で命を落とすが、息子のルイ・フィリップが後にフランス王となっている。
  • ロザリー(ロザリー・ラ・モリエール)
    ポリニャック伯夫人の隠し子。貧しい平民の娘として育つ。貧しさのあまりわずか12歳で売春に手を染めようとしたところを、オスカルに引き取られてジャルジェ家に住むようになる。平民であった育ての母は、ポリニャック伯夫人の乗った馬車に轢かれ死亡。以後オスカルを一途に慕い、「春風」のような存在でオスカルを和ます。優しく控えめな性格で泣き虫だが、芯の強い女性。ベルナールと結婚する。べルナールとの間に生まれた子供の名前はオスカルの名前の一部をとってフランソワ。シャルロットの死後、一時ポリニャック伯夫人のところに身を寄せるが、彼女に政略結婚をさせられそうになった。
  • ポリニャック伯夫人(マルティーヌ・ガブリエル・ド・ポリニャック)
    フランス貴族でアントワネットの側近。元々は貧しい下級貴族で、控えめな性格だったが、アントワネットの寵愛を得るうちに傲慢になり、アントワネットの名をかさにきて、私利私欲を追及するようになる。アントワネットの評判を低下させた一因。実はロザリーの本当の母親だった。
  • シャルロット
    ポリニャック伯夫人の娘。オスカルに思いを寄せていたが、ポリニャックに幼くして政略結婚をさせられそうになり、政略結婚そのものへの嫌悪と相手に対する嫌悪とが重なって精神を病み、自殺する。ロザリーが自分の実の姉と知ることなく死んだ。
  • ニコラス・ド・ラモット
    ジャンヌの夫。
  • アラン・ド・ソワソン
    フランス衛兵隊第1班班長。血の気が多く熱い男で、フランス衛兵隊一の剣の使い手。身分は貴族だが名ばかりで、実情は貧しい平民と変わらない。オスカルを生涯尊敬し、また愛していた。(ただし、片思いである)『栄光のナポレオン-エロイカ』にも登場し、そこではナポレオン側近の将軍にまで昇進している。
  • ディアンヌ・ド・ソワソン
    アランの妹。衛兵隊のアイドル。婚約者に捨てられ、結婚式の前夜に首吊り自殺をした。
  • ベルナール・シャトレ
    新聞記者。貴族の愛妾の子で、権力をかさに母を弄んだ父への恨みから、貴族全体を憎むようになる。「黒い騎士」の名で義賊めいたことを行っていた。カミーユ・デムーランがモデル。アランと同じく、『栄光のナポレオン-エロイカ』にも登場し、そこではロザリーとの夫婦円満ぶりが描かれている。
  • マロン・グラッセ
    通称「ばあや」。アンドレの祖母。オスカルの養育係。口うるさく心配性だが心からオスカルを愛している。
  • メルシー伯 
    アントワネットの教育係。耳の痛い小言ばかり言うが、アントワネットを心配しての事であり、真の忠誠心をもって仕えている。
  • ルイ16世
    フランス王。ルイ15世の崩御より即位。小太りでおとなしく、優柔不断。趣味は鍛冶と狩猟。家庭的な父でもあり、妻と子を愛していた。優しい性格で、国民からも慕われていたが、ヴァレンヌ事件をきっかけに国民の信頼を失い、処刑される。
  • ルイ15世
    ルイ16世の祖父。1774年5月10日逝去。国王としては全くの無能で、愛人たちに大金を費やし、ルイ16世が即位する以前に、フランスの財政を破綻させていたと言われる。
  • デュ・バリー夫人
    ルイ15世の愛妾。マリー・アントワネットと対立し、アントワネットを屈服させたこともある。ルイ15世の死去によって後ろ盾を失い、宮廷から追放される。作中では自らの欲とプライドのためには手段を選ばない傲慢な人物として描かれているが、実際は心優しい女性だったようだ。
  • マクシミリアン・ド・ロベスピエール
    弁護士。その身分と貧しさのために不遇の少年時代をすごし、貴族を憎んでいる。フランス革命の指導者となり、恐怖政治をおこなうことになるが、漫画の中ではそのような負の側面はほとんど触れられておらず、情熱的な革命家という風に描写されている。
  • サン・ジュスト
    革命家。ロベスピエールの側近。国民公会で、ルイ16世の処刑を支持する演説を行い、弁舌の巧さで処刑支持派を多数にすることに成功した。オスカルと会ったことがあるが、その時は単なる不良青年に過ぎなかった。原作ではロベスピエールを尊敬する若き革命家であるが、アニメ版では過激な思考を持つテロリストとして描かれており、ロベスピエールに対してすら辛らつな言葉を投げかけている。
  • ナポレオン・ボナパルト
     『栄光のナポレオン-エロイカ』の主人公。フランス革命後の混乱の中、軍人として台頭し、ついに皇帝の座へ上り詰める英雄。本作品登場時はまだ砲兵隊の大尉で、ほんのチョイ役であるがオスカルと言葉を交わす場面が描かれている。オスカルをして「あれは鷲の眼だ・・・帝王の眼だ!」と言わしめ、新たな時代の幕開けを予感させた。
  • ソフィア
    フェルゼンの妹。
  • ルイ・シャルル
    アントワネットの次男。フランス王子。後にアントワネットと引き離される。
  • ルイ・ジョゼフ
    アントワネットの長男。脊椎カリエスで死亡する。オスカルに憧れを抱いていた。
  • 画家の先生
    画家。オスカルの肖像画を描く。マロン・グラッセに恋をしていた。
  • ピエール
    パリの民衆の息子。ド・ゲネメ公爵に銃殺される。
  • ブーレンビリエ侯爵夫人
    オスカルの母の友人。ジャンヌを引き取り、教育を受けさせるが、彼女の野心により、ニコラスに殺された。

