菊田幸一
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菊田 幸一(きくた こういち、1934年12月15日 - )は滋賀県長浜市出身の刑事法学者・弁護士(東京第二弁護士会所属)。専攻は犯罪学(刑事政策)。明治大学名誉教授、法学博士(明治大学)。
パンクラス格闘家の菊田早苗は次男。
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人物
法務省に協力的な学者が多い中で、反権力を旗印にしてきた典型的な「進歩的」思想の持ち主で、刑事政策の第一人者でありながら唯一、司法試験考査委員にならなかったことで知られている。
明治大学大学院博士課程に在学中、木村龜二博士(元日本刑法学会理事長・東北大学名誉教授)の薦めで法務省に創設された法務総合研究所に無試験にて入所、研究官補となる。この間、国費にて米国に留学。米国各地の刑務所を視察して歩く。帰国後、明治大学法学研究科博士課程を修了し、同大8人目の課程博士となる。
死刑廃止論者であり、死刑存廃問題では率先して死刑廃止運動に従事し、被疑者・刑事被告人及び囚人の法的権利を重視する学説を唱えている。TVの生放送討論会で「司法が制裁を与えないなら、私が殺す」と発言した被害者遺族に対して「あんた、(犯人の)少年が死ねばそれで満足なのかよ!」 「法律も知らないくせに!」という発言を行い、物議を醸した。[1](テレビ朝日「スーパーモーニング」)。ちなみに、被害者は「『殺したい』というのも許せないという。このように異常な感性をもつ死刑廃止論者など、国民の共感を得られないのは当然だ」と菊田に反論している。
その上、自著『死刑廃止・日本の証言』で死刑囚の母親との対談中「私は犯罪被害者より加害者のほうが辛いと思う。被害者の苦痛なんて交通事故のように一瞬だ」と発言している。
これらの犯罪被害者に対する配慮に欠けた攻撃的なコメントに対しては、世論から激しい非難を浴びるが、本人はまったく訂正も撤回もすることなく、最近では広島小1女児殺害事件について、「遺族の声は、判決に影響を及ぼすので好ましくない」などと発言したそうである。[2]
冤罪防止、日本の更生制度への疑問などの点から性犯罪者の情報提供にも反対し、地域住民への提供はおろか、警察が情報を有することに反対している。
2005年現在、海渡雄一弁護士(福島瑞穂社民党党首の内縁の夫)と共に監獄人権センターを主宰し、刑事弁護を中心として、刑事事件、受刑者・少年事件の人権問題を中心として活動する、いわゆる「人権派」弁護士である。
評価
菊田幸一は肯定的な立場からは「信念の人」「気骨の人」「死刑廃止運動の父」などと評価されるのに対し、否定的な立場からは「犯罪被害者をなおざりにする人でなし」とみなされており、日本の法学者の中では最も毀誉褒貶の激しい人物の1人であるといえるだろう。
学歴
主な著書
- 『少年法概説』有斐閣 初版 1980年1月 ISBN 4-641-05618-8, 第3版 2000年2月 ISBN 4-641-11200-2, 第4版 有斐閣 2003年4月 ISBN 4-641-11239-8
- 『知らないと損する「恩赦」の知識』第三文明社 1985年12月 ISBN 4-476-03123-4
- 『死刑―その虚構と不条理』初版 三一書房 1988年09月 ISBN 4-380-88225-X, 新版 明石書店 1999年2月 ISBN 4-7503-1116-2
- 『刑事政策の問題状況』勁草書房 1990年1月 ISBN 4-326-40135-4
- 『司法書士試験のための刑法サブノート』週刊住宅新聞社 1990年5月 ISBN 4-7848-0319-X
- 『死刑廃止を考える』岩波書店 初版 1990年9月 ISBN 4-00-003106-6, 改訂版 1993年7月 ISBN 4-00-003246-1
- 『死刑廃止・日本の証言』三一書房 1993年11月 ISBN 4-380-93268-0
- 『いま、なぜ死刑廃止か』丸善 1994年12月 ISBN 4-621-05143-1
- 『検証・プリズナーの世界』明石書店 1997年02月 ISBN 4-7503-0888-9
- 『刑事六法』明石書店 1998年04月 ISBN 4-7503-1032-8
- 『犯罪学』成文堂 5訂版 1998年07月 ISBN 4-7923-1480-1, 6訂版 2005年2月 ISBN 4792316685
- 『受刑者の人権と法的地位』日本評論社 1999年3月 ISBN 453551156X
- 『受刑者の法的権利』三省堂 2001年6月 ISBN 4-385-32131-0
- 『少年法』北樹出版 2002年4月 ISBN 4-89384-847-X
- 『日本の刑務所』岩波新書 2002年7月 ISBN 4004307945
- 『Q&A死刑問題の基礎知識』明石書店 2004年8月 ISBN 4-7503-1952-X
- 『死刑廃止に向けて』明石書店 2005年3月 ISBN 4-7503-2066-8
- 『中国の青少年刑事司法』明石書店 2005年3月 ISBN 4-7503-2077-3
共著
- 西村春夫 編『犯罪・非行と人間社会』評論社 1982年1月 ISBN 4-566-07278-9
- 『犯罪学』北樹出版 改訂版 辻本義男 著 1982年1月 ISBN 4-89384-163-7, 新版 辻本衣佐 著 2003年4月 ISBN 4-89384-889-5
- 辻本義男 著『図説犯罪学』青林書院 1986年5月 ISBN 4-417-00587-7
- 辻本義男 著『刑事六法』最新版 明治出版会 1988年3月 ISBN 4-88033-011-6
関連項目
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