薬価
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薬価(やっか)とは国により決定される医療用医薬品の公定価格のこと。
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[編集] 診療報酬
健康保険制度のもと、医療保険を使って行う診察や治療を保険診療と呼び、その報酬金額は全て国によって決められている。これを診療報酬と呼び、診療行為に対する診療報酬本体と、薬価・医療材料からなる。また、薬局における保険調剤の報酬は調剤報酬と呼び、これも調剤報酬本体と、薬価からなる。
[編集] 金額
診療報酬と調剤報酬は、医療行為や医薬品・医療材料ごとに決められた点数の合計を、1点=10円で換算した金額、と決められている。病院などの医療機関や調剤薬局が、国民健康保険や健康保険組合などの医療保険の保険者に請求する薬剤費の金額も、薬ごとに決められた薬価点数を合計し、それを1点=10円で換算したものとなる。
例えば、薬価1錠51.6円の薬と1錠19.6円の薬を5日分処方すると合計354.5円となるが、薬剤費として請求できる金額は、これを10で割って五捨五超入(四捨五入では無い)した35点から換算された350円となる。
[編集] 改定の手続
診療報酬改定の手続は、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)の議論を踏まえて、国の予算案を作成する際に診療報酬全体の平均改定率が決められる。その後、個々の診療報酬の点数について、中医協の答申を受けて、厚生労働大臣が決める。診療報酬は(薬価等の改定と併せて)ほぼ隔年で改定されている。
[編集] 薬価差
医療機関や調剤薬局は、健康保険組合に対して、患者に使用した薬剤費を薬価基準どおりに請求する。しかし、医薬品の取引価格に関しては規制がないため、医薬品卸業者から薬価よりも低い金額で医薬品を仕入れることができ、この差額が薬価差益として薬漬け医療の原因とされた。
1986年に23.0%だった薬価差(率)は、度重なる薬価切り下げで2004年には6.3%まで急減した。しかし、薬の維持・管理、期限切れ薬の処分などの費用なども考えると、薬価差益どころか薬価差損を生じていると主張する人もいる。
厚生労働省は薬価の隔年改定を2007年度から毎年改定とする検討を始めたが、業界の反発のみならず米政府の強い反対にもあって導入を見送った。
[編集] 国際比較
1995年には日>伊>仏>英>加>独>米だった医療費に占める薬剤費比率は、欧米諸国が増加傾向を示すのに対し、薬価を抑制した日本では低下した為、2003年には伊>仏>日>加>英>独>米となった。なお、各国における医療費総額は大きく異なることから、医療費に占める薬剤の比率だけを単純に比べることには注意が必要である。(例:日本の医療費GDP比×薬剤費比率(≒GDPに占める薬剤費比率)は米国のそれより低い)
かつて新薬の薬価は独米の2倍前後で英仏の3~4倍とも言われた。2003年、薬価は米国より日本の方が15~20%高いとの報告がなされている[1]。
薬価のみならず医療材料・医療機器の販売価格も軒並み欧米より高く、反面、医師を初めとする医療従事者の技術料や検査料は低く抑えられている。
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