電波型式の表記法
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電波型式の表記法(でんぱかたしきのひょうきほう)は、電波法およびこれに基づく法令において用いられる、電波の変調方式や占有帯域幅を表す表記法である。無線局や放送局の免許状では識別信号(呼出符号)・指定周波数などとともにこれを記載する。日本では電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14号)に定められている。
目次 |
[編集] 新表記
一般に使用されている。1979年の世界無線通信主官庁会議(WARC79)で採択された。
主搬送波の変調 | 一桁目記号 | 主搬送波を変調する信号の性質 | 二桁目記号 | 伝送情報 | 三桁目記号 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
無変調 | N | 変調信号なし | 0 | 無情報 | N | ||
振幅変調 | 両側波帯 | A | 副搬送波を使用しないデジタル信号の単一チャンネル | 1 | 電信(聴覚受信) | A | |
単側波帯 | 全搬送波 | H | |||||
低減搬送波 | R | ||||||
抑圧搬送波 | J | 電信(自動受信)・印刷電信(RTTY) | B | ||||
独立側波帯 | B | 副搬送波を使用するデジタル信号の単一チャンネル | 2 | ||||
残留側波帯 | C | ||||||
角度変調 | 周波数 | F | ファクシミリ | C | |||
位相 | G | データ伝送、遠隔測定、遠隔指令 | D | ||||
振幅変調および角度変調であって、同時に、または一定の順序で変調するもの | D | アナログ信号の単一チャンネル | 3 | ||||
パルス変調 | 無変調 | P | デジタル信号の2以上のチャンネル | 7 | 電話(音響の放送を含む) | E | |
振幅 | K | ||||||
幅、または時間 | L | ||||||
位置、または位相 | M | アナログ信号の2以上のチャンネル | 8 | テレビジョン(映像) | F | ||
パルス期間中に角度変調 | Q | ||||||
上記の組み合わせ、または他の方法 | V | ||||||
上記に該当しないもので、振幅、角度またはパルスのうち2以上を組合わせて、同時に、または一定の順序で変調するもの | W | 1以上のアナログ信号チャンネルと、1以上のデジタル信号チャンネルの複合方式 | 9 | 組み合わせ | W | ||
その他 | X | その他 | X | その他 | X |
[編集] 占有帯域幅の表記
特に必要がある場合は、占有帯域幅を現す数字3桁と記号とを付加する。
0以外の数字で始まるようにし、小数点の位置に、K・M・Gなどの記号を入れ位取りを表す。
- 3.5kHz→3K50
- 15kHz→15K0
- 100kHz→100K(0M10とは表記しない)
- 4.5MHz→4M50
[編集] 旧表記
アマチュア無線で使用されていたが、2003年8月11日付けの電波法施行規則の改正により2004年1月13日発行の免許状から上記の一般の表記を用いる事になった(発行済みの免許状の記載は次回更新まで有効)。なお、旧表記が使われていた期間が非常に長かった関係で切り替えが効き難いため、交信証やログ記録には「AM」「FM」「SSB」「CW」などの英語頭文字表記を用いる人が多い。
主搬送波の変調 | 一桁目記号 | 伝送の型式 | 二桁目記号 | 補足的特性 | 三桁目記号 | |
---|---|---|---|---|---|---|
振幅変調 | A | 情報を送るための変調の無いもの | 0 | 両側波帯 | 無 | |
変調用可聴周波数を使用しない電信 | 1 | 単側波帯 | 低減搬送波 | A | ||
1もしくは2以上の変調用可聴周波数の電鍵開閉操作、または変調波の電鍵開閉操作(特別の場合には、電鍵を操作しない変調波)による電信 | 2 | 全搬送波 | H | |||
周波数(位相)変調 | F | 抑圧搬送波 | J | |||
電話(音響の放送を含む) | 3 | 2独立側波帯 | B | |||
ファクシミリ(主搬送波を直接に、または周波数変調した副搬送波で変調したもの) | 4 | 残留側波帯 | C | |||
テレビジョン(映像のみ) | 5 | パルス | 振幅変調 | D | ||
パルス変調 | P | 四周波ダイプレックス | 6 | 幅、時間変調 | E | |
音声周波多重通信 | 7 | 位相、位置変調 | F | |||
上記8項目に該当しない伝送、または複合した伝送 | 9 | 符号変調 | G |
[編集] 一括記載コード
アマチュア局に対してのみ、複数の電波形式を一括で表示する一括記載コード制度が適用されており、アマチュア局の無線局事項書や無線局免許状(工事設計書を除く)では電波形式が一括記載コードで表記されている。