皇国の守護者
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『皇国の守護者』(こうこくのしゅごしゃ、IMPERIAL GUARDS )は佐藤大輔によって書かれた、架空世界を舞台とする戦記小説である。現在9巻。また伊藤悠によって漫画化されている。
目次 |
[編集] 概要
人と龍が共存する世界で、小さいながらも貿易によって繁栄していた<皇国>と海の彼方から侵略してきた<帝国>との戦争、それをきっかけとして激化する<皇国>内部の権力闘争を描く。
多くの佐藤大輔作品と同様にプロローグは本編の数十年後の場面であるが、その頃には<帝国>との戦争は過去のものとなり、主人公の新城も一部の者以外からは忘れられ始めているらしい。
[編集] 各巻サブタイトル
- 反逆の戦場(Nowhere Fast)[ISBN 4-12-500525-7]
- 勝利なき名誉(Glory without Victory)[ISBN 4-12-500537-0]
- 灰になっても(Not of Another Ashes)[ISBN 4-12-500542-7]
- 壙穴【はかあな】の城塞(Princess's own LOVERS)[ISBN 4-12-500631-8]
- 英雄たるの代価(Fair is Foul)[ISBN 4-12-500676-8]
- 逆賊死すべし(General's Winter)[ISBN 4-12-500700-4]
- 愛国者どもの宴(Patriot's Fantasy)[ISBN 412500725X]
- 楽園の凶器(The Soldiers of Heaven)[ISBN 4125008027]
- 皇旗はためくもとで(Bloody Harvest)[ISBN 4125008752]
[編集] キャラクター
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
階級などは基本的に初登場時のものを記す。
[編集] <皇国>
- 新城直衛(しんじょう なおえ)
- 背丈はさほど高くも無く、正直なところ凶相に近い容貌の持ち主である本作の主人公。幼くして東洲内乱で村を焼かれて孤児となり、軍務中であった駒城親子に拾われて駒城家の育預(はぐくみ、相続権を持たない養子のようなもの)として育てられる。15歳で新しく新城の姓を与えられると同時に特志幼年学校へ入学。卒業後、銃兵隊に配属されるも、隊に馴染めず、それを見た義兄の計らいにより新設の陸軍剣虎兵学校へ愛猫の千早を伴い教官として赴任。その後、<陸軍独立捜索剣虎兵第11大隊第2中隊>へ配属される。<帝国>軍来寇時は陸軍中尉。北領での戦功により少佐まで昇進(同時に水軍名誉少佐も任官)し、その後陸軍から近衛総軍に転属。<近衛衆兵独立鉄虎第501大隊>指揮官を経験した後に<近衛嚮導聯隊>を任される。虎城防衛戦後、中佐へ昇進。
- <帝国>軍からは「猛獣使い」と恐れられ、<皇国>衆民からは英雄視され、駒城以外の将家からは自分達の既得権益を脅かす存在として警戒される。性格はかなりの難物で、鷹揚にして小人物、偽善にして為善、図太く見えるが本質的にはかなりの臆病者…等と、非常に屈折した面を持つ。また、性行為の際に相手の首を絞めたがるという極端な性癖あり。その複雑怪奇きわまる人間性から他人から嫌われる事も多いが、「将校(職業軍人)は死を覚悟するのは当り前だが、兵はできるだけ死なすべきではない」という理念により、特に兵からの信頼は厚い。1巻で義姉の身体に触れたのは幼い頃だけとの記述があるが、後の巻でそれと矛盾する内容の記述が出てくる。
- 千早(ちはや)
- 新城の愛猫たる雌の剣牙虎。千早の母猫は東洲で孤児となった幼い直衛が手名付けたもので、新城と共に駒城親子に拾われている。剣牙虎としてはかなりの美形(?)らしい。戦場では新城に同行して彼を助ける。
- 蓮乃(はすの)
- 新城の義姉であり(血縁は無い)幼馴染。新城同様東洲内乱で孤児となり、幼い直衛と共に生活していたところを駒城親子に拾われる。駒城家の育預として育てられ、のちに保胤の愛妾(事実上の正妻)となる。直衛を女として愛してしまう自分を嫌悪し、特に戦乱が始まってからは直衛に辛く当たり後悔することも多い。皇都内乱に於いて、癲狂した佐脇俊兼に惨殺される。
