珠算
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一般に手書きによる筆算は1の位から十・百・千・万と上位の桁数に上って計算を行なうが、珠算では上位の桁から順次下方の桁に降りて計算を行なう。
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[編集] 珠算の計算方法
そろばんには、歴史的にいくつかの種類があるが、一般に珠算に用いられるのは、縦一列に5つの珠が並んでいるものが用いられる。以下、一般的な珠算による計算方法を説明する。
珠算においては、縦の一列が十進法の一つの桁を表すことになる。特定の場所を自分で任意に指定し、その部分を一の位として扱い、その左側の列を順に十の位、百の位と上記の位をあらわすものとして扱い、一の位より右側は、小数点以下第一位、第二位と右に行くにつれてより下位の位を表すことになる。
それぞれの位はゼロを表すときには、上部に区切られた一つの珠が上に、その他の四つの珠が下に下げられ、区切りの上下ひと珠分の空間が生じるように位置させる。モーションとしては、そろばん全体を手前が下になるように傾けて、全ての珠が下におりるようにした上で、そろばんを平らに戻し、各桁の一番上の一つの珠を人差し指で上(奥)に位置するように左側から右へ区切りと並行に横に動かすことになる。すべての位がゼロを表現している状態が基本位置で、これに戻すことが電卓でいうところのオールクリアの操作となる。
単純な加算の場合には、盤面上に、最初の一つの値を表現し、それに順次加える値を足す操作を繰り返すこととなる。加算の際のプロセスは上位の位から計算されることを除けば筆算のプロセスと変わらない。例えば356+872を計算する場合には、まず基本位置に戻したそろばん上に、356を表現し、上位から800を足すことで1156、70を足して1226、2を足して1228と、順次盤面を動かしていくことになる。
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一番左から順に右になるよう操作していく。下の二段は872を各位ごとに分割して操作する様を示す。 ◇がその際に動いた珠を指す。
2値の和の結果がそのまま盤面に残っているため、引き続き順次値を加算していくことが可能である。帳簿等でいくつもの値を全て合計する場合には連続して計算できるため便利である。
[編集] 珠算競技
[編集] 珠算
- 珠算競技の中心をなすもの。
- 通常、一種目3から10分程度で行われる。(読上算は除く)
- 基本的にはそろばんを使って計算することが前提となっているが、暗算で計算してもよいことになっている。このことについて、「道具の使用が許可されているのに、暗算で計算するなんて損ではないか」と考える人もいるが、桁数の少ない問題では暗算のほうが逆に有利であり、むしろ積極的に暗算で計算される傾向にある。特に、見取算、伝票算でその傾向が強い。
[編集] 種目
- 乗算
- 除算
- わり算の問題。
- 割り切れる場合と割り切れない場合がある。
- 見取算
- 加算のみ、および加減算の問題。
- 答えが負になる問題が混ざっていることもある。
- 伝票算
- 「伝票」と呼ばれる小冊子に書かれている数値を足す問題。
- これを苦手とする者も多い。
- 応用計算
- お金に関する計算の応用問題。
- 開法
- 読上算
[編集] 暗算
- 厳密に言えば珠算ではないが、種目に含まれている。
- 通常、一種目3分程度で行われる。(読上暗算は除く)
- これらの種目は、珠算式暗算で計算することが前提となっている。
- 当然だが、そろばんを使って計算してはいけない。
これも苦手とする人が多い。
[編集] 種目
- 乗暗算
- 乗算の暗算。
- 暗算でやる分、問題は幾分易しくなっているのが普通である。(以下同じ)
- 除暗算
- 除算の暗算。
- 見取暗算
- 見取算の暗算。
- 読上暗算
- 読上算の暗算。
- 億、兆といった単位の問題を容易にこなす猛者もかなりいる。
[編集] 主な全国大会
- 全大阪オープン(4月下旬)
- 名人戦(隔年の7月下旬)
- 全日本珠算技能競技大会
- 全国珠算競技大会クリスマスカップ(クリスマスに最も近い土曜日と日曜日)