馬刺し
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馬刺し(ばさし)とは、馬の肉を薄く切り分けて生で食べる料理のことである。馬肉の刺身。
[編集] 食べられている地域
馬肉を生で食べる習慣は長野県や山梨県、東北地方(福島県会津若松市など)にもあるが、現在では熊本県が馬刺しの本場として知られている。しかし、日本で流通しているほとんどは、北米産、欧州産、あるいは生体を輸入しての国内肥育もので占められており、純国産はわずかである。
日本の馬肉輸入は、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、オーストラリア、アメリカの順であり、馬刺用馬肉では、カナダがトップである。世界では、およそ主要14カ国で毎年70万トンが生産されており、生産国は上位から
となっている。
[編集] 食べ方
馬刺しには大別して「トロ」「霜降り」と「赤身」があり、また一頭あたりから採れる量が少ないので珍重される「タテガミ刺し」「こうね(タテガミの脂)」のほか、匂いがほとんどない「レバ刺し」や「タン刺し」などもある。「トロ」と呼ばれる部分はバラ肉の極上部位であり、「霜降り」の場合は赤身に霜がふっている部分であったりする。
馬刺しは、おろしショウガやおろしニンニク、刻みネギなどを薬味に醤油につけて食べるのが一般的である。また、馬刺しや炙った馬刺しをのせた寿司もおいしく、回転寿司などでも見かけるようになった。
流通は冷凍と冷蔵の2種類で行われているが、冷凍で流通するものは風味、色合いが激しく落ちてしまう。また粗悪品として人工で霜降りの「さし」を入れて高そうに見せているものがあり、これも冷凍で流通する。人工の「さし」の場合、室温で脂分だけが先に溶け出してくる。このような理由から、冷凍より冷蔵で流通しているもののほうが信頼できる品物である確率が高い。これには、量販店で陳列棚に置いてある、不自然なほどまっすぐに太くたくさん霜降りの入ったものや、居酒屋ででてくる風味の劣るもの、ポーランドやモンゴルなどの産地のものなどが多いと言われている。