- 駒城礼子(巻によっては麗子、また敬称は“初姫”。くしろ れいこ)
- 保胤と蓮乃の娘。なぜか新城や千早に非常に懐き、生来剣牙虎の扱いに長ける面を見せる。皇都政戦時に羽鳥守人と駒城篤胤の発案によって新城の許婚となる。プロローグ(第1巻)は本編の60年後、新城の未亡人となった彼女が娘婿に宛てた書状の形を取っている。
- 天霧冴香(あまぎり さえか)
- 新城の個人副官。新城が近衛少佐になった時に、実仁親王の配慮により配属された。ちなみに実仁親王の副官・清香の弟(いもうと)に当たる。男性の凛々しさと女性の美しさを完璧に兼ね備えた両性具有者。鋭剣(おそらくは眞柴流剣芸)の達人でもある。新城を心より愛する者の一人だが、愛情の深さに比例した嫉妬深い一面も見せる。着任時は中尉相当官であったが、新城の中佐昇進に合わせて大尉相当官へ昇進している。
- 駒城保胤(くしろ やすたね)
- 新城の義兄にして蓮乃の主人、駒城家次期当主にして陸軍中将。東洲内乱当時は少尉候補生だったが、行軍時に蓮乃と新城を見つけて連れ帰る事と成る。義に厚く仁に深い性格をしており、蓮乃を新城から結果的に奪ってしまった事を気に病みながらも新城を厚く信頼している。数少ない新城の理解者の一人。
- 駒城篤胤(くしろ あつたね)
- 新城の義父にして保胤の実父であり、駒城家現当主(ただし半隠居状態)。東洲内乱当時は陸軍大将。老齢ながら政治に強く、新城を政変から守ろうと画策する。新城が軍に嫌われながらも軍から放逐されなかったのはこの老人のお陰であると言っても過言ではない。
- 猪口(いのくち)
- <帝国>軍来寇時の階級は曹長。新城との付き合いは古く、特志幼年学校の生徒だった頃に助教として彼を鍛えた。新城の性格を熟知しており、新城と共に近衛に転任してからは最先任曹長として隊をまとめる。
- 羽鳥守人(はとり もりと)
- 新城の特志幼年学校での同期生。現在は皇室魔導院(<皇国>内外を対象とする諜報機関)の勅任特務魔導官(エージェント)。自宅の殆どを書で埋め尽くす程の書痴でもある。卵料理と高級酒(特にアスローン産)に目がなく、携帯する杖にはフラスコと酒が仕込んである。皇都内乱時に新城の下で軍属へ復帰することとなる。階級は大尉。
- 古賀亮(こが りょう)
- 新城の特志幼年学校での同期生。皇室史学寮研究員であったが、皇都内乱時に新城の下で軍属へ復帰する。階級は大尉。皇都内乱に際し、龍挺隊設立を具申した功により少佐に昇進予定。
- 槇氏政(まき うじまさ)
- 新城の特志幼年学校での同期生。大周屋という問屋の跡取り息子であったが、皇都内乱時に新城の下で軍属へ復帰する。階級は大尉。
- 樋高惣六(ひだか そうろく)
- 新城の特志幼年学校での同期生。嘗ては敵情把握の能力に秀でた将校で、後に後備となり親戚筋にあたる料亭の入り婿になる予定だったが、とある事情があって新城の手引きにより新城の下で軍に復帰し、狂気とも思える程の戦闘意欲に充ちた野戦将校となる。階級は大尉。
- 笹嶋定信(ささじま さだのぶ)
- 水軍将校。北領撤退戦では中佐、転進支援隊司令。新城に<帝国>軍の足止めを要請する。回船問屋を営む兄、妻と二人の幼い子供がいる。
- 坂東一之丞(ばんどう いちのじょう)
- 天龍。北領で戦闘の巻き添えとなって負傷し、新城に助けられる。のちに観戦武官として新城の部隊と行動を共にし、<近衛嚮導聯隊>が成立してからはその導術幕僚を務める。龍族の貴族を多く生む龍塞の山中出身で前龍族統領の息子。他の龍族と同じく、人間よりも強い導術を使役する事が出来る。
- 藤森弥之介(ふじもり やのすけ)
- 近衛衆兵第501大隊長となった新城の首席幕僚(当時大尉)。短矩の筋肉太りをした外容で、野犬のような眼つきと知識の光を同時に持つ有能な軍人である。いつも帳面を手元に持ち、大隊管理を主に担う。行進が非常に苦手。新城が近衛に転属した後、少佐に昇進し、後任として第501大隊の隊長に就任する。「戦争好き」と言う新城の性格を毛嫌いし、隊長就任後は新城へ反目した態度を一貫してとるが、それでも新城の示した「近衛」という立場に対して従順する姿を見せる。
