礼金
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礼金(れいきん)というのは、主に関東地方の賃貸人や不動産が賃料のほかに求める、一回払いの料金である。礼金の合法性は議論のある問題である。礼金は関西地方で敷引とも呼ばれる。
目次 |
[編集] 伝統
礼金は、地方から大都会(東京)に一人できた単身赴任・学生等の保護のために、上京した人の親戚が東京の下宿などの大家に払ったお金だった。上京する人は普通大都会に他に知り合い・親戚がいない人で、地元の人はいざとなるときの心配で、大家に、面倒を見てもらうように、“前もっての感謝”の意味で、お金を払った。その“お礼”の感謝から、礼金と呼ばれるようになった。言い換えれば、礼金を受け取る大家は、“これから借家人の面倒を見てあげる”という義理の約束をした。
地方(北海道、東北)では礼金の習慣がないのは、地方内で引っ越しても普通の距離は“心配する”ほど大きくないから、とも思える。
[編集] 現状
今の日本には、新幹線・飛行機・電話で田舎と大都会の距離が小さくなり、大家の面倒は必要なくなってきた。にもかかわらず礼金を求めるのはほとんどの賃貸契約で一般的になり、別料金として求められている。東京23区なら、賃料の2、3か月分の礼金が標準である。
ほとんどの人は礼金は保証金と並び、“仕方がない”別料金としてみる。
当然なことで、公団地の賃貸には一切礼金が取られない。住宅金融公庫の融資を受けて建築された物件も礼金を取ることを禁じられている。
しかし、次節で述べるように、礼金に対する法的根拠がないことから、礼金を取らない物件も見かけられるようになった。
[編集] 合法性の議論
ただし、日本の借地借家法によると、賃貸契約を満たすのに、賃貸人が賃貸物を渡し、借家人が賃料を(定期的に)渡すことだけで済む。別料金なら、賃貸以外のサービスや物にしか求められない。往時は大家の面倒を見てくれる約束がその「別サービス」として見られただろうが、現在ではその約束もなくなったし、ほとんどの場合は礼金は違法的に求められているという意見が多い。その立場に立つと、賃貸契約の締結の際に礼金を断ることも理論的に可能である。ただし、実際的にそう行おうとすると、不動産業者や賃貸人が締結を取り下げるケースも存在する。それは一般の商取引同様、両者の意図がかみ合わなかったことによる不成立というごく自然的現象である。
契約を締結してから、裁判で礼金の返金を訴えることも考えられるが、礼金は現在の法体制においては敷金と比較して慣習として判断される側面が大きく、あくまで「契約自由の原則」に則り両者合意の上で締結したものについて、後から異議を述べるのは信義に悖るとされる。
ただし、驚くべきことには現在まで日本のどこにも一回もそのような訴訟はない。敷金は、本来借主に債務不履行がない限り返還されるべき金額であるにもかかわらず、貸主や管理会社が説明不十分のまま、補修費などの名目で一部もしくは全額の返還を拒絶する不透明性に問題がある。一方礼金は、最初から貸主への「謝礼」としての意味合いで支払われることから、性質が明確であり「納得いかなければはじめから借りなければよい」と判断されるケースが多い故と考えられる。 ただし、消費者契約法とのかねあいでは見解が分かれるといわれる。
[編集] 海外
世界の国のどこにも、礼金のような家賃の別料金がない。特に日本が民法を法ったドイツにもそういうことはない。ただし、非常に人気のある家の場合は内緒で賃貸人に現金を差し出す習慣はあちらこちらにある。ただし、それは両方が違法だと知った上で行われるのであって、活字の契約の対象とならない。