[編集] 外伝 黒衣の伯爵夫人

  • 「黒い騎士」騒動の頃のエピソードとして、実際の事件をモチーフに描かれている。文庫版の5巻と完全版の8巻に収録。
    姉のオルタンスの住む城へ休養に出かけたオスカル・アンドレ・ロザリー。城に着いた彼らを待っていたのは、オルタンスとその娘のル・ルー、そして人々を脅かしている「吸血鬼」の噂だった…。

[編集] 「黒衣の伯爵夫人」登場キャラクター

  • オルタンス・ド・ラ・ローランシー
    オスカルの姉。一人娘がいる。裁縫が下手らしい。
  • ル・ルー・ド・ラ・ローランシー
    オルタンスの一人娘。妙に大人を食ったところがある。オルタンスが作った、ル・ルーの人形を常に持っている。ロザリーと仲良くなる。アンドレに心に突き刺さる言葉を投げかける。
    爆発したような天然パーマをツインテールにしており、美人と言うより愛嬌のある顔立ち。しかし本人によればこれはオスカルの血を引いているからであり、将来的に「すっごい美人」になるらしい。
  • エリザベート・モンテクレール
    モンテクレール城に住む美貌の伯爵夫人。時計技師に無理やり人殺し人形を作らせ、その人形でたくさんの少女を殺害。少女の血で沐浴することで、自らの若さと美を保てると信じていた。エリザベート・バートリがモデル。人から「美人」と言われるのが好き。
  • リオネル
    モンテクレール城に住む、美しい青年。その正体はぜんまい仕掛けの人形で、犠牲者を恐ろしい力で拘束し、胸部から突き出す刃で殺害する。
  • カロリーヌ・ド・ルフェビュール
    貴族の娘。オスカルに付き添うロザリーに嫉妬し、彼女に意地悪を仕掛ける。人殺し人形により殺された。

[編集] ベルサイユのばら 外伝

雑誌「月刊Jam」 (中央公論社刊 )にて1984年6月号~1985年4月号まで連載された。全4話。「黒衣の伯爵夫人」同様、「黒い騎士」騒動の起こった頃のエピソードとして書かれている。「黒衣の伯爵夫人」にも登場したオスカルの姪・ル・ルーを主人公に据えた、コメディ色の強いシリーズである。中央公論社より、愛蔵版・文庫版(全1巻)が刊行されているほか、完全版の9巻にも収録されている。

