音節
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音節(おんせつ)とは、シラブル(英語 syllable)ともいい、1個の母音を音節主音(おんせつしゅおん。英語 syllabic)とし、その母音単独で、あるいはその母音の前後に1個または複数個の子音を伴って構成する音声(群)で、音声の聞こえの一種のまとまりを言う。
目次 |
[編集] 音節の構成
[編集] 基本
音節は、一般に
- 母音(V)
- 子音+母音(CV)
- 母音+子音(VC)
- 子音+母音+子音(CVC)
のような母音を中心としたまとまりである。なお、1音節を構成する子音は母音の前後にそれぞれ複数個存在してもよいが、母音は二重母音や半母音を伴った母音のような多重母音ではあり得ても、1音節内に音節主音となる母音が複数個存在することはあり得ない。上記に例示した組み合わせの内、始めの2種のように母音で終わる音節を開音節(かいおんせつ。英語 open syllable)、後の2種のように子音で終わる音節を閉音節(へいおんせつ。英語 closed syllable)という。
言語によっては閉音節、長母音や重母音を伴う音節がその他の音節よりも時間的にやや長く発音されることがあり、この場合には長い音節を重音節(heavy syllable)、短い音節を軽音節(light syllable)という。この区別はアクセントの規則などで重要になることもある(英語、ラテン語や一部のロマンス語、アラビア語、日本語など)。日本語では、重音節が2つのモーラとして扱われる。
[編集] 音節主音的子音
また、言語によっては、母音の代わりに比較的「聞こえ度」(sonority:聞こえ易さの度合い)の高い子音を音節主音にし、それ単独で、またはその前後に1個または複数個のより「聞こえ度」の低い子音を伴って音節を構成する場合がある。このように、音節主音になり得る子音を音節主音的(syllabic)な子音という。例えば英語では、/n/、/m/、/l/である。言語によっては/ŋ/、/v/なども音節主音的な子音として用いられる。国際音声記号(IPA)では音節主音的であることは、子音の下または上に「ˌ」を書き加えて表す。
[編集] 声調言語
中国語、ベトナム語、ハウサ語など、音節声調を持つ言語においては、母音と子音の組み合わせ以外に、さらに声調が加わって一つの音節を構成する。 例えば、現代中国語(北京語)の「光」という漢字の発音の例では、ピンイン でguāng と表記されるが、音節は次のような構成となっている。
音節 | ||||
声母 | 韻母 | 声調 | ||
韻頭 | 韻腹 | 韻尾 | ||
介音 | 主母音 | 尾音 | ||
g | u | a | ng | 1(陰平声) |
音節声調には、音節内で高低が変化する声調を持つ曲線声調と、音節内での高低変化はなく、相対的な高低が定まる段位声調の2種がある。
[編集] 日本語の音節
日本語では、閉音節は「ん」(鼻母音で発音される「ん」を除く)および「っ」で終わる音節だけで、あとは開音節である。また、「ん?」、「んだ」、「ん万円」などのように「ん」が語頭にある場合は「ん」だけで1つの音節を構成し、この場合、「ん」は鼻母音に発音されない限り、即ち子音である限り「音節主音的」な子音である。 また、日本語では語末などで無声化して聞こえない母音が現れる事も多い(例えば「です」が「des」、「ました」が「mashta」のように聞こえるなど)が、モーラの上では変化はなく、あくまでも無声化した母音を伴った開音節であって、閉音節ではない。
日本語の中には関西方言のように声調言語としての特徴があり、声調を加えて音節を考えるべきものもある。
[編集] 関連項目
- モーラ
- 音数