石見神楽
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石見神楽(いわみかぐら)は、神楽の様式のひとつ。島根県西部(石見地方)と広島県北西部(安芸地方北部)において伝統芸能として受け継がれている。日本神話のヤマタノオロチなどを題材とし、演劇の要素を持つ。その発生は諸説あるが、大元神楽をルーツとし、能、狂言、歌舞伎などが影響を与え、現在の形になっていったと考えられる。盛んな石見地方・芸北地方では、子供から老人にまで幅広く人気があり、地元の祭り、各地で行われる競演大会、各種イベント等、石見神楽を観劇出来る機会は非常に多い。演ずる社中・神楽団は多数あり、その地方や団体毎で様々な特徴があり、魅力があるのも興味深い。石見地方(芸北地方も含む)では「舞」(まい)と呼ばれる。
神楽を「舞う」場合、囃子の4人が楽を演奏する。囃子は、「大太鼓」「小太鼓」「鉦」「笛」の4人で構成され、「大太鼓」がリードをしていくが、「笛」も又リードする役割を持つことがあり、微妙な駆け引きが行われる。「大太鼓」は演奏しながら神楽歌を歌うことが多い。その演目に合わせた神楽歌を歌うことで、より雰囲気を盛り上げる。
演者は神楽面をつけることが多い。面はかつては木彫りの面が存在したが、現在は軽量な和紙の張子面を付ける。しかしいくら軽量とはいえ、石見神楽特有の衣装の重さもあり(後述)、全編通して面をつけて「舞う」のはかなり体力的にきつい。そこで「鬼」「悪者」を退治した後の「喜びの舞」については、面を外して「舞う」事が許されており、現在は多くの神楽団・社中でそのように行っている。また芸北地方などでは「神」方が白化粧をして舞うことも多い。
[編集] 調子について
大きく分けて六調子、八調子に分かれる。
[編集] 演目
- 塩祓(四方祓い)
- 現在の石見神楽において、最も基本であり、最も大事にされている演目。かつては「神楽」という演目が奉納の最初に「舞われて」いたが、現在ではほとんどの団体が省略し、この「塩祓」が最初の演目となる。神を招く為に神楽殿を清め祓う意の演目。どの団体でもこの塩祓を「舞う」演者は、大抵その団体の一番上手な者が選ばれる。基本的には1人か2人で「舞う」。面は付けず、囃子の大太鼓が歌う神楽歌に合わせて優雅に「舞う」。各地の神楽競演の大会でも(基本的に1団体1演目で競う)、この塩祓だけは競技としての演目ではなく、あくまで儀式として扱われ、その演ずる団体も特に選ばれた(特別出演とされる)団体だけが「舞う」事を許される。これは団体にとっては非常に名誉なことであるとされる。
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