鉄人28号 (架空のロボット)
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鉄人28号(てつじん28ごう)は、横山光輝の漫画作品『鉄人28号』およびその派生作品に登場する架空のロボット。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 機体解説
太平洋戦争末期、日本帝国が起死回生を目的として南海の孤島において極秘裏に建造していたロボット兵器、その28番目の設計機。原作では敷島博士が中心となって完成を見るはずであったが、計画がアメリカ軍の知る所となり島が爆撃を受け頓挫。戦後に計画に携わったと思われる覆面の男によって乗鞍岳の地下の秘密基地にて完成をみる。
内蔵武器や固定兵装を持たず、特殊鉄鋼による頑健さを武器とし、動力を手足等にも内蔵した独立連動装置により、不測の事態で手や足など各部が破損しても、出力は常に安定して稼働する事ができる。また、体格以上の怪力は連動装置の出力を練り合わせた結果であると推察されている。背部ロケットは初期設計には存在せず、ニコポンスキー率いるS国スパイが独自設計して取り付けた。ロケットの出力は戦艦を動かす程強力だが、たいてい壊れるのはロケットからである事から、鉄人本体ほどの頑健さは無いものと見られる。破損に追記するならば、右腕関節が多く目立ち、手足が片方破壊されても稼働には支障は出なかったが、戦闘継続自体は無理だった。内部破損による活動停止は、ロビーの怪ロボットに破壊された時のみである。
大きさは連載当初は身長3メートル程度で描かれていた。しかし、しばしば人間を手のひらに乗せて運んだり、空を飛んだりするシーンが現れて、その場合には身長が10メートル以上ないと計算が合わないことになる。
なお、後年の強力なロボットに対しては、力の受け流し等の戦法を敷島博士に指示を受けたりする場面も見られ、鉄人の優位性は時と共に失われ、操縦者の技術や知恵を駆使して闘うようになる。
[編集] 操縦器
鉄人は小型の操縦器(リモコン)によって操縦される。ある程度の命令の範囲内での独立稼働が可能な自立回路も備えてはいるが、格闘戦や災害救助活動時等の精密で多様な判断が必要な場面では目視操縦が基本である。小型な割に多彩で幅広い操縦方法と、強力な操縦電波と大きな有効範囲、操縦の精密性と正確性は鉄人本体以上に価値があり、簡易な操縦性(大塚署長でも操縦できる)は便利な反面、操縦機が盗まれた際は敵が鉄人を簡単に悪用できる危機を生む事になった(不乱拳博士に至っては、ものの数分で鉄人の操縦方法を調べてみせ、すぐに鉄人を使って正太郎に追い打ちをかけた)。
この操縦器は、小型で簡易に強力な鉄人の力を運用できる事から、鉄人自体が犯罪の中心になる場合が多く、誕生初期は鉄人の強力な力を狙った犯罪者の事件が二重三重で複雑な絡み合いをみせる事になる。後年は科学技術が進んだ所為で鉄人以上のロボットが作られるようになった為か、鉄人自体が犯罪の元凶なることが激減し、警察が対処できない武装した犯罪者に対する切り札として用いられる事が多くなる。実働は金田正太郎への協力要請という形らしく、自衛隊や政府からは警視庁の大塚署長から正太郎宛で、鉄人出動要請がくる下りが多い。
漫画版ではリモコンのダイアルを回して操縦していた。アンテナをレバーとして動かしたのは白黒アニメからで、それ以来パロディ作品関係でも繰り返し真似をするため、アンテナ部がレバー兼になってしまい、とうとう現在では第4作目のアニメ化に際して正式な設定になってしまった。アンテナを人体が握った上にがちゃがちゃ動かせば、電波の周波数が狂ってしまう上に、火花が散るほどの強力な発信能力では、人体に少なからず影響が出るはずである。
PS2版ゲームでは、左手の方向キーで前後左右への動きを指示し、右手の4個の色ボタンで左右のパンチと必殺技及び物の持ち上げを指示する。それ以外には4個の補助ボタンで、「呼び寄せる」「ガードする」「「飛行開始停止」を指示する。これだけの操作でゲーム中で十分に敵ロボットと戦うことができる。倒れた時は自動的に立ち上がるように設定されている。
[編集] 弱点
鉄人の弱点は、まず第一に操縦電波が比較的容易に乱される事である。雷など自然災害による電波妨害を受けると普段の10分の1位しか力を発揮できないらしい。兵器である以上、ある程度は悪天候なども考慮内であったらしく、全く運用できない訳ではないと思われるが、太陽黒点異常によるデリンジャー現象など予想外の事態で操縦を受け付けず暴れだしてしまった事例もある。
こういったことから、安易に操縦撹乱を狙ってチャフによる妨害、電波撹乱剤、電波撹乱機等を使用すると鉄人の暴走の引き金となりかねない危険性があり、敵味方双方の被害も考えなくてはならない。実際ジャミング戦法の完全な成功例はブラックオックスの電波妨害による封じ込めくらいである(弱った鉄人を力でねじ伏せるとも云う)。
第二の弱点に目視限界が挙げられる。高度な判断や状況の対応ができない場合、命令の優先順位に従って行動するらしく、大雑把な破壊行動くらいしかできないと思われる(熱源か移動物体を追いかけて破壊)。強力な敵に対しては細かい戦闘指示が必要であり、不測の事態に有効な対処を行えない。その為に操縦者の目視有効範囲外での運用が制限される。実際、目視範囲外の戦闘ではオックスやVL2号、ファイア2世に遅れを取っており、自律性の高いロボットが逃げ去る際も追跡を断念している。