- 丸枝敬一郎(まるえだ けいいちろう)
- 陸軍中尉。六芒郭攻防戦で新城の配下となり戦闘配食を担当する。軍人としての才能が皆無に近い彼は部下達と共に飯を配り続ける事しか出来なかったが、まさにその行為によって部下達の敬意を得る。ほとんど上昇志向をもたぬ男だったが、新城の副官である冴香に一目惚れし、将来は冴香のような副官を持ちたいと強く願うようになり、ただその為だけに密かに出世を望む。その目的のためであれば、普段の本人からは想像も出来ないほどの果敢で非情な行動をとる。
- 益満敦紀(ますみつ あつのり)
- 駒城家譜代の重臣。陸軍少将、駒洲軍参謀長。東洲内乱当時は大尉。少年時代の新城に乗馬を教え、その気概の強さを感じる。虎城防衛戦において、病に倒れた保胤の代役を任された新城を強く助けた。
- 守原長康(もりはら ながやす)
- 守原家現当主(療養中)。芸事が好きで、病魔に冒された後も芝居見物を止めなかったほどである。英康・定康の叛乱を感じてか、草浪へ色々なアドバイスを施す。皇都内乱開始時に病気により死亡。
- 守原英康(もりはら ひでやす)
- 長康の弟で当主代行、陸軍大将。<帝国>軍来寇時、北領鎮台司令長官。定康の本当の父(不義による)でもある。非常に貴族的な思想の持ち主で、北領撤退による恥辱を駆城(新城)にかかされたと思い、定康・草浪と共に皇都内乱を企てるが、内乱終結直前に草浪の手によって射殺される。
- 守原定康(もりはら さだやす)
- 長康の長男、陸軍少将。英康の不義の子と言う事を知っており、かなり屈折した性格を持つ。北領撤退時には余り将としての片鱗は無かったが、内乱時に頭角をあらわして草浪を苦悩させた。内乱後軟禁される。
- 宵待松実(よいまち まつみ)
- 定康の個人副官。両性具有者。
- 草浪道鉦(くさなみ みちかね)
- 守原家の家臣、陸軍中佐。守原長康への忠義と<皇国>軍人としての義務、また守原家への義理の狭間で苦悩する有能な軍人。守原家の陪臣としながらも自分が愛した女が英康の妾だったという過去を持ち、皇都内乱のシナリオを組み立てながらも英康への忠義には欠くという難しい立場に立っていた。新城の実力を認めその能力に期待しつつ、同時に危険な人物であると認識している。
- 佐脇俊兼(さわき としかね)
- 駒城家の家臣である佐脇家の長男、陸軍大尉。新城と同い年で、幼い頃から互いに悪意を抱いていた。けっして無能な将校ではないが、次々に軍功を重ねる新城に対する嫉妬心と対抗心があまりに強すぎたため思考が硬直し、その結果戦場で軍功を挙げる事ができずにいる。守原派に取り込まれた後、虎城防衛戦にて大隊を全滅させ、その時に新城の真意に気付き殺人を企てるもその場で捕縛・そのまま皇都の実家にて座敷牢に囚われる。度重なる「治療」の名を借りた折檻を受けた結果、本当に狂を発し新城や蓮乃に殺意を抱くようになる。やがて内乱に乗じて座敷牢を脱出し、自分の親族や元婚約者、そして蓮乃を惨殺する。その後捕縛された後、新城の手によって、鼻や耳を削ぎ落とされ、手足の肉を抉り取られ、下顎を切除されるなど生きながら身体中を極限まで壊されるという残酷な復讐を受けた後、その日の内に何者か(おそらく新城)の手により殺される。
- 正仁(帝)(まさひと)
- 今上皇主。皇主としての手管に長けるも、優しすぎると評判。皇都とその住民の精密な模型を作るのが趣味。
- 実仁親王(さねひと しんのう)
- 原作1巻では皇主の次男、後の巻では弟とされている。近衛衆兵第五旅団長、准将。保胤の特志幼年学校での同期生で、皇族らしからぬ軍人向きの人物。北領撤退戦において新城から受けた恩義を忘れず、その後の新城の強力な後ろ盾となって近衛衆兵聯隊設立を助ける。しかし、その心は皇主の存続を第一に置いているため、新城の行動を快く思わない事もある。
- 天霧清香(あまぎり きよか)
- 実仁の個人副官。冴香の兄(あね)。両性具有者。実仁から受けたある命令がきっかけで、新城に想いを寄せるようになる。
[編集] <帝国>
- ユーリア・ド・ヴェルナ・ツァリツィナ・ロッシナ
