韓国のバス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
韓国のバス(かんこくのばす)は、大韓民国のバス事情について述べる。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] 現況
[編集] 路線バスの運行形態
韓国の路線バスは大別して、高速バス、市外バス、市内バスの3種類に分けられる。車両については高速バス・市外バスは基本的にリクライニングの座席が並ぶタイプであり、市内バスは通勤型と座席型の両方がある。冷暖房は基本的に備わっているが、地方の市内バスでは一部非冷房車もまだ存在する。
なお、ソウル特別市とその外郭地域では、2004年7月に大規模な運行システムの変更が行われた。その後、2006年12月には光州広域市でも似たような新しいシステムが導入されている(後述)。
[編集] 高速バス
高速バス (고속버스)は、運行区間の60%が高速道路であるバスとされる。ソウルと京畿道以遠の地方都市とを結ぶ路線や、中・長距離の都市間を結ぶ路線などで運行される。行先表示器を装備している車両はほとんど見受けられず、フロントガラスの内側に行き先表示板を掲げている場合が多い。高速バスの場合、アルファベットでも行き先を併記していることが多い。
乗車前に乗車券を購入する必要がある。座席は乗車券入手時に全て指定される。長距離の路線では途中休憩所で10~15分ほど休憩することが出来る。車内には基本的に化粧室はない。座席や運行時間によって以下のような区分がある。
- 一般高速バス (일반고속버스)
- 横4列(2列+2列)の通常タイプの座席。一台の座席数は45席前後。
- 優等高速バス (우등고속버스)
- 座席は2列+1列の横3列。シートの幅がゆったりとしており、前後の座席の間隔も一般高速バスよりやや広い。一台の座席数は27席前後。
- 料金は一般高速バスの1.5倍である。
- 深夜優等高速バス (심야우등고속버스)
- 優等高速バスの車両で、通常午後10時~午前2時の間に出発し、深夜に走行するもの。おおむね3時間以上かかる長距離路線で主に運行される。料金は優等高速バスよりさらに1.1倍高くなる。なお、日本の夜行バスのように早朝着くような時間調整は基本的に行わず、到着時間が深夜2時台や3時台であっても下車させられるので注意が必要である。
[編集] 市外バス
中距離の都市間や地方の郡の中心地・観光地などの間を結ぶバスを市外バス (시외버스)と呼ぶ。高速バスと異なり、座席の指定はない。 なお、中には運行区間の60%以上が高速道路であると思われる路線もあるが、座席指定でない場合は高速バスとは呼ばれない。高速バス同様にフロントガラス内側に行き先を掲出する場合が多いが、表示はハングルのみの場合も多い。乗車券は基本的には事前購入だが、車内で精算できる場合もある。途中の停車パターンにより以下の2種類に分けられる。
- 直行バス (직행버스)
- 出発地、目的地以外に、いくつかの市外バス停留所に停車するバス。停留所はバスターミナルの他、都市内においてバスターミナル以外に利用者の便のいい場所や、面の中心地・地域の交通の要衝などに設けられ、各停留所ではその付近の商店などに乗車券の販売が委託されている場合が多い。
- 直通バス (직통버스)
- ノンストップとも訳されるが、バスターミナルや、大都市内における利用者の多い停留所のみに停車する。直行バスのように運行コースの途中途中で停留所に止まらない。そのため、通常のコースが混雑しているときには迂回路をとる場合もある。また、同一区間を走る直行バスとは別のルートが設定されている路線もある。
[編集] 市内バス
いわゆる鈍行で、沿道の定められた停留所に一つ一つ停車していく。一般的には市内バス (시내버스)だが、地方の郡においては「郡内バス (군내버스)」と呼ばれる。 行先表示器を装備していない車両が多く、本数の多い都市部では運行経路や系統番号を表記したステッカーを車体に貼り付け、限定運用している車両が多い。それに対し本数の少ない郡内バスでは、目的地や経由地を書いた札をフロントガラス下に掲出している姿が見られる。
料金は基本的に車内での支払い・精算となる(ただし、バスターミナルを発着する路線の場合、ターミナル内の窓口もしくは自動券売機で乗車券の事前購入を求められる所もある)。特別市・広域市やそれに次ぐ規模の都市域内では一律料金で、それ以外の市・郡部では距離による暫増制になっていることが多い。また、リクライニングシートが並ぶタイプは座席バスと呼ばれ、一般の座席+つり革のタイプより料金が高いのが一般的である。
なお、市内バスの中には一部高速道路を走行するものや、市・郡境をまたいで運行されるものもあるが、一般道路上において各停留所に停車していくものは市内(郡内)バスと呼ばれる。
[編集] 空港バス
空港とその周辺地域とを結ぶバス。空港リムジンバスとも呼ばれる。距離や対象とする利用者層等によって運行形態も異なる。全般に、車体の前面や側面に発着地等の情報を貼り付けて限定運用されている場合が多い。
