生ビール
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生ビール(なまびーる)とは、市販されているビールのうち、熱処理(殺菌)されていないもののことである。これは「ビールの表示に関する公正競争規約・第4条」によって定義されている。また、ビヤホールや飲食店で供される樽出しビール(draft beer)をさす言葉としても使われている。
かつては市販の瓶詰・缶詰ビールは熱処理されているのが普通であり、「生ビール」とは後者、すなわちお店の樽出しビールのことであった。しかし日本では1990年代に市販の瓶詰・缶詰製品でも非熱処理ビールが主流となり、現在では2つの意味が併存するようになっている。非熱処理ビールの一般向け販売は、メーカーの製造レベルにおける衛生管理と濾過技術の発達、流通レベルにおける冷蔵輸送の普及によって実現した。
現在の市販生ビールの最初の製品は、1967年発売のサントリー「純生」である(現在の発泡酒「純生」とは別の製品)。ただし、それ以前にも古い生産技術による生ビールが存在した。1877年に北海道開拓使・官営札幌麦酒醸造所(のちに払い下げられてサッポロビールとなった)が発売した「冷製札幌ビール」がそれである。しかし生産地(札幌)から消費地に輸送する途中で、酸敗によりコルク栓が抜けるなどの事故が多発し、商品としては失敗に終わった。1960年には、アメリカ統治下の沖縄のオリオンビールが「びん詰め生ビール」を発売している。こちらの場合は生産地と消費地が近く、飲食店向けに出荷されてすぐに消費されていたので、問題は少なかったと言われている。
「生ビール」が「熱処理ビール」より、必ずしも味の点で優位とは限らない。いまでも熱処理ビールは多く、海外の多くの製品がそうであるし、2007年現在の日本ではキリンビールが「キリンクラシックラガー」および「キリン・ザ・ゴールド」、サッポロビールが「サッポロラガー」(現在では飲食店向けに販売)を生産している。なお、熱処理ビールの大多数の名称にラガーが含まれているが、ラガービールとは「下面発酵酵母を使用した、貯蔵熟成工程をもつビール」のことであるため、熱処理の有無とは無関係である。
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