第三の弱点は操縦者が無防備なことである。これは正太郎自身が発した迷言にもよるが、「ロボットより、操縦者を倒す方がはやい」という、ロボット対決を楽しみにしている読者をがっかりさせる大変合理的な戦法である。これは外部内部問わず、人が操縦するロボット全般の弱点と言えなくもないが、リモコン操縦者は先の目視範囲内にとどまっている場合が多い為に操縦するロボットの近くにいる事が多く、内部操縦のように装甲の中に守られている訳ではないので、強靭なロボット本体より生身の人間の方が攻撃しやすい為である。
この戦法は手を代え品を代え、敵も味方も問わず物語に用いられるが、砂漠の国王軍に相対した正太郎の鉄人の操縦者被弾擬態作戦など、操縦者の対処次第で補う事も可能である。例外として身体強化された超人間ケリーの存在がある(彼は銃弾やロボットの格闘戦に恐れる事無く、近距離から事細かな指示をギルバートに与え、経験豊かな正太郎の操縦技術を上回り、鉄人を追いつめた)。
[編集] 派生作品における鉄人28号
[編集] 太陽の使者 鉄人28号
正太郎の父・金田賢太郎博士が開発した巨大ロボット。全長20メートル、重量25.8トン。リモコンで操縦され、直接搭乗するパイロットはいない。動力源は太陽エネルギー転換システム。独立連動システムが搭載され、機体の一部が破壊されても持続的な稼働が可能。必殺技はハンマーパンチ、フライングキック、ローリングアタックなど。普段は敷島博士宅のテニスコートの下にある格納庫に収納されている。
リモコンはアタッシュケースにアンテナが付いた形でビジョンコントローラーと呼称される(略称は敷島牧子の命名で「Vコン」)。中には鉄人のアイカメラに接続されたモニターと、2本の操縦桿がある。操縦電波はレインボーウェーブと呼ばれる特殊な電波で妨害されにくくなっている。
[編集] 超電動ロボ 鉄人28号FX
- 鉄人28号FX
- 全高20メートル、重量24.8トン。金田正太郎の妻・金田陽子が開発。息子の金田正人がリモコン(グリッドランサー)で操縦する。超電動システムを搭載し、超電動パワーで稼働する。鳥形メカ・鉄人17号フェニックスと合体すれば飛行することもできる。
- 必殺技は超電動パンチ、超電動チョップなど。
- グリッドランサーは光線銃型(商品化もされた)で、銃身の上についたテンキーでコマンドを入力し、鉄人に向けて引き金をひくと送信・実行される。作品に登場するロボットの大半は同じ形のリモコンで操作される。
- 初代・鉄人28号
- 正太郎(エピソードによっては正人)が操縦する。
- パワーでは新型ロボットに劣るが、操縦者の技量次第である程度なら渡り合うことができる。リモコンは上のレバー(アンテナ)ではなく、本体の両脇にある取っ手を握り、正面にある3つのダイヤルと裏側にある2つの大きな丸いボタン(十字キーのように動く)で操縦する。
[編集] 鉄人28号 (2004年版アニメ)
身長10メートル以上。重量推定100トン以上。金田博士が世界大戦末期に開発した28番目の鉄人。金田博士が死んだと思い込んでいた息子の正太郎の名前を付けられ、大切に作り上げられた。
最初期に開発されたロボットではあるがその性能は最新式のロボットと比べても桁違いである。100トン以上はあるロボットを軽々持ち上げ、数十メートル以上簡単に投げ飛ばし、鉄筋コンクリートの高層ビルを粉砕するほどの馬力(最低でも数万馬力、一部文献では60万馬力と表記されている)を持っており、このパワーを生かした肉弾戦を得意とする。驚異的な運動性も兼ね備え、走る事も可能で、その機動性はロボットの中でも最上級である。また、戦車砲はおろかダイナマイトの爆発でも傷一つ付かない装甲を持っており、この頑健さも鉄人の武器である。背中にはロケットエンジンが搭載されており、音速を超えた飛行が可能。ロケットの推進力とパンチ力を合わせた技は鉄人の技の中でも最大級の破壊力で、鉄人と同クラスの装甲を持ったロボットであるバッカスを一撃で破壊する程である。
体内に太陽爆弾と言う爆弾が搭載されており、新元素バギュームを搭載すると数百機のブラックオックス相手に対等に戦う事を可能にするほどのパワーを与える。だが太陽爆弾にバギュームを搭載すると時間経過で爆発する為、その力の恩恵に与る事が出来るのは僅か数時間程度である。
[編集] 鉄人28号 (実写映画版)
[編集] 鉄人28号 皇帝の紋章
原作同様旧日本軍の秘密兵器として作られるが、日本の敗戦を予測していた金田博士によってあえて武装を搭載されず、巨大な「人」として建造された。複数のモード切り替え等(作中の時代背景と比較して)複雑な操縦体系を有するため、使いこなせるのはほぼ正太郎のみ。また正太郎は水中モード時のクロールの動きを投擲に応用する等の「裏技」すら披露している。 動力部及び電子頭脳は敷島博士にも解析できないブラックボックスとなっているが、常温超伝導利用の電磁コイルとダイオード(64ビット級と推定)と推測される。
「皇帝の紋章」の謎を解き明かすために、紋章を狙って世界各国から差し向けられたロボットと交戦。その後全面核戦争を引き起こそうとする人工知能ロビー操る核弾頭搭載型ロボット「溶鉱炉」(シュメルツ・オーフェン)と戦うも、圧倒的なパワーの前に窮地に陥った。シュメルツ・オーフェンが巨大な核ミサイルとなって宇宙空間に打ち上げられようとするに及び、万策尽きた正太郎は捨て身の戦法を取ってこれを阻止しようとする。
[編集] 関連項目
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