- 比較的長距離の空港バス
- 座席指定制で事前に乗車券を購入しなければならず、実質的に高速バスと同じである。仁川国際空港の場合は、空港から3時間~5時間かかる地域との間にもこのタイプの空港バスが運行されている。
- 車両は一般高速バスタイプか、優等高速バスタイプの車両で運行される(路線により異なる)。運行主体は高速バスを運行する会社であることが多い。
- 中・近距離の空港バス
- 大都市近郊の大空港以外にも、地方の空港周辺でも運行されている。座席指定はない。運行形態としては市外バスと市内バスの中間に位置するともいえる。
- 都市部では路上の複数の停留所に止まり、料金は事前に支払うことも、乗車の際に精算することもできる。車両は座席バス・一般高速バスタイプが一般的だが、仁川国際空港・金浦空港からの路線では優等高速バスタイプの車両も数多く使用されている(料金は一般タイプよりも高い)。車内前部に荷物を置くためのスペースが設けてあるものもある。
[編集] ソウル特別市とその外郭地域のバス運行システム
かつてはソウル特別市内、及びその外郭地域においては運行距離・路線の性格ともに様々な形での路線バス運行が混在していたが、2004年7月に運行システムおよび個々の路線の経路等根本的な見直しが行われた。その結果、その役割や距離によって以下の4種類に分けられ、それぞれが共通の車体色で塗装されることになった。
また、バスの路線番号については、市内を8つのエリア、外郭地域を7つのエリアに分け、各エリアの番号を織り込んだ、共通の番号振分方式の適用を受けることとなった。
[編集] 広域バス
車体色は赤で、レッドバスとも呼ばれる。他地域における直行バスに相当し、首都圏の外郭地域と都心とを比較的高速で結ぶ。料金は定額制だが、他の市内バスとの乗り換えの際には別料金となる。
[編集] 幹線バス
車体色は青で、ブルーバスとも呼ばれる。市内バスの路線のうち、区分されたエリアを二つ以上通るバスが該当し、ソウル市内と外郭地域との間を結ぶ役割などを担う。
料金は、乗換えをしない場合は基本料金のままだが、他の市内バスに乗換えをすると合計距離が10kmを超えた時点から距離によって追加料金が生じる。
[編集] 支線バス
車体色は緑で、グリーンバスとも呼ばれる。市内バスの路線のうち、市内8エリアのうちの1つのエリア内を走るバスが該当し、地下鉄との連結を容易にする役割等を担うとされる。
料金は乗り換えの有無に関係なく、合計距離が10kmを超えた時点から距離によって基本料金に加えて追加料金が生じる。ただし、マウルバスと呼ばれる短距離のバスの場合は乗換えがなければ追加料金を取られることはない。
[編集] 都心循環バス
車体色は黄色で、イエローバスとも呼ばれる。市内バス路線のうち、都心や副都心の限られたエリア内を循環するバスが該当する。
料金は、乗換えをしない場合は基本料金のままだが、乗換えをすると合計距離が10kmを超えた時点から距離によって追加料金が生じる。
[編集] その他
ソウル市内の観光地を巡回するソウルシティツアーバスが運行されている。
[編集] 光州広域市とその周辺地域のバス運行システム
光州広域市とその周辺では、市内バスは2006年12月21日に大々的な運行システムの改編が行われた。主な改編内容は以下のとおりである。
- バス運行において、以前は厳しい歩合制の元にあったバスの運転士の最低賃金を保証するため市財政による補助を行う(「準公営制」と呼ばれる)。
- それまで一般バスと座席バスに分かれていた市内バスのうち、一般バスに比べ運賃の高かった座席バスの制度を廃止した。
- ソウル特別市同様、路線を3種類に分類・改編しそれぞれの固有色を定めた。また、路線番号も全て改編した。
- 基本料金を引き上げた(850ウォン→900ウォン。なお、5年前は600ウォンであったがその後段階的に引き上げられた)。
- 乗車してから一時間以内であれば、回数にかかわりなく乗り換えの際に新たに料金を請求されないことになった。
- 地下鉄1号線と共通の運賃制度を導入した。地下鉄からバスへの乗り換えは、30分以内ならバス乗車時の別途料金を請求されない。
- 交通カードが導入され、光州広域市と周辺の全羅南道各地域で共通に使用できるようになった。
ただし、既存の路線・運行体系に比べあまりに大幅・全般的な変更だったのと、事前の広報不足や利便性の減少(乗り換え回数の増加など)による影響等についての事前調査の不足などから、市民から多くの批判が寄せられた。この結果、2007年2月に再度一部を変更し、一部路線の増便や廃止された路線の一部復活などを行った。
バスの種類は以下のとおりである。
[編集] 急行幹線バス
車体色は赤。
[編集] 幹線バス
車体色は黄色。
[編集] 支線バス
車体色は緑。
[編集] 運賃の支払い・精算の方式
[編集] 貸切バス(観光バス)
[編集] 車両
基本的な構造は日本や他の国の一般的なバスと同じだが、韓国は車両は右側通行であるため、バスの出入り口も車体の右側に設けられる。なお、日本のバスのように車体後方に通常使われない非常ドアが備わっている車両は、韓国では一般的ではない。