標準偏差
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標準偏差(ひょうじゅんへんさ、Standard Deviation)は、統計値や確率変数の散らばり具合を表す数値のひとつで σ や s で表す。
二乗平均平方根 (RMS) と同じものであると誤解される事が多いため、注意が必要である。
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[編集] 統計値の標準偏差
例として、n 人のクラスで試験が行われたとする。それぞれの点数を x1, x2, ..., xn とすると相加平均は、
この時、
を分散(正確には標本分散)といい、母集団が十分に大きく標本数が有限の場合、分散 σ2 の推定値として
この分散または不偏分散の正の平方根が標準偏差である。 さらに、試験の点数を平均が 50、標準偏差が 10 に対応するように変換したものを偏差値という。
例えば、平均 60 点で標準偏差が 20 の試験で 70 点をとった場合、偏差値は 55 である。 これの計算式は次の通り
- [( 得点70 - 平均点60 ) ×10 ÷ 標準偏差20 ]+50 = 偏差値55
※統計の教科書によっては n - 1 で割ったものが標本分散という名称になっており(例:東京大学教養学部統計学教室編『統計学入門』ISBN 4130420658)、一般的に用語が混乱して使用されているため注意を要する。母集団平均が不明で標本平均を代わりに使用する場合には、期待値が母集団分散となる上記の不偏分散を使用する事が多い。
[編集] 確率変数の標準偏差
[編集] 離散型確率変数
X を離散型確率変数とする。X のとりうる値が x1, x2, ..., xn で X が xi をとる確率を pi で表す。ここで、
とする。この時、
を確率変数 X の平均値という。分散は
となり、分散の平方根が標準偏差となる。
[編集] 連続型確率変数
X を連続型確率変数とする。連続関数 f(x) が
を満たし、かつ X の値が区間 [x1, x2] に属する確率が
の時、平均値は
分散は
となり、分散の平方根が標準偏差となる。