- 東方辺境領姫、東方辺境領軍・東方辺境鎮定軍総司令官、元帥。<皇国>侵攻作戦の総指揮官だったが、新城に再三に渡ってその企図を妨害され、彼に単なる敵将としてではない愛憎半ばする感情を抱く。ついには部下の叛乱から逃れるためにみずから新城の下に降り、駒城家の賓客にして新城の愛人という立場に置かれる事になる。長身で碧眼、緩くうねった豊かで長いブロンドの主でかなりの美女。カミンスキィを愛人としていた事もあるが、新城に固執しすぎている点を突かれて(実際はカミンスキィの慮外ではなかったが)愛人という立場から罷免している。性格も奔放にして思慮深く、猛々しくも愛情を絶やさない王者の風格を携え、新城に対しても全く変わらぬ態度で愛情を示す。また、天才的な戦略家でもあり新城を以って「閣下には勝てない。勝った事も無い」と言わしめるほど。新城の元に降ってはその愛人兼副官である冴香と複雑な心情を交差させる。
- クラウス・フォン・メレンティン
- 作戦参謀、大佐。東方辺境領男爵。開戦時48歳。騎兵風に短く刈り込んだ金髪(但し半分は白髪に変わりつつある)といつも泣いているような表情をしている外見を持つ。ユーリアの幼い頃からの守役で歴戦の武将でもあり、騎馬将として若い頃から名を馳せた。ユーリアの性格を深く知り、陰に日向にユーリアへの助力を惜しまない。ユーリアが新城に降った時も、ユーリアと同行して皇国へ渡り変わらぬ献身を続ける。温和で優しく、また同時に思慮深い好々爺である。
- アンドレイ・バラノヴィッチ・ド・ルクサール・カミンスキィ
- 騎兵聯隊長、大佐。<帝国>本領男爵。開戦時28歳。所謂「古代の美神が自身の手で彫琢したような美形」で、白金の髪と淡い水色の瞳を併せ持つ。また外見に伴った能力の持ち主でもあり、戦術家としてもかなりのものである。その外見と能力でユーリアに寵愛され、愛人の立場にあったが、新城に固執するユーリアへの提言で愛人としての立場を失う。性格は多少屈折しながらも威風堂々、男性的であるが、それだけでなくかなり繊細な部分も併せ持つ。父の死後、母によって男娼まがいの行為をさせられていた事もある。
- ゴトフリート・ノルティング・フォン・バルクホルン
- 騎兵大尉。西方諸侯領騎士。騎兵武将に似合いのごつい外見の持ち主だが、性格は似合わず温和にしておっとりとし、かなりの知識人でもある。親戚の手引きで半ば強制的に軍に入れられるまでは、将来どこかの大学の教授になるだろうと思われていた程。また馬術において他の追随を許さぬ実力を持つ。北領での新城部隊追撃戦時に新城と交戦・負傷したが新城本人に命を助けられ、それを恩義として新城を「得がたき友」と仰ぐ。
- アンリ・ロボフ
- バルクホルンの従兵。北方蛮族の出身で、その一族は父親の代まで帝国と戦っていた。バルクホルンに対し忠誠を誓い、常に傍にあって彼を補佐する。バルクホルンが新城と交戦した際、千早の咆哮にロボフと彼の乗馬が脅えたため、バルクホルンを救う事ができなかった。その事を深く恥じていたが、バルクホルンを殺さず、また自分の臆病な振る舞いを誰にも言わなかった新城に深く恩義を感じる。以後、新城に対し尊敬の念を抱き、戦後は新城の部下になっても良いとすら思うようになる。『銃を用いない戦闘こそ男がその真価をかけるべき戦い』と考える生粋の戦士。
- ゲオルギィ三世
- <帝国>現皇帝にしてユーリアの伯父。制定戦時54歳だが、外見は若く、親衛騎士隊を率いた頃と変わらぬ引き締まった体躯を持つ。力で皇帝を得た人物でもあり、政治に秀で、<帝国>の政治の多くを担う。ユーリアの幸せを祈りながらも、ユーリアが新城に降った後は帝籍から抹消し、噂を流して民からの信用を失わせる等、容赦無い手腕を持つ。
[編集] 戦史
[編集] 皇紀568年
- 01月14日
- 帝国軍、皇国北領北東に来襲。
- 01月28日 『天狼会戦』
- 帝国軍22,000人、皇国軍(北領鎮台)30,000人にて午前第九刻に天狼原野にて会戦。しかし、二刻を待たずして皇国北領鎮台は壊走。皇国側の兵員損害は約12,000名とされる。その後、体勢の立て直しに6日を要する。
- 02月03日
- 北領鎮台・北府陥落。北領残存兵は美名津湾へ向けて転進。
- 02月13日
