第三分野保険
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第三分野保険(だいさんぶんやほけん)とは、俗に保険の第三分野または第三分野の保険と言われ、生命保険(第一分野)と損害保険(第二分野)の中間に位置する分野の保険である。すなわち、生命保険と損害保険のどちらにも属したり、あるいはそのどちらにも属さないような保険の区分に曖昧さを持つものが第三分野保険に値する。
第三分野保険の特徴として、生命保険ならば生命保険会社、損害保険ならば損害保険会社といったような販売会社の限定が無く、そのどちらもが第三分野保険の商品販売が可能なことが挙げられる。
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[編集] 第三分野保険の解禁
以前は、こうした第三分野の保険を大手の生命保険会社および損害保険会社が取り扱う事は規制されており、医療保険やがん保険は生命保険会社、傷害保険は損害保険会社といったように、同じ第三分野に区分される保険商品でも種類に応じて販売できる保険会社が限られていた。そんな中、各保険会社はそれぞれの子会社を作る形で相互乗り入れを行い、生保系損害保険会社(以下、生保系損保)や損保系生命保険会社(以下、損保系生保)を発足させたが、第三分野保険の販売は認められておらず、生保系損保は傷害保険を扱えず、損保系生保は医療保険やがん保険を扱えないといった規制を受けていた。
こうした規制は日米保険協議に基づく激変緩和措置によるものであったが、2001年1月からこの規制を解禁。2001年7月からは全ての保険会社が第三分野の保険商品を扱えるようになった。特に損害保険業界では、主力の自動車保険などが飽和状態にある中で、第三分野保険は成長率の高い分野であることから注目されている。
[編集] 主な第三分野の保険商品
[編集] 第三分野保険における不当な不払い
第三分野保険の自由化に伴い多種多様な商品が登場していった傍らで、2005年、保険業界全体のモラルを問われる不祥事(保険金不払い事件)が発生。その一環で、2006年には三井住友海上火災保険の販売していた第三分野の保険にて悪質な不払いが発覚。その後、他の損保大手(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、日本興亜損害保険、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険)においても相次いで第三分野保険の不払いが発覚し、さらに損保中堅5社(富士火災海上保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険、スミセイ損害保険、明治安田損害保険)や外資系2社(AIU保険、アメリカンホーム保険)においても不当な不払いが行われていたことが判明した。
この第三分野保険における不払いは、契約者が請求したのにも関わらず保険金を支払わないなど、他分野の不払いと比較して悪質さが目立つと指摘されている。その背景には、保障よりも商品の販売に力を注いでいたことにより、1つでも多く契約を締結したい保険代理店や募集人の商品販売時における免責事由等の説明不足といった不備があったり、商品を開発する保険会社自身が大量に溢れる商品の把握ができていなかったりなど、保険業界の利益が先行する業務方針によるものがあった。損保業界では既に2005年11月、2006年9月~10月に掛けての二度に渡る不払い調査で不当な不払いが大量に発覚しており、その直後にこの問題が発覚してしまったことから、保険業界への信頼がさらに薄らぐ要因となった。
2007年3月14日。東京海上日動火災保険、日本興亜損害保険、あいおい損害保険、富士火災海上保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険、ニッセイ同和損害保険、日立キャピタル損害保険、AIU保険、アメリカンホーム保険の10社は、支払い体制に重大な不備があると金融庁に指摘され、業務改善命令(内、東京海上日動火災保険、日本興亜損害保険、あいおい損害保険、富士火災海上保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険の6社は同時に一部業務停止命令)の行政処分を受けるにいたった。[1]
各損保の状況としては、以下の通りである。(2006年11月2日時点で判明していたデータを元にしている)
保険会社 | 件数(件) | 金額(円) |
---|---|---|
三井住友海上火災保険 | 1140 | 2億8,400万 |
損害保険ジャパン | 975 | 2億7,000万 |
日本興亜損害保険 | 833 | 2億1,500万 |
東京海上日動火災保険 | 805 | 2億6,900万 |
あいおい損害保険 | 470 | 1億4,500万 |
ニッセイ同和損害保険 | 142 | 3,700万 |
富士火災海上保険 | 175 | 3,349万 |
共栄火災海上保険 | 154 | 5,536万 |
日新火災海上保険 | 68 | - |
日立キャピタル損害保険 | 11 | 1043万9千 |
明治安田損害保険 | 2 | - |
スミセイ損害保険 | 1 | - |
アメリカンホーム保険 | 158 | 2,104万 |
AIU保険 | 107 | 1,910万 |
合計:14 | 5,041 | 14億7,200万 |
- 表内の「-」は非公表または不明を表す。
- 金額はおよその数値も含まれている。
保険業界全体における保険金不払い問題の歴史や詳細は、保険金不払い事件を参照のこと。