私鋳銭
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私鋳銭(しちゅうせん)とは、政府が作った公の銭ではなく、私的に偽造された銭のこと。奈良時代から平安時代にかけては、皇朝十二銭が公の銭であったが、広く私鋳銭が使われていた。鎌倉時代以降は更に宋銭の私鋳銭などが盛んに作られ、室町時代中後期には最盛期を迎えた。また、劣悪な質の私鋳銭などの流通により、撰銭などが発生した。江戸時代に入ると幕府は寛永通宝の流通を始め貨幣政策を強化したため、私鋳銭は徐々に姿を消していった。
私鋳銭を製造するには、種銭と呼ばれる銭を型に鋳型を造る。この種銭の善し悪しが私鋳銭の品質を大きく左右する。また、鋳型は繰り返し使用するうちに傷み、次第に銭影がぼやけ、銭名が読めなくなる。原材料は輸入した本銭に鉄などを混ぜて融解して用いた。