- 新城直衛中尉、野戦昇進により大尉任官。大隊指揮権を発動し独立捜索剣虎兵第11大隊にて遅延戦闘開始。
- 02月19日
- 第11大隊、美名津湾北部で小苗防御線を野戦築城、防衛戦闘開始。同日午後第二刻、真室穀倉を砲撃予定だった皇国乙巡「大瀬」遭難。生存者無し。
- 02月23日
- 北領鎮台主力、美名津転進海岸より北領を脱出。
- 02月24日
- 第11大隊、帝国に降伏。戦闘終結時の大隊の生存者は、新城直衛率いる予備別働隊の20名(重傷者含む)と剣牙虎2匹(千早含む)のみ。尚、その後第11大隊は俘虜として帝国摂取後の北府に逗留。4月下旬(船便回復)まで労役し、その後全員帰国。
- 5月末
- 新城直衛(昇進して少佐)、近衛衆兵鉄虎501大隊隊長へ転属。
- 07月02日 『アレクサンドロス作戦』
- 帝国軍『アレクサンドロス作戦』を実行。皇国本土北の龍口湾へと集結した艦隊が、龍口湾の制海権奪取及び軍施設へと砲撃開始(作戦第1段階)。同日午後、皇国軍監本部は龍州鎮台を軍に改組する旨を通達。皇国全土の鎮台より反撃部隊が出発し、龍口湾を目指す。
- 07月03日
- 帝国軍第一派、皇国本土への上陸開始。内陸進出戦闘にて5千名もの死者を出しながらも、日没までに6里の縦深を確保(作戦第2段階)。尚、この防衛戦闘での皇国軍の損害は約3,000名。
- 07月04日
- 帝国軍は龍口湾海岸線に沿って南北に戦線を拡大し、支援部隊の上陸を開始。また、占領した海岸中央部に兵站集積・司令部機能を集中した海岸堡を設置(作戦第3段階)。この後は龍州鎮台軍との戦果拡大戦闘に入る。
- 07月13日
- 反撃参加部隊、龍口湾沿岸戦線に到着し足並み揃う。この反撃部隊には新城直衛の近衛衆兵鉄虎501大隊も含まれている(但し予備軍)。各隊を近衛総軍・集成第2軍・集成第3軍・龍州軍に選別。この時点での帝国軍戦果拡大地域は、北部に於いて最大28里、南部に於いては最大18里のの縦深を確保。
- 07月14日
- 日没を待って反撃参加部隊は発起線へ移動開始。夜明け前の午前第三刻をもって同時反撃作戦を実行。集成第3軍が順調に戦線最下部(南)を進撃するも、他の軍は膠着状態に陥る。
- 同日午後第1刻、第501大隊は龍兵による索敵を開始し、集成第3軍上空に帝国軍龍兵部隊を確認。この帝国龍兵部隊の空襲によって集成第3軍の前進は停止する。
- 同日夕刻、第501大隊へ戦闘参加命令。近衛衆兵第5旅団へと合流し、旅団長の美倉准将の指揮下へと入る。
- 同日深夜、第501大隊を主力とした約5,000名の夜間浸透突破作戦開始。近衛衆兵第5旅団の動きにあわせ、集成第3軍の一部(独立捜索剣虎兵第11大隊)が夜襲を開始。
- 07月15日
- 同日午前第4刻、帝国軍第21兵師団第1旅団深部にて第501大隊の俘虜を獲し、警戒態勢発令。独立剣虎兵第11大隊はこの時敵本営を発見し、密集突撃体勢により突撃攻撃を敢行するも、その後帝国胸甲騎兵と龍兵による爆撃にて第11大隊は敗走を余儀なくされる。
- 帝国龍兵爆撃終了に合わせ、第501大隊は敵本営周辺に攻撃開始。帝国本営もそれに対抗して大隊縦列を組んで第501大隊へと前進。第501大隊は、第11大隊に一度だけ援護射撃を向けるもそのまま本営へと前進し、その援護を受けて第11大隊は撤退開始。
- 本営戦闘にて第5旅団長美倉准将は戦死。代行として新城直衛直営となるが、帝国軍が予備拘置していた騎兵集団の翼側迂回突破成功による集成第2軍壊滅の為、龍州軍司令部より全軍撤退命令が発令。この時より全龍州展開軍は撤退行動に移る。
- 07月18日
- 帝国軍、部隊を再編成して追撃を開始。戦果拡大戦闘を続行。
- 07月21日『六芒郭城塞戦』
- 新城(当時点での新城隊兵力は、各地の落伍兵を加えた約9,000名)と帝国軍が交戦するも、帝国軍は伏撃を受け銃兵2個旅団と騎兵2個大隊が壊滅。以降それを受けた帝国軍全体の行動が慎重になる。
- その後、皇国陸軍軍監部により新城へと伏龍平野西端に位置する要塞・六芒郭を基点とした敵軍行動遅滞作戦命令発令。また同時に、新城少佐は六芒郭臨時防備部隊司令を拝命。これ以降手持ちの兵力を新城支隊と呼称することが許される。
- 07月23日
