1975年のワールドシリーズ
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1975年のワールドシリーズはナショナルリーグからシンシナティ・レッズが、アメリカンリーグからはボストン・レッドソックスが出場した。ともに強打を誇る2チームが争ったこのシリーズは、歴史に残る名勝負として語り継がれている。
- シリーズMVP ピート・ローズ(レッズ)
目次 |
[編集] スコア
[編集] 第1戦
10月11日 球場 フェンウェイ・パーク
- 先発投手
- レッドソックス ルイ・ティアント
- レッズ ドン・ガレット
投手戦が続くが、7回に投手・ティアントがヒットを放つとレッドソックス打線が爆発。一気に6点を上げた。ティアントはそのままレッズを完封し、第一戦は彼の一人舞台で幕を閉じた。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 |
レッドソックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | X | 6 | 12 | 0 |
勝利投手: ルイ・ティアント (1-0) 敗戦投手: ドン・ガレット (0-1) |
[編集] 第2戦
10月12日 球場 フェンウェイ・パーク
- 先発投手
- レッドソックス ビル・リー
- レッズ ジャック・ビリンガム
この試合も投手戦となり、2対1とレッドソックスが1点リードしたまま9回表へ。レッズは主砲のMLBを代表する捕手(このポジションで唯一本塁打王を獲得している)ジョニー・ベンチが二塁打を放ち、二死三塁からデーブ・コンセプシオンの内野安打で同点に追いつく。コンセプシオンが盗塁した後、同名のスラッガーを息子に持つことになるケン・グリフィー・シニアがタイムリー二塁打を打って勝ち越しに成功。鮮やかな逆転勝ちで成績を1勝1敗のタイに戻す。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッズ | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 7 | 1 |
レッドソックス | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 7 | 0 |
勝利投手: ローリー・イーストウィック (1-0) 敗戦投手: ディック・ドレイゴ (0-1) |
[編集] 第3戦
10月14日 球場 リバーフロント・スタジアム
- 先発投手
- レッズ ゲーリー・ノーラン
- レッドソックス リック・ワイズ
ともに右肩の故障から回復した両投手が先発。その影響からか、6本ものホームランが飛び交う乱打戦となった。2回表、レッドソックスの殿堂入り捕手カールトン・フィスクが先制ソロを放つと、4回裏にはレッズの捕手ベンチが逆転2ランでお返し。5回裏には2本のホームランなどで3点を取り突き放す。レッドソックスは6回表に犠牲フライ、7回表に代打バーニー・カーボのホームランで1点ずつ取り、9回表を迎える。ここでドワイト・エバンスに同点2ランが飛び出し、延長戦へ。
10回裏、シーザー・ジェロニモがヒットを放つと、レッズは送りバントを画策する。ところがエド・アームブリスターのバントは捕手のフィスクの前に転がってしまう。フィスクはボールを取って二塁へ投げようとするが、アームブリスターとぶつかって悪送球になってしまった。ボールが転々としている間にランナーはそれぞれ二塁と三塁に到達する。守備妨害ではないかという抗議は通らず、レッドソックスは満塁策を取る。しかし一死後、この年ナ・リーグMVPのジョー・モーガンがサヨナラタイムリーを打って試合を決着させた。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | H | E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッドソックス | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 5 | 10 | 2 |
レッズ | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1X | 6 | 7 | 0 |
勝利投手: ローリー・イーストウィック (2-0) 敗戦投手: ジム・ウィロビー (0-1) | |||||||||||||
HR:レッドソックス – カールトン・フィスク(1)バーニー・カーボ(1)ドワイト・エバンス(1) レッズ – ジョニー・ベンチ (1),デーブ・コンセプシオン(1),シーザー・ジェロニモ (1) |
[編集] 第4戦
10月15日 球場 リバーフロント・スタジアム
- 先発投手
- レッズ フレッド・ノーマン
- レッドソックス ルイ・ティアント
レッズは初回、緒戦に完封負けを喫したティアントを相手に2点を先制する。しかし4回表、レッドソックスは前日本塁打を放っているエバンスのタイムリーなどで一挙に5点を挙げ、試合をひっくり返す。ティアントは直後に1点差に追い上げられるものの何とか耐え抜き、緒戦に引き続いて完投勝利を収めた。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッドソックス | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 11 | 1 |
レッズ | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 9 | 1 |
勝利投手: ルイ・ティアント (2-0) 敗戦投手: フレッド・ノーマン (0-1) |
[編集] 第5戦
10月16日 球場 リバーフロント・スタジアム
- 先発投手
- レッズ ドン・ガレット
- レッドソックス レジー・クリーブランド
レッドソックスが幸先よく初回に先制する。しかしレッズは4回裏、このシリーズ15打数無安打と絶不調に陥っていたトニー・ペレスが同点ホームラン、さらに6回裏に3ランを放ち本来の姿を取り戻す。ガレットは緒戦に続いて好投し、9回途中まで2失点。初勝利を手にし、レッズは世界一に王手をかけた。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッドソックス | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 5 | 0 | |
レッズ | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 | 1 | x | 6 | 8 | 0 | |
勝利投手: ドン・ガレット (1-1) 敗戦投手: レジー・クリーブランド (0-1) セーブ: ローリー・イーストウィック(1) | |||||||||||||
HR:レッズ トニー・ペレス(1)(2) |
[編集] 第6戦
10月21日 球場 フェンウェイ・パーク
- 先発投手
- レッドソックス ルイ・ティアント
- レッズ ゲーリー・ノーラン
ワールドシリーズの中でも屈指の名試合といわれる第6戦は、本来18日に行われるはずが長雨にたたられ21日に開催された。休養十分の両チームはともに中5日の投手が登場。レッドソックスはすでに2勝をあげているティアントが、レッズはノーランが先発した。先手を取ったのはレッドソックス。史上初の新人王とMVPを同時受賞したフレッド・リンが3ランを放ち先制する。しかしレッズは5回表にグリフィーとベンチのタイムリーで同点に追いつき、7回にジョージ・フォスターのタイムリーで勝ち越しに成功。8回にジェロニモのソロホームランで突き放し6対3とリード、ティアントをついに打ち崩す。
ところがレッドソックスはあきらめない。その裏、リンのヒットとリコ・ペトロセリの四球で無死一、二塁とする。その後二死を取られるが、第3戦で代打ホームランを打っているカーボがここでも代打で登場する。そしてレッズのストッパー・イーストウィックの速球をとらえると、打球は瞬く間にスタンドへ。起死回生の同点3ランである。9回裏、レッドソックスはまたしてもチャンスを作って無死一、三塁とし、フィスクを迎える。さすがにレッズは敬遠し、満塁策。打席にはその日当たっているリンが入る。そしてリンの打球はレフトへ上がるフライに。タッチアップするには微妙な当たりだったので、日本でもプレーした三塁コーチのドン・ジマーは「