ドル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドル(dollar, ダラーとも)は通貨単位のひとつであり、複数の国で使用されている。記号は $。漢字では、字形の似た「弗」を宛てる。
目次 |
[編集] 概説
国の指定がない場合はアメリカでのドル(USドル)を指すことが多い。他の国のドルであることを明確に表したい場合は、オーストラリア・ドル、香港ドルのように国名や地名をつける。
ドル(ダラー)という名前は、ドイツで使われた歴史的通貨のターラー (Thaler) から来ている。ターラーは、16世紀にボヘミアのザンクト・ヨアヒムスタール(現在のチェコ・ヤーヒモフ)という銀の鉱山で鋳造されたヨアヒムスターラー (Joachimsthaler) という銀貨の名前が短縮されてターラーと呼ばれるようになったものである。この品質の高さで知られた銀貨を指すターラーという言葉が良貨の含意で一般名詞化し広まり、その後、アメリカ合衆国他各地に於いて良貨の意味を込め自国通貨をDollarと呼ぶようになった。
日本では明治時代初期にDollarを日本式に読んで「ドルラル」と呼び、それが略されてドルとなった。
ドル記号$のデザインの由来は諸説あるものの、一番有力な説は、かつてアメリカ合衆国確立以前の北米地域の基軸であったメキシコとその宗主国スペインの通貨ペソに起源を持つというものである。ペソを表すP'sがだんだんとPとSが重ね書きされるようになっていった結果、$になったものとしており、当時の帳簿などにその変遷を求めることができたとする経済史学者の研究がある。他に、縦線を2本書くのはジブラルタル海峡の両端に立つヘラクレスの柱に由来しているとするもの、また別の説では、同じく当時のペソが8レアル換算であったため、「8R」が$のように書かれるようになり、ペソ非主流地域ではこれがペソを表すようになり広まったとする説。そのほかに、英国の通貨単位のひとつシリングのSに由来するなどの説がある。
[編集] 米ドルの種類
紙幣( )内は肖像
- 100ドル紙幣(物理学者ベンジャミン・フランクリン)
- 50ドル紙幣(18代大統領ユリシーズ・S・グラント)
- 20ドル紙幣(7代大統領アンドリュー・ジャクソン)
- 10ドル紙幣(政治家アレクサンダー・ハミルトン)
- 5ドル紙幣(16代大統領エイブラハム・リンカーン)
- 2ドル紙幣(3代大統領トーマス・ジェファーソン)
- 1ドル紙幣(初代大統領ジョージ・ワシントン)
貨幣( )内は通称
- 1ドル(シルバー)硬貨
- 50セント(ハーフ)硬貨
- 25セント(クォーター)硬貨
- 10セント(ダイム)硬貨
- 5セント(ニッケル)硬貨
- 1セント(ペニー)硬貨
一般に出回っている紙幣は20・10・5・1でそれ以外を見ることは殆ど無いに等しい。また高額紙幣の支払いは(金額にもよるが)基本的には店から歓迎されないので注意が必要。日本の1万円札と同じ感覚では使うことができない。銀行で預金の払い戻しをしてもATMから出される紙幣は20ドル紙幣が主で、100ドル紙幣は出てこない。また紙幣のサイズは全て統一されている。
1ドル硬貨・50セント硬貨を見ることは殆ど無い。また日本のように端数を小銭で出して少ない小銭を作る(1050円-550円=500円)のような習慣が基本的には無いので硬貨の必要性が日本に比べきわめて低く、1セント硬貨に至っては捨てる人もいるほどである。基本的に硬貨は通称で呼ばれる。サイズは50セント(銀色)→1ドル(黄色)→25セント(銀色)→5セント(銀色)→1セント(茶色)→10セント(銀色)の順番で小さくなる。
詳しくはUSドルの項を参照のこと
[編集] 現行通貨
- オーストラリア・ドル
- バルバドス・ドル
- バハマ・ドル
- ベリーズ ・ドル
- バミューダ・ドル
- ブルネイ・ドル
- カナダ ・ドル
- カイマン諸島ドル
- 東カリブ・ドル
- フィジー・ドル
- ガイアナ・ドル
- 香港ドル
- ジャマイカ・ドル
- リベリア・ドル
- ナミビア・ドル
- ニュージーランド・ドル
- シンガポール・ドル
- ソロモン諸島ドル
- スリナム・ドル
- ニュー台湾ドル
- トリニダード・トバゴ・ドル
- アメリカ合衆国ドル
- ジンバブエ・ドル
このほか、国際的に認められていないシーランド公国の通貨である、シーランド・ドルが存在する(アメリカ・ドルと等価)。