- 新城支隊、六芒郭へ入城。未完成であった六芒郭の補修・補強と共に遅滞作戦開始。
- 08月08日
- 帝国軍、六芒郭に接触するも突破ならず。新城支隊は遅滞作戦を続行。これ以降の約2ヶ月(東方辺境領姫が到着するまで)は順調に遅延を行う。
- 09月16日
- 帝国軍本隊行動を開始。
- 09月下旬
- 東方辺境領姫、戦場・六芒郭周辺へ到着。作戦を立案し、10月08日までに要塞陥落を厳命。
- 10月02日
- 東方辺境鎮定軍が六芒郭に向け総攻撃を開始。この日の被害は、皇国軍戦死1,007名、負傷者(軽傷者は除外)970名。帝国側被害は戦死・負傷あわせて14,000人超。帝国側では東方鎮定戦初めての数的敗北を喫する。
- 10月03日
- 払暁後、帝国軍は再度総攻撃を開始。順調に防衛が進むも帝国軍第一教導戦闘龍兵団の攻城砲弾(ユーリアのアイデアとされる複合運搬に因る)によって東北突角堡が機能停止。本郭要塞司令部も完全に破壊され、本郭東南面も直撃により半壊。新城支隊は南突角堡より撤退し、通行橋を破壊して最終防衛行動へ移行。同時に帝国軍直轄砲兵、第15重猟兵師団が追撃開始。
- その後雨天。乗じて新城(予備隊主力1,600名・剣牙虎20頭)は逆襲を開始し、夕刻の帝国軍攻撃停止まで耐え抜く。予備隊残存約1,400名、剣牙虎14頭まで減少。
- 夜間、城内にて夏川中尉が銃殺に処される。罪状は敵前逃亡罪。
- 同日昼過ぎから、後方虎城に展開した皇国軍が一部前進。六芒郭救出作戦を開始する。帝国軍はカミンスキィ率いる第21猟兵士団を午後第5刻に虎城付近に派遣開始。同日午後第8刻を以って両軍の戦闘は激化し、その後帝国軍は皇国軍を誘致しながら後退を開始。
- 10月04日
- 日付変更時付近に帝国軍から使者が来訪。降伏勧告が行われるも新城はこれを謝絶し、一刻後に直接会談が両軍陣中央の設営天幕にて行われる事となる。両軍指揮官における交渉が行われるも不調に終了。
- 指揮官会談中に六芒郭へ後方駆州軍司令部より第21猟兵士団を誘引する旨の導術連絡あり。
- 午前第3刻を期して、新城支隊全軍は帝国軍本営奇襲を開始。尚、六芒郭は全軍進撃後半刻を以って爆破。
- 同刻、帝国軍本営にてラスティニアン少将が一個大隊を率いて本営を包囲、辺境領姫を拘束に動く。
- 新城支隊、敵本営に突入し、謀反により包囲中の東方辺境領姫を救出(?)。辺境領姫は自ら下ったとされる。
- 混乱に乗じて新城支隊は帝国包囲網を突破し、戦場を南方の虎城へ向け突破を敢行。駒州軍との合流を図る。
- 10月05日
- <帝国>マランツォフが鎮定軍指揮権発動により帝国軍を集結させ、虎城へ向け軍を再編。その間に新城支隊は皇都へ向けて撤退を開始。
- 10月下旬未明
- ユーリア・ド・ヴェルナ・ツァリツィナ・ロッシナは、蛮族に降った咎により皇籍を末梢。東方辺境副帝家も廃絶とされる。
- 11月19日
- 新城支隊、皇都へ帰還。その後再編。
- 12月05日
- マランツォフ<帝国>元帥による冬季攻勢始動。
- 12月08日
- <皇国>水軍第五駆逐隊による龍口湾奇襲によって、<皇国>水軍は世界水軍史の中でも稀に見る一方的な戦果を得る。
- 12月11日
- 新城直衛、前線配置への復帰を近衛総監部に出願し、翼竜による公用便の配達任務を拝命。その後街を散策中に西原信英陸軍大将、西原信置陸軍大佐(虎城で銃殺された夏川中尉の父兄)と邂逅する。
- 12月13日『皇都防衛戦(冬季)』
- 鎮定第1軍第15猟兵師団(シュレヒト准将率)と第21猟兵師団(カミンスキィ少将率)は虎城へ向けて攻撃を開始し、虎城山地麓(主陣地線)の前衛である独立捜索剣虎兵第11大隊(佐脇俊兼少佐率)と接触・交戦。<帝国>第801独立平射砲中隊(試作兵器中隊)の攻撃により<皇国>軍虎城防衛隊左翼は崩壊の危機に陥るも、同時に第801中隊は火点集中を受け全滅。なお、虎城内で指揮中であった駒城保胤中将が疲労により昏倒し、公用便の配達任務中であった新城直衛少佐が中将の命により指揮権を与る。
