歯周疾患
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歯周疾患(ししゅうしっかん)とは、歯周組織に発生する、疾患の総称のことである。歯垢が主要な原因の一つである疾患が多いが、単に歯垢のみでなく、多くの複合的要因によって発生する。また、歯垢が一切関係ない(非プラーク性の)歯周疾患も多数存在する。
なお、歯周疾患のうち、歯肉に限局した炎症が起こる病気を歯肉炎(しにくえん)、他の歯周組織にまで炎症が起こっている物を歯周炎(ししゅうえん)という。ただし、通常、歯肉炎、歯周炎といった場合、それぞれ、単純性歯肉炎、辺縁性歯周炎を指すのが一般的である。
歯科疾患実態調査によると、日本においては歯周疾患の目安となる歯周ポケットが4mm以上存在している割合が、50代の人で約半数に達しており、また、高齢者の歯周疾患患者が増加していることが示されている。ただし、前回までと比較して調査方法の厳密化がなされていることから、単純比較は出来ないのではないかとされている。また、8020運動の推進などにより、残存歯数が増加していることも歯周疾患の増加に関わっていると考えられている。
目次 |
[編集] 病態
- 歯肉肥大
- 歯肉退縮
- 歯肉クレーター
- 歯肉クレフト
- フェストゥーン
[編集] 疾患
以下の疾患が知られるが、このほかにもいくつかの分類法がある。
- 単純性歯肉炎
- 辺縁性歯周炎
- 成人性歯周炎
- 思春期前歯周炎
- 若年性歯周炎
- 急速進行性歯周炎
- 薬物性歯肉増殖
- フェニトイン歯肉増殖
- ニフェジピン歯肉増殖
- シクロスポリン歯肉増殖
- 急性ヘルペス性歯肉炎
- 急性壊死性潰瘍性歯肉炎
- 急性壊死性潰瘍性歯周炎
- 歯肉繊維腫症
- 慢性剥離性歯肉炎
- パピヨン・ルフェーブル症候群
- 歯肉膿瘍
- 歯周膿瘍
- 歯冠周囲炎
- 智歯周囲炎
[編集] 指数
歯周疾患を評価する指数は多い。
現在知られている物としては、プラークコントロールレコード(PCR)、プラークインデックス(PLI)、OHI、OHI-S、歯垢指数、歯石指数、PHP、PSS、PMA指数、Gingival Index、Gingival Bleeding Index、PI、PDI、GB count、地域歯周疾患指数(CPI)等がある。
[編集] 治療における専門医制度
- 歯周疾患は歯科医療の領域であり、歯科医師が治療を担当する。また歯周病を専門とする専門医制度が厚生労働省より認可されており、日本歯周病学会の行う試験に合格すると歯周病専門医を名乗ることができる。また、同学会では日本歯周病学会認定歯科衛生士の認定も行っており、歯周疾患の専門性を高める施策を講じている。
- 尚、歯周疾患の治療に伴う移植が生じた際は、口腔外科や整形外科と連携して治療を行うのが一般的であり、この際は歯科医師と医師(整形外科医)が連携して治療を行う。
[編集] その他
- 歯学部、歯科大学では、歯周病治療科を「保存科」と表記している所もあるが、治療・研究の細分化・特殊化や患者への理解しやすい診療科目名などにより、「保存科」と表記せず、「歯周病科」、「歯周科」などの表記をする所が増加している。
- 歯周疾患の治療のことをペリオと言う。
- 歯周病菌はごく最近の研究で全身に影響が出ることが確認された。「歯周病菌連鎖」といわれており、口腔内で殺菌する方法しかない。
[編集] 関連項目
- 歯
- 歯科/歯科学
- 齲蝕/根尖性歯周組織疾患/根尖性歯周炎/歯周外科手術
- 糖尿病/ダウン症候群/周期性好中球減少症/壊血病
- 細菌学(口腔細菌学)/免疫学/微生物学/口腔外科学
- 歯科医師/歯周病専門医/感染症専門医/日本歯周病学会認定歯科衛生士/歯科衛生士/医師
- 日本歯周病学会/日本臨床歯周病学会/日本歯科保存学会/日本口腔感染症学会
- 21世紀における国民健康づくり運動
[編集] 外部リンク
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