視聴率不正操作問題
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視聴率不正操作問題(しちょうりつふせいそうさもんだい)とは、2003年10月に、日本テレビ放送網株式会社編成局に所属する社員プロデューサーの安藤正臣(発覚翌月に懲戒解雇)が、自分の制作したテレビ番組の視聴率が上がるよう、探偵業者を利用しビデオリサーチのモニター世帯を割り出したうえ、番組制作費を私的に流用して金銭を渡して視聴を依頼した問題。これを「視聴率不正操作問題」と呼んでいる。
目次 |
[編集] 問題となった番組
- 2002年9月19日 「芸能人犯罪被害スペシャル」 15.5%
- 2002年9月26日 「奇跡の生還芸能人版」 15.7%
- 2003年1月1日 「生でハッスルテレビ」 11.1%
- 2003年1月1日 「びっくり人間スペシャル」 17.1%
- 2003年4月3日 「芸能人犯罪被害スペシャル」 10.5%
- 2003年9月24日 「奇跡の生還芸能人版」 10.2%
[編集] 原因と影響
問題の背景には、視聴率を異様に重視している番組づくりの体制、特に日本テレビの視聴率三冠王への執着からこのようなことに至ったと言われてる。この事件があった年の正月の読売新聞には、日本テレビが「三冠王を達成しました」との広告まで打ち出すほど視聴率にこだわっていた。
この事件が発覚した週の日本テレビの番組「TVおじゃマンボウ」で恒例であった「視聴率ランキング」が省かれるなど、影を落としている(しかし2005年には関東ローカルの情報番組「ラジかる!!(現:ラジかるッ)」にてこの視聴率ランキングが総合ランキングのみ復活している)。
同年12月30日の午前中に、日本テレビ単独(ネット局無し)で、この事件についてのお詫びと事件についての説明をスポンサー無しで放送したが、年末の午前中の視聴率が低い時間帯をあえてねらっての説明とあって、さらに「視聴率にこだわっていた」と言われる始末だった。
[編集] 事件性について
- 視聴率操作の目的に使用されたという費用は、同局の制作費を流用したものだが、本人が全額返還を行ったため同局が法的に安藤正臣に対し責任を追及することを放棄している。しかし、安藤正臣氏の行動が視聴率調査の信頼性を失わせる行為だとし、ビデオリサーチ側と安藤正臣個人の間で民事裁判が行われているという事実がある。
- 2005年11月4日、安藤正臣が1000万円の賠償金を電通に払うことで和解が成立。
- しかし、その後も特定の芸能事務所ばかりに地位向上させるべく視聴率を発表される前に大幅な数字の操作をしている背景があり、その結果裏番組が打ち切りを決断してしまう環境は変わっていない。これでタレント・俳優生命に傷をつけてしまったという被害を訴えるほかの事務所からの苦情や抗議も多発している。残念ながら誰が視聴率を支配しているのかの真相が見えてこないため、視聴者も納得できない状況が続いている。ただし、日本テレビは関わっていないと思われる。いまだに放送業界は番組の質よりも量(視聴率)を天秤に掛けてしまっているのは何かおかしいと思われる。
[編集] 類似した出来事
- 2003年10月5日よりテレビ朝日系で放送された番組「みごろ!食べごろ!デンセンマン」の公式HP内で、「ビデ○リサーチの視聴率を取る機械を持っている人!大歓迎!! 高額なプレゼントがあります!!」との呼びかけがあった。日本テレビの事件発覚後、外部からの指摘によりこの記述は直ちに削除されたが、番組は間もなく終了した。
[編集] 関連項目
テレビ局が起こした主なスキャンダル・不祥事には以下の様なものがある。
- TBSビデオ問題(1989年発生、1996年発覚)
- 椿事件(1993年発生)
- 発掘!あるある大事典データ捏造事件(2007年発生)
- 日本テレビのアナウンサー(当時)による事件についての、日本テレビの対応の悪態。