[編集] 外伝登場キャラクター

本編・「黒衣の伯爵夫人」に登場したキャラクターは、追加点のみを述べる。

  • ル・ルー・ド・ラ・ローランシー
    外伝の主人公。オスカルの姉・オルタンスの一人娘。おしゃべりで好奇心が強く、どこにでも行ってしまうために周囲(主にオスカル)の頭痛の種となっている。非常に勘がよく、機転がきくためオスカルや周囲の人間のピンチを何度も救う。STORY3で初恋を経験するが、相手が男装した女性(オスカルではない)であった事を知り、失恋に終わる。
  • オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ
    ル・ルーから見れば叔母に当たる。作者の絵柄の変化により、より男性的な体つきになっている。
    STORY2では、突然現れた弟を前に、自身の存在意義について揺れる事になる。
  • アンドレ・グランディエ
  • ロザリー
  • マロン・グラッセ
  • レニエ・ド・ジャルジェ
  • ジャルジェ伯夫人
  • モーリス

[編集] 宝塚歌劇

池田理代子の漫画を原作として制作され、宝塚歌劇団で公演された演劇作品。1974年初演。

詳細はベルサイユのばら (宝塚歌劇) を参照。

[編集] テレビアニメ

池田理代子の漫画を原作として作られたテレビアニメ。1979年10月10日から1980年9月3日まで、日本テレビ系列で放送。全40話。

[編集] キャスト

[編集] スタッフ

[編集] 劇場版アニメ

テレビアニメ版の再編集作品。声優を変更して新たに収録し直された。1990年公開。

[編集] キャスト

[編集] スタッフ

  • 監督:こだま兼嗣
  • 製作:藤岡豊
  • プロデューサー:加藤俊三
  • 原作:池田理代子
  • 脚本:山田正浩/篠崎好/杉江慧子
  • 企画:梅谷茂/山本又一朗
  • 作画監督:荒木伸吾
  • 撮影:高橋宏固
  • 音楽:馬飼野康二
  • 美術:水谷利春/窪田忠雄/川井憲

[編集] CDドラマ

2003年、GOHAN RECORDSより、「―忘れ得ぬ人・オスカル―」という副題がついたCDドラマが出されている(品番 GPCV-1001)。

[編集] キャスト

このメンバーはその後パチンコ台(エース電研・トリプルA)としてリリースされた「CRベルサイユのばら」にも声の出演をしている。

[編集] 実写版映画

池田理代子の漫画を原作として作られた実写映画。1979年3月公開。ストーリー展開は原作と異なっている。監督は「シェルブールの雨傘」の名匠ジャック・ドゥミ、音楽にアカデミー賞作曲家ミシェル・ルグランという豪華な顔ぶれ。製作にあたってフランス政府の協力によりヴェルサイユ宮殿での撮影が特別に許可されるなど、大きく話題になった。公開当時、資生堂とタイアップしたことにより、口紅のキャンペーン用に大量のCMスポットがテレビに流れた。コピーは『劇的な、劇的な春です。レッド』。映画自体はヒットしたが、評判はよくなかった。

[編集] キャスト

  • オスカル:カトリオーナ・マッコール
  • アンドレ:バリー・ストークス
  • マリー・アントワネット:クリスティーナ・ボーム
  • フェルゼン:ジョナス・ベルクシュトローム

[編集] スタッフ

[編集] ベルばらKids

2005年10月より朝日新聞土曜日別冊朝刊「be on Saturday・エンターテインメント」に「ベルばらKids」が掲載されている。池田作画の4コマ漫画とコラムから成っており、漫画のキャラクターは全員が3頭身。内容は、通常の「ベルサイユのばら」とほぼ同じだが、4コマ漫画らしくギャグテイストになっている。ルイ16世が秋葉原のメイド喫茶に行ったり、ベルサイユ宮殿にテレビがあったり、オスカルが歴史書を見て未来を知っているなど、21世紀の日本と世界が繋がった設定となっている。