- 前衛に配備された砲兵は後退を、同時に前衛右翼独立第316・365大隊、左翼第11大隊は砲兵後退まで戦線維持を継続するようにと方針を発令。尚発令内容は「全砲兵はただちに主線陣地と合流すべし。前衛は別命あるまで可能な限り抗戦を継続せよ。これは軍一般命令である」この発令により第11大隊は陣地固守を選択するも第21師団によって蹂躙され壊滅。主陣地へ帰還できたのは15名のみ(佐脇少佐含む)。その後第21師団は第11刻過ぎに進軍を再開し、日没まで軍を進めて8里先の小村・渡端にて第15師団と合流再編。
- 午後第7刻過、<皇国>軍は合ノ瀬の西燕宗涼天寺にて指揮官召集の上会議。現時刻から主陣地を棄て撤収準備を開始し、第10刻を以って第二次予備陣地へ後退する旨が通達される。またこの時、第7銃兵旅団長の利松准将と、帰還してきた第11大隊長の佐脇少佐が「狂を発した」とこの場で後送されている。
- 12月14日
- 早朝、第二次予備陣地の<皇国>火制地域内にて<帝国軍>第15師団が総攻撃の為前進するも、これに合わせて駆州第3砲兵旅団(北翼)と後備砲兵第6旅団(南翼)の総数約800門の火砲が砲撃を開始。なお<皇国>陸軍が野戦における火力優越下で戦闘突入するのはこの戦争初。この時「砲兵で砲兵を叩く」という発想の転換も生まれている。また、この作戦時中に駆城保胤准将が軍務に復帰。
- 総攻撃に入っていた<帝国>第15、21師団の被害甚大。<帝国>はこの後の敵予備部隊突入に備えて両部隊の騎兵を運動部隊として再編し、バルクホルン少佐を指揮官として任命。部隊名称は独立騎兵団<バルクホルン>。
- 新城少佐は指揮権を返上し、予備隊を率いて攻撃を行う準備に入る。臨時部隊名は<別動新城戦隊>。この時翼竜にて予備隊の場所へ向かう途中に<帝国>翼竜と交戦。翼竜と共に落下するも、天竜の坂東に救われて部隊へ向かう。
- 午後第4刻半に戦闘開始。<バルクホルン>騎兵団と<別動新城戦隊>は互いに手の内を読み合い、新城は撤退を命令するも騎兵第9聯隊は独断により突撃し潰走。<別動新城戦隊>はそのまま内王道を東進し、敵砲兵と輜重段列を後方より攻撃。
- 12月15日
- <帝国>鎮定第1軍敗走。<帝国>側の損害総数は戦死約4800、重傷約5000、軽傷約6000、損害の大部分は第15師団のものである。また、人的被害も宛ら兵站・砲・車両等も被害が大きく、危機的な状況へ陥っている。
- 12月16日
- 新城、皇都へ帰還。なお政治的な理由により、新城は虎城では「何もしていない」という事になる。
- 12月18日
- <帝国>軍は翼竜で皇都上空から伝単(ビラ)を撒布するという情宣活動を実行。ちなみに伝単の内容は「皇都ノミナサン 虎城デノカチ戦 オメデトウゴザイマス!シカシ、<帝国>ハ負ケマセヌ。疲レテ、休ンデイルダケデス。春ニハ、カナラツ勝チマス。ミナサンハ良ク心得テ、<帝国>臣民トナル準備ヲトトノヘテクダサイ。ソレカラ、ヒトツ教エテアケマス。虎城テタタカツタシレイカンハ駒城ノヒトデナイデス!ミナサンノ仲間ノ新城直衛デス!イッパイ、誉メテアゲマショ <帝国>軍司令官」というものであった。
- 12月19日
- シュレヒト准将が今回の戦闘の責任を負わされ銃殺。また、(恐らく守原の手による)休戦協定が鎮定軍に届けられる。
[編集] 大協約世界
[編集] 天体
一つの恒陽を巡る遊星であるが、星としての個有名はない。一年は397日 = 13ヶ月、一日は26刻(1刻 = 10尺 = 100寸 = 1000点)。衛星はなく、代わりに光帯と呼ばれる環がある。<皇国>の天象・季節変化はほぼ日本に相当する。不自然なほど正円に近い地形が多く、中には星が落ちた跡だと伝えられている場所もある。
[編集] 生物
知性を持つ生物は人間と天龍の二種、ただし天龍の大部分は<皇国>に棲息している。同様に人間の亜種である両性具有者も<皇国>にしかいないと思われる。 動物は地球に現存する種の他、剣牙虎(サーベルタイガー)、翼龍、水龍が確認されている。ただし桜の花弁が六枚あるなど、名前は同じだが地球の物とやや異なる可能性もある。
[編集] 大協約<グラン・コード>
2000年ほど前、人と龍の間で結ばれた協約。互いに危害を加えない事(龍が人と契約を結び、軍に加わった場合を除く)、傷ついた場合は助け合う事を定めており、違反した場合は死罪となる。現在では人同士の戦争に関する取り決め(青旗を掲げた者への攻撃禁止や、俘虜の待遇など)も含まれる。
