硫酸バリウム
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硫酸バリウム | |
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IUPAC名 | 硫酸バリウム |
別名 | |
組成式 | BaSO4 |
式量 | 233.39 g/mol |
形状 | 白色粉末または無色結晶 |
結晶構造 | 斜方晶系 |
CAS登録番号 | [7727-43-7] |
密度と相 | 4.5 g/cm3, 固体 |
水への溶解度 | 0.22 × 10−3 g/ 100 mL (0 ℃) 0.40 × 10−3 g/100 mL (100 ℃) |
融点 | 1600 ℃(分解) |
沸点 | ℃ |
出典 | ICSC |
硫酸バリウム(りゅうさんバリウム)は組成式 BaSO4 で表わされる、バリウムイオンと硫酸イオンからなるイオン結晶性の化合物。天然には重晶石 (Barite, Heavy Spar) と呼ばれる鉱物として大鉱床を形成して存在し、各種のバリウム製品の原料として使用されている。
純粋なものは無色の結晶であるが、一般的には鉄、マンガン、ストロンチウム、カルシウムなどの不純物を含み、黄褐色または黒灰色を呈し、半透明な鉱物である。鉛、ラジウムを含む北投石が知られる。
化学反応による合成品は医薬用(X線造影剤)に用いられるほか、科学的に安定な性質を応用して塗料、プラスチック、蓄電池等に広く使用されている。医療用の造影剤としての年間推計使用者数は約1,750万人である。
目次 |
[編集] 性質
におい・味はない。白色粉末または無色の板状あるいは柱状晶。水には極めて難溶であり、溶解度は 18 ℃ で 0.22 mg/100 mL、100℃で 0.40 mg/100 mL である。
酸、アルカリにもほとんど溶けないが、塩酸と煮沸すると一部溶解する。また濃硫酸には熱時酸性塩 Ba(HSO4)2 を生じて溶ける。
[編集] 中和による沈殿
中和すると硫酸バリウムが白い沈殿として生成する。
[編集] 毒性
胃液や腸液に溶解せず、消化管から吸収されないので、バリウムイオンに起因する毒性はないとされる。しかし、厚生労働省は副作用の疑いがあると発表している。バリウム化合物は一般に劇物の指定を受けているが、唯一硫酸バリウムのみは劇物から除外されている。