[編集] 英訳版

1981年に三友社出版が全7作の英訳版の刊行を企画し、同7月に The Rose of Versailles Vol.1、11月に The Rose of Versailles Vol.2 が発行されたが、以後、企画が頓挫しており、復刊ドットコムなどでファンから完結が待ち望まれている。訳者は、『ニッポンマンガ論 ― 日本マンガにはまったアメリカ人の熱血マンガ論』(マール社、1998年)などの著者フレデリック・L. ショット。

[編集] その他

  • TVアニメ版が放映開始される直前の1979年9月17日に放送された「ルパン三世」の第101話『ベルサイユは愛に燃えた』で、オスカルはルパン三世と共演している。現代に現れたオスカルは、ルパンにマリー・アントワネットの宝冠の所在を教えて盗み出させ、折半にするという約束をするが、裏切って宝冠を独り占めにしようとする。実は、宝冠に飾られている青真珠に封入された、石になる秘薬を飲み、既に石になってしまっている永遠の恋人アンドレの許へ行こうとしていたのである。なお、ルパンはオスカルが女性である事に気づかず、「男」にときめいてしまう自分に戸惑ったりする。この話がルパン三世100回記念のシナリオ公募作品であったため実現した、夢の競演と言える。ちなみにオスカルの声を演じていたのはアニメ本編の田島令子ではなく、二木てるみである。
  • 2000年LAREINE(ラレーヌ)が、アニメ版の主題歌「薔薇は美しく散る」をカバー。原作者の池田理代子もコーラスで参加。初回限定盤のジャケットには池田理代子の描き下ろしイラストが描かれている。
  • 2006年の春にタキイ種苗から『ベルサイユのばら』と名付けられたペチュニアの新品種が発売されている。また発売記念グッズにベルばらのイラストが使われた。
  • フジテレビトリビアの泉にて『ベルサイユのばらの頃のパリは糞尿だらけ』というトリビアの回答VTRにて、原作の一部分の絵が用いられ、声もオスカルを田島令子が、アンドレを志垣太郎がそれぞれ演じている。ちなみにオチのナレーションは「華(はな)の都パリは鼻(ハナ)の曲がる都だった」。
  • 『ベルサイユのばら』には、ヴァレンヌ逃亡によりマリー・アントワネットが恐怖のあまり一夜で白髪になるという描写があるが、これは作者の演出であり完全なフィクションである。本国フランスにおいてもマリー・アントワネットが一晩で白髪になったという事実は無く、殆どのフランス人はこの逸話すら知らない。医学的に人間の髪が一夜にして白髪になるという事はあり得ないとされているが、実際にこの迷信を信じる人の割合は日本が突出して高い(逆に海外ではその割合は低い)。本作の他にも、マンガ『あしたのジョー』で、ホセ・メンドーサが、同じように恐怖によって白髪化する描写があり、物語の重要な登場人物が一瞬もしくは一夜にして白髪になるというエピソードは読者に大きなショックを与える為、結果として両作品のヒットによってこの迷信が日本に広く浸透したのではないかと考えられている。
  • 連載当時にはオスカルのファンクラブも結成されていた。『ばらベルサイユ』という機関紙がリアルタイムで発行されており、現在ではその一部を2002年発行の『ベルサイユのばら大事典』で見ることができる。ちなみに機関紙を中心となって編集していたのは作中、舞踏会のシーンにプラカードを持って登場したこともあるエミリという女性。
  • 本作ではオスカルの死後、バスティーユ陥落からアントワネットの処刑までがわずか10回の連載で収められているが、これは一番人気のオスカルが退場することによって人気が落ちることを懸念した編集部の意向によるものであったことを作者自身が明らかにしている。

[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

  1. ^ 『愛蔵版ベルサイユのばら上巻』(中央公論社1987年)の著者の前書きより。
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