[編集] 主要国の歴史
[編集] <皇国>
東海洋と皇海の間に浮かぶ東海列洲を支配する島国。初代皇主明英帝以来500年余りの歴史を持つ。皇主の権威が低下した後は諸将家による群雄割拠の状態が長く続いたが、30年余り前に有力な五つの将家(安東、西原、駒城、守原、宮野木)が皇主を戴く形で再統一された。五将家は現在でも<皇国>執政府の実権を握っているが、商業の発達によって力をつけた衆民の政治参加も始まっている。
[編集] <帝国>
<皇国>より北にあるツァルラント大陸の大半を支配する大国。1000年近い歴史を持ち、何度かの王朝交代を経て拡大してきた。東方辺境領には副帝が置かれている。紋章は三ツ首龍。<皇国>に対する貿易赤字が元で東方辺境領を中心に経済的・政治的混乱が広がりつつあり、それを解消するために<皇国>侵攻が決せられた。
[編集] アスローン諸王国
ツァルラント大陸西南のアスローン大半島を支配する国家群。諸王国のうち最強国の王が大王として統治にあたる。酒や衣服を輸出している。
[編集] 南冥民族国家群
ツァルラント大陸の西南端と接する冥州大陸を支配する国。かつては磐、現在は凱と自称している。
[編集] 科学技術
熱水機関(蒸気機関)が発明されてから約20年。<皇国>では水素(?)によって浮き、翼龍に牽引されて進む飛船が発明されたが、見世物として利用されるにとどまっている。
[編集] 軍事
基本的には18世紀末~19世紀初頭のヨーロッパに相当する。銃兵の主力武器は前装式の燧石銃(マスケットまたはカービン)であり、施条銃(ライフル)はまだ一部の部隊にしか配備されていない。火砲は駐退復座機を備えていない。<皇国><帝国>とも翼龍に騎乗する龍兵を保有しているが、大規模に用いられた例は少ない。軍艦は大部分が帆走のみで航行する。
<大協約>により2000人以上の人口を有し、かつ軍事施設や駐留部隊のない市邑への攻撃や略奪は禁止されている。
<皇国>軍は大きく陸軍(20万名)・近衛(1万5千名)・水軍(40隻+徴用船舶)からなる。陸軍は五将家がそれぞれの領地で編制した軍の集合体であり、各将家の当主が指揮権を持つ。近衛および水軍は執政府直属とされているが、近衛禁士隊や水軍東海洋艦隊の首脳部は将家出身者に占められている。陸軍において少将以上の希望者には両性具有者が個人副官として配属され、多くの場合は直属上官の愛人として扱われる。なお、新城は近衛少佐の時点で冴香を与えられたが、これは例外と思われる。
<皇国>のみが保有する剣虎兵は飼い慣らした剣牙虎を用いるものであり、一種の実験部隊として三兵編成(諸兵科聯合)がとられている(虎を恐れない軍馬が少ない事も関係している)。水軍は龍巣巡洋艦(ドラゴンクルーザー)を保有し、さらに龍巣母艦(ネスト・キャリアー)を建造中である。
<帝国>軍は総兵力400万名、うち東方辺境領軍87万名。対<皇国>戦用に編成された東方辺境鎮定軍は当初20万名、海軍のうちヴァランティ(東方)辺境艦隊のみで<皇国>水軍を凌駕する。
[編集] 導術
テレパシーのような物で、天龍は生来の能力として持っているが、人間は生まれつきの素養がある者が訓練を受け、額に銀色の金属盤を埋め込まなければ使えない。<皇国>では通信・索敵の他、商取引の情報通信等ごく日常的に用いられているが<帝国>では宗教的理由から禁忌とされており、素質のある血筋は政教的理由から絶滅状態にある。導術の使いすぎなどで疲労すると銀盤が変色し、効率が低下する。その状態で更に導術を使い続けると、最悪の場合は死に至る。
[編集] 漫画版
ウルトラジャンプ(集英社)2004年7月号より連載(漫画:伊藤悠)、2005年度(平成17年度:第9回)文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推奨作品。
[編集] 既刊
ヤングジャンプコミックスウルトラより
- 皇国の守護者 1(ISBN 4088767624)
- 皇国の守護者 2(ISBN 4088768612)
- 皇国の守護者 3(ISBN 4088770773)
- 皇国の守護者 4(ISBN 4088771796)