法文学部
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法文学部(ほうぶんがくぶ)とは、人文科学および社会科学系の学問を広く研究・教育する学部である。法文学部の内容は大学によって異なるが、「法文学」という独特な学問分野があるわけではなく、基本的には文学部・(教育学部)・法学部・経済学部を(全体として規模が小さいが)包括したような性格を持つ。また人文社会科学部・人文社会学部や一部の人文学部(後述)も同様に性格づけられる。これらの諸学部は、大学によって上に挙げた文・教・法・経のそれぞれへの重点の置き方が異なっている。
日本で最初の法文学部は東北帝国大学法文学部である。九州帝国大学を始めとして、のちの各大学の文系学部は東北大に倣って法文学部としてスタートした所が多い。しかし、法文学部の設置はこのような一方向的なものだけでなく、人文学部からの改名(新潟大学)や文理学部からの分離独立(鹿児島大学や島根大学)として現れた法文学部もある。これは後述の複合学部としての法文学部の性格を示すものである。また、新潟大学や千葉大学の旧人文学部は法・経を含めた広義の人文科学を修める学部として構想されたもので法文学部と同じ内容をもち、現在多い文学部と同義的な人文学部よりも研究分野が手広い。
『金沢大学五十年史』「部局編」の第四章「法文学部」[1](pdf) は法文学部という学部形態について、「法科文科に偏らない学生の育成」という理念的な総合学部と各文系学部が独立するまでのたんなる過渡的な複合学部という両側面が含まれるとしている。さて、日本の大学を概観すれば法文学部を残す国立大学は現在わずか四校であるが、この名称の学部はいずれも歴史的にみて単に文系の"ミニ学部"を束ねたもの、すなわちこの二分法でいう複合学部としての側面(もはや「過渡期」ではないにせよ)が強い。同様なことは文理学部や法経学部、理工学部などにもいえる。