月餅
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月餅(げっぺい、中国語:ユエピン yuèbǐng、英語:Mooncake)は中華饅頭の一種。月に見立てた丸く、平たい形は共通であるが、中国各地で大きさ、材料、中に詰める餡などには違いがあり、またそのいわれについても諸説がある。
最も有名な物は「広式」と呼ばれる広東省広州のスタイルで、柔らかめの餡や皮を用い、塩漬けし茹でたアヒルの卵の黄身を入れたものに人気がある。小豆餡の他、ハスの実の餡やナツメ餡なども一般的である。一方、北京など、北方の物は、一般的に水分が少なめの餡を使い、クルミや松の実などのナッツを入れたものが多い。水分が少ない分、保存性は比較的高い。香港ではアイス月餅など、新しく作られたバリエーションが豊富である。一般的に、砂糖を多く含む他、ラードなどの油脂分も含むため、見た目以上にカロリーが高い菓子である。
旧暦の 8月15日の中秋節の時、家族や親しい友人が集まり、月を愛でてこの菓子を食べる風習がある。現在は、中秋節が近づく頃、親しい人やお世話になっている人にこれを贈ることが盛んである。数多く贈る手間を省いたり、新しいものを入手できるように、特定の店で使える月餅専用の商品券で贈る場合もある。数を多く贈ると、結構な出費となるので、香港では、毎月積み立てをして商品券を受け取れる様にする制度もあった。現在は金箔を貼ったり、素材に凝った豪華な物が出てきている他、箱に時計や洋酒といった高価な商品を詰め合わせて売る商法もあり、贈賄問題となる例もある。そのため、中国政府は 2005年以後、月餅の包装や詰め合わせものの価値が、月餅そのもののコストの20%を超えてはならないという法律を制定した。
日本国内では、菓子メーカー中村屋が日本人の口に合うように調味した商品を開発(油の量を減らし、皮の触感を調整)、全国の食品店に流通して広まった。それとは別に中華街や中華料理店で販売する例も多く、また中国茶とセットの喫茶や飲茶で出される例もある。