頭蓋変形
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頭蓋変形(とうがいへんけい;cranial deformation)とは、人為的に、人間の頭の骨(頭蓋)を変形させること。形態はさまざまだが、変形を意図したものと、そうではなく幼少期のゆりかごなどの問題から変形が生じ、やがてそれが民族集団のトレードマークに変化したものなどがあるとされている。ロシアの研究者によると、後者は中央アジアの遊牧民にあてはまるという。
旧大陸では、古く紀元前2000-1000年ころに中央アジアに見られ、その後、紀元前750-500年ころに再び見られるようになる。この間に関連はないとされており、後者はフン族の侵入が関係しているという説がある。フンが使っていたゆりかごによって、フンは頭蓋が変形を生じていたが、フンの進入後、各地域で、それが逆に(階層や「民族」)「集団」を示すものにとってかわったという。
新大陸では、チリなどに古い人骨が残っており、紀元前2650年ころからの時期にすでに現れるという。このほか、メキシコなどメソアメリカでも先古典期中期段階でオアハカ地方やオルメカ文明の彫像で見られ、マヤ文明では一般的な習慣であった。
南米のものは、チチカカ湖沿岸や南海岸のものが有名で、形態も複数ある。頭を前後に挟んでつぶして細長く頭を伸ばしたものや、逆に左右に幅広くしたものなどもある。スペイン人が征服したころまでその習慣は残っており、一説では20世紀初頭までブラジルのアマゾン地域で見られたという。