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水月(すいげつ)は、元来「水と月」「水に映った月」などを意味する。この語の意味するところは宗教から兵法まで非常に多岐にわたり、その一方で、旅館や甘味処の名前としても知られており、たとえば森鴎外が舞姫を執筆した屋敷は「水月ホテル鴎外荘」として2005年現在も営業している。
- 水と月。
- 派生して、人柄の爽やかな人のたとえ。
- 水に映った月。
- 主に池や湖などの水面に映った月を言う。
- 転じて、実体の無い幻のようなもののこと。菅家後集に「ひとえに水月をもちてねむごろに空観す」とある。
- 水月(すいげつ/すいがつ)観音は、観音像のひとつ(三十三観音の一つ)で、観世音菩薩と、水面に映った月を主題として構成される。
- 川端康成が1953年に文藝春秋に発表した短編小説。手鏡が重要な小道具として全編を貫いており、終わり近くで水面に映る月が象徴的に扱われている。全文
- 水月湖は、三方五湖のひとつで、その中で最大の面積を占める。
- 兵法における陣立てのひとつで、水に映る月のように双方が対峙している様から。
- 関連して、「伊賀の水月」は、「荒木又右衛門」とも題される“36人斬り”の名場面で有名な講談で、赤穂浪士・曾我兄弟と並んで日本三大敵討ちの一つとされる「伊賀越えの敵討ち」を扱っている。この物語は1958年に大映によって映画化されている。
- 本居宣長の弟子で江戸時代中期の国学者、服部中庸の号。
- 日本武術の柔術、杖術などにおける人体急所の一つ。
- 鳩尾の部分に位置し、当身技においてはここを拳などを用いて強く打つ。フィクションの世界ではこの一撃で容易に人間を気絶させることができるが、現実では叶わない。眼球などのような「かするだけで効果絶大」の急所とは異なり、施術する側にもそれなりの技術・腕力が必要とされる。
- 流派によっては「胃臓のところ」と説明する。ただ、この胃臓は五臓六腑のひとつであり、現代医学の解剖学の知見とは異なる伝統中国医学の概念である。この急所は突き当てることによって一瞬息が止まり、敵を倒すことができるという。
- クラゲを意味する言葉。通常仮名漢字変換システムでは「水母」「海月」などしか出てこないが、漢和辞典ではこの表記も記述されている。
- F&C FC01から発売された18禁ノベルアドベンチャーゲーム。水月 (ゲーム)を参照。