現人神
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現人神(あらひとがみ)は、「この世に人間の姿で現れた神」を意味する言葉。日本では主に第二次世界大戦終結以前における天皇の呼称(尊称)。大日本帝国が第二次世界大戦で敗戦した以降は、新日本建設に関する詔書(いわゆる人間宣言)によって天皇の神格性は架空のものとして否定されたとされ、公の場で「現人神」と言う呼称を用いられる事は無くなったが、現在でも日本における右翼・保守派の一部は天皇を「現人神」として神聖視している。
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[編集] 民俗学的側面から見た概要
古代国家の成立において、王の権力はしばしば、神話によって装飾され、「王こそが神である」とする様式が生まれた。特に国家の規模が拡大する上で、王が神聖であれば、それを打ち倒して権力を収奪する行為は、神罰が当たる物として恐れられる事により、また人を使役する場合に於いては、理不尽な命令であっても、やはり逆らえば神罰が下るとしておけば、それに逆らう者がなくなるといった効果が期待できる。
特にこのような成立は、国家という規模の発生に於いては普遍的なものであり、洋の東西を問わず似たような事例には事欠かない。よく知られた所では、古代エジプトや古代ギリシア・インカ文明・西欧の王侯や貴族の制度・古代から近代までの日本に到るまで、文化的な連続性が無いにも関わらず、似たような経路による発展が見られる。
これらの文明系では、王は死後に神に戻るとされ、その遺骸は恭しく埋葬され、また肉体は滅んでも精神(霊)は続くと考えられたため、大規模な墳墓が残され、盛大に祀られる傾向が見られる。
[編集] 現代日本の現人神信仰
天皇を除く現代の日本の現人神信仰の宗教は問題のあるところ多く、有名なものでは、麻原彰晃(本名:松本智津夫)をシヴァの化身としたオウム真理教(現アーレフ)を始めとして、自らをイエス・キリストの再臨だとした文鮮明を教祖とする韓国発祥の宗教・統一教会(世界基督教統一神霊協会)、同じく韓国に本部がある教団の摂理などがあげられる。キリスト教も見方によれば二千年間存続した現人神信仰の一種とも言える。 また、歴代会長(特に池田大作氏)を絶対視する創価学会も、現人神信仰の一種とみなす意見もある。(ただし、創価学会の会員はそれを否定するが。)