準学士
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準学士(じゅんがくし)とは、高等専門学校を卒業した者が称することができる称号のことである。
[編集] 準学士号とは
準学士の称号は、学校教育法第70条の8において、高等専門学校の卒業生に授与されると規定されている。従前の制度では短期大学の卒業生に対しても授与された。しかし、学校教育法の改正により、2005年10月1日以降に短期大学を卒業した者には短期大学士の学位が授与されることとなり、準学士号は高等専門学校においてのみ授与されることとなった。 なお、学校教育法の一部を改正する法律(平成17年法律第83号)附則第3条の経過措置規定により、当該制度改正前に短期大学が授与した準学士の称号は短期大学士の学位と看做されることとされた。(制度改正前に高等専門学校の卒業生に与えられた準学士の称号については従前の通り準学士のままとされた)
[編集] 準学士号の意義
短期大学及び高等専門学校は準学士の称号、専門学校では専門士の称号を付与してきた。
準学士については、短期大学卒業者、高等専門学校卒業者の社会的評価に付加を与える意味で称号の創設が求められ、教員免許において二種免許取得の要件に準学士の称号取得が課せられたことで一定の意義が定着した。
また、これまで大学学部の3年生に準学士入学と称して編入学できる制度も確立されてきたが、最近では短期大学卒業者、高等専門学校卒業者にも併設される専攻科を修了して学士の学位を取得する事で、大学を経る事なく大学院博士前期課程(もしくは修士課程)並びに専門職大学院専門職学位課程に志願できる制度が定着し、準学士の可能性は広がりつつある。
これは優秀な人材が集る高等専門学校などでは数多ある大学よりも低く評価され、技術能力に対して正当な評価とは言い難い面があり、高等専門学校卒業者にも大学院進学の道が出来たことは大きな意義があった。
学位が国際標準であるのに対して称号は日本国内でのみ通用するものであるため、準学士の称号を授与してきた短期大学では国際的評価につながる学位として短期大学士の創設を求め、これが認められたため準学士の称号は高等専門学校特有のものとなった。
しかし、実態として準学士であっても大学院進学の道がある以上、短期大学士と準学士の相違点は国際的に公認されるかどうかという点に留まるという見方もある。短期大学士の学位創設の後も国内的な評価としては大学(学士)>短期大学(短期大学士)=高等専門学校(準学士)=専門学校(専門士)という形で並列化しているともいえる。企業によっては高等専門学校卒・短期大学卒・専門学校卒と厳格に区別するところもあれば、同格とするところもあり、社会的評価としてはまばらでもあることから一概にはいえないのが現状であるが、給料や昇進等の待遇については高等専門学校>短期大学>専門学校という企業が多いであろう。
とりわけ短期大学をとりまく情勢は依然と厳しく、こうした情勢に対して短期大学士という評価も含めて、学生のニーズや社会的な人材供給への期待にどう応えるかという点が重要となってくる。