野外手術システム
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野外手術システム(やがいしゅじゅつ-)は、陸上自衛隊後方支援連隊の衛生隊に配備されている、医療施設の無い場所での外科手術を行うことが出来るシステムである。コンテナに格納されており、通常は73式大型トラックに車載されて使用されるが、コンテナ部分を切り離すこともできる。災害支援やPKOでよく活用される。
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[編集] 特徴
現在の野外手術システムは1988年(昭和63年)に導入されたもので、車台は73式大型トラックをベースとしており、手術車、手術準備車、滅菌車、衛生補給車の四つの車両で1セットになっている。他に、システム維持のため電源装置が2セット、浄水装置が1セット必要になる。実際に使用される時は、手術車と手術準備車の側面が通路で連接されて1つの部屋のようになる。
手術内容としては、開胸、開腹、開頭等の高度な外科手術が可能で、一日最大30人の手術に対応可能である。
[編集] 設備内容
- 手術車・・・電動手術台、X線装置、5灯式手術灯、スポット灯、麻酔、電気メス、患者監視装置
- 手術準備車・・・臨床検査、X線フィルムの現像、手術用器材及び薬品の保管
- 滅菌車・・・手術用機材の滅菌・洗浄
- 衛生補給車・・・医薬品、血液、衛生用品の保管・補給
[編集] 必要とされる要員
- 手術要員 4名
- 手術準備要員 3名
[編集] 人道支援復興活動による使用実績
[編集] 野外手術システム搭載によるおおすみ型輸送艦の病院船化
スマトラ沖地震国際緊急援助隊派遣後の2005年6月、おおすみ型輸送艦「しもきた」の車両甲板上に野外手術システムを展開する技術試験を行った結果、複数の野外手術システムの展開が可能とされ、災害時におおすみ型輸送艦を病院船として活用することになった。
しかしながら、この試験は「甲板上に仮設手術室が設置できる」事を実証したのみで、実際の運用にあたっては、患者の搬送、手術後の入院治療を維持する人員、莫大な量の医療資材と廃棄物の搬入・搬出などを艦内の限られたスペースでこなす必要がある。
大規模災害時におおすみ型輸送艦と野外手術システムを病院船として運用するためには、演習や自衛隊病院、艦内・駐屯地医務室では経験していないノウハウが必要と思われ、3自衛隊の医官・衛生隊の総力を挙げた取り組みが期待される。
2006年度から、おおすみ型輸送艦では順次、野外手術システムの電源を艦内から取るための艦内改装工事を行う予定である。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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