岩波新書
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岩波新書(いわなみしんしょ)とは、1938年(昭和13年)、岩波書店が創刊した新書である。
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[編集] 概要
この手のものとしては日本初で、太平洋戦争のきっかけとなる日中事変の頃に赤版が101点刊行されたが、戦争中一時中断され、戦後の1949年(昭和24年)、青版(現在も刊行されているものの色はむしろ緑色だが)として復活した。1962年(昭和37年)に創刊された中公新書、1964年(昭和39年)に創刊された講談社現代新書とともに、教養新書御三家と呼ばれた時期もあった。その後、1977年(昭和52年)、青版の刊行1000点を期に版が黄色に改められ、1988年(昭和63年)、総刊総数1500点をもって現在の新赤版の刊行が始まった。2006年(平成18年)3月で新赤版の発行が1000点を迎え、1001点目(柄谷行人『世界共和国』)が刊行された4月からは、書名と著書名を横書きから縦書きに改め、つや消しにするなど装丁を変え、「21世紀の教養新書」として新たに出発することとなった。キャッチコピーは「変わりますが、変わりません。」。現時点での刊行総数は約2500点に及ぶ。
世界で岩波新書に対比されるのは、フランスのク・セジュ文庫、イギリスのペンギンブックス、ドイツのローヴォルト百科全書がある。広く時代が必要としている情報をコンパクトなサイズと適任の執筆者で提供することで、学術、文学、芸術の古典を擁した岩波文庫とはまた違った社会的財産をなしている。
朴正煕政権から全斗煥政権にかけての強権独裁当時の大韓民国国内情勢を、“政府公式発表”ではなく市民の立場・視点から発信し続けたとされるレポート集『韓国からの通信』(『世界』連載、全4巻)は有名。丸山眞男『日本の思想』は“大学生必読の書”と評されている。
[編集] 著名な作品
[編集] 新赤版
- 永六輔『大往生』 238万部
- 大野晋『日本語練習帳』(1999年) 192万部
- 暉峻淑子『豊かさとは何か』76万部
- マーク・ピーターセン『日本人の英語』73万部
- 永六輔『二度目の大往生』 67万部
- 石弘之『地球環境報告』51万部
- 永六輔『職人』 48万部
- 大江健三郎『あいまいな日本の私』48万部
- 五木寛之『蓮如』39万部
- 金田一春彦『日本語(上)[新版版]』(1988年)39万部
- 星野英一『民法のすすめ』(1998年)
(発行部数は2006年4月現在)
[編集] 新赤版・別冊
- 岩波書店編集部『岩波新書の50年』(1988年)
- 鹿野政直『岩波新書の歴史』(2006年)
[編集] (旧)赤版
[編集] 青版
[編集] 黄版
[編集] 岩波ジュニア新書
など