馬肉
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馬肉(ばにく)はウマの肉を指す。
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[編集] 栄養
馬肉は栄養価が高く、高蛋白・低脂質、また低アレルギー性食品である。フランスでは医者が病人に対して、馬肉の食事を勧めることもある。牛豚鶏などの畜種に比べ、低コレステロール、低飽和脂肪酸、高蛋白質で、ミネラルとしても牛肉や豚肉の3倍のカルシウム、豚肉の4倍・鶏肉の10倍で、ほうれん草・ひじきより豊富な鉄分を含んでいる。さらに、牛肉の3倍以上のグリコーゲンを含み、ビタミン (A・B12・E) 、ペプチド、リノレン酸等も多く含む。(詳細は「ウマ」項目にて)
[編集] アメリカによる批判
食用のために馬を屠畜することについては、特に米国において強い批判がある。2006年9月7日、米国の下院は、食用を目的とした馬の屠畜を禁止する法案を可決した。この背景には、馬肉を食さず、産業への打撃も少ないといった国内事情がある。捕鯨問題同様の米国の文化ナショナリズムかつエスノセントリズムの顕現が見られる。
米国内では馬の食肉処理工場はテキサス州に2カ所、イリノイ州に1カ所あり、フランスとベルギーの会社が所有している。動物愛護協会によれば、全米で毎年、約9万頭分=18,000トン=6,100万ドルの馬肉が生産されている。アメリカ馬肉の主要輸入国は、フランス、ベルギー、日本などである。
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[編集] その他
基本的に馬は体温が高く、その筋肉中には寄生虫等の非常に少ない動物である。ただし内臓処理の雑な業者(海外の方が比較的安心)生産の馬肉には、交差汚染により極まれに寄生虫が存在することがある。腸内にいる種類としては葉状条虫、馬回虫、馬円虫、頚部糸状虫等がいるがいずれも人への感染報告はない。極々まれに水や全畜種に感染するクリプトスポリジウムも確認されたことはあるが、他の生肉と比すれば問題の少ない食肉といえる。
なお乗馬及び競馬に携わる人の中には馬肉を食べる事を忌避する人達が少なからずいる。しかし、競馬雑誌の競走馬の異動欄には、現役を引退する馬の異動先が記されている。地方競馬への移籍や種牡馬・繁殖入りの他に乗馬になる馬がいる。それが全て乗馬になるわけではない。それ以外にも「用途変更」という名称で姿を消す馬が相当数おり、その「用途」の中には食用もあるといわれている。実際に、廃止された上山競馬場や中津競馬場に在籍していた競走馬の末路は食肉処分だった。
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[編集] 参考文献
- 『食と文化の謎(第4章 馬は乗るものか、食べるものか)』 マーヴィン ハリス (Marvin Harris)、板橋作美 訳 岩波現代文庫 岩波書店 ISBN 4006030460