教科書採択
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教科書採択(きょうかしょさいたく)とは、学校で使用する教科書を決定することをいう。教科書の採択で問題になるのは、特に義務教育諸学校(小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、盲学校・聾学校・養護学校の小学部・中学部)の場合である。
第二次世界大戦後、義務教育諸学校の教科書採択権は各学校にあり、教師が教科書展示会で教科書の見本本(みいほんぼん)を見ながら使用教科書を決定していた。しかし、現在の教科書無償制度では、採択権者は国立、私立の学校においては校長、公立学校に置いてはその学校を所管する教育委員会となった(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第6号、教科書無償措置法第10条)。
現在、公立学校の教科書の採択区域は広域選択制が実施され、都道府県の教育委員会は市若しくは都の区域(又は特別区の区域)又はこれらを合わせた区域に採択区域を設定している(教科書無償措置法第15条、第16条)。
教科書採択にあたっては、都道府県教育委員会の影響力が大きく、都道府県立学校の教科用図書を自ら採択するほか、都道府県教科書選定審議会の意見を聞いて、市町村教育委員会及び国立・私立義務教育諸学校の校長に対して採択に関する指導・助言・援助を行う(教科書無償措置法第10条、第11条)。市町村教育委員会は、都道府県教育委員会の指導・助言・援助に基づき、文部科学大臣の作成する教科書目録から種目ごとに1種類の文部科学大臣の検定済又は文部科学大臣著作の教科書を採択する(教科書無償措置法第13条)。いったん採択された教科書は、4年間同じものを採択することとなっている(教科書無償措置法第14条)。
教科書をこどもに併せて選ぶという立場からは、採択権者が教育委員会であり、採択区域が広域であることに対する批判が強い。1996年(平成8年)行政改革委員会の「規制緩和の推進に関する意見(第2次)」では、将来的な学校単位の採択の検討、採択区域の小規模化及び採択方法の改善を提言している。
[編集] 関連項目
- 教科用図書検定(教科書検定)
- 歴史教科書問題
- 新しい歴史教科書をつくる会
- 日本教職員組合