教員資格認定試験
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教員資格認定試験(きょういんしかくにんていしけん)とは、文部科学省、または文部科学省が委嘱する大学が実施する教員資格の認定試験のことである。教育職員免許法の第16条の2に定めがある。なお、教育職員検定は、都道府県の教育委員会が実施する試験のことであり、制度的に別の試験である。
教員資格認定試験規程(文部科学省令)においては、「幼稚園教諭資格認定試験」「小学校教員資格認定試験」「高等学校教員資格認定試験」「特殊教育教員資格認定試験」が定められているが、文部科学省において、2004年度(平成16年度)以降の高等学校教員についての資格認定試験は当分の間行わないとされた。現在は、「幼稚園教諭資格認定試験」「小学校教員資格認定試験」「特殊教育教員資格認定試験」が行われている。
この試験は、教職課程を受けていない人にも教員免許を受ける機会を与えるものである。出題レベルは、教員採用試験などに比べると高く設定され、特に教科に関する科目ではより専門的に深く出題される。
教員資格認定試験に合格すると合格証書が授与され、合格証書を元にして都道府県の教育委員会に申請を行うことによって免許状が授与される。
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[編集] 種類
[編集] 幼稚園教員資格認定試験
幼稚園教員資格認定試験とは、幼稚園教諭二種免許状の授与を受けるための資質を審査するための認定試験のことである。
規制改革推進3か年計画(平成15年3月28日閣議決定)を踏まえ、幼稚園と保育所の連携を一層促進する観点から保育士として一定の在職経験を有する者が幼稚園教諭免許状を取得する方策として実施されている試験である。
2005年から新設された試験である。
平成17年度の実施内容
- 1次試験
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- 一般教養科目、教職に関する科目(I)、教職に関する科目(II)
- 2次試験
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- 教職に関する科目(III)、指導案の作成に関する試験
[編集] 小学校教員資格認定試験
小学校教員資格認定試験とは、小学校教諭二種免許状の授与を受けるための資質を審査するための認定試験のことである。
平成17年度の実施内容
- 1次試験
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- 一般教養科目、教職に関する科目(I)、教職に関する科目(II)
- 2次試験
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- 教科に関する科目、教職に関する科目(III)、口述試験
- 指導の実践に関する事項に係る試験
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- 実技試験等により、小学校における指導実践に関して審査される。
[編集] 特殊教育教員資格認定試験
特殊教育教員資格認定試験とは、盲学校自立活動教諭一種免許状(視覚障害教育)、聾学校自立活動教諭一種免許状(聴覚障害教育)、養護学校自立活動教諭一種免許状(肢体不自由教育)または養護学校自立活動教諭一種免許状(言語障害教育)の授与を受けるための資質を審査するため認定試験のことである。なお、試験の実施種目により隔年実施されているものもある。
平成17年度の実施内容
- 1次試験
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- 一般教養科目、教職に関する科目、自立活動に関する科目(I)
- 2次試験
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- 自立活動に関する科目(II)、自立活動に関する科目(III)、口述試験
[編集] 高等学校教員資格認定試験
看護、情報、福祉、柔道(保健体育の一部領域)、剣道(保健体育の一部領域)、情報技術(工業の一部領域)、建築(工業の一部領域)、インテリア(工業の一部領域)、情報処理(商業の一部領域)、計算実務(商業の一部領域)の免許について試験が行われていた。教科・科目によっては隔年実施のものもあった。
現在は、特別免許状の活用という名目で試験は実施されていない。名目上は「平成16年度以降の高等学校教員資格認定試験については当分の間行いません。」として休止であるが、事実上の廃止と見られている(制度上で試験を廃止するには法令改正が必要となるため)。
[編集] 試験の免除
1次試験では、次の条件を満たす場合に、科目ごとに試験の全部または一部が免除される。
- 一般教養科目
- 大学(短期大学でもよい)を卒業している場合、この科目が免除される。
- 教職に関する科目(一次試験のみ)
- 前年度の一次試験に合格していれば免除される。したがって、前年度一次試験合格者は二次試験よりの受験でよい。
- 教科に関する科目
- 当該分野に関連した資格(実施要綱で指定されたもの)を取得している場合、この科目の一部が免除される。
[編集] 受験者の傾向
教職課程を受けていない人に門戸を広げている教員資格認定試験だが、受験者の大半は、既に何らかの教員免許状を持っている人である。
その背景事情として、現職の教諭は教育委員会などが主催する講習会の受講を経て短期間で免許の授与が受けられることがあるが、受講条件から外れた教諭や、常勤講師・非常勤講師など臨時的任用を受けている職員の場合、このような講習会が受けられない。そのため、大学の通信教育で教職課程を修得するほか、希望の教科を教員資格認定試験によって追加する人が多い。
また、平成15年度まで実施されていた「高等学校教員資格認定試験」では、実施教科に関連した分野の民間企業などに従事する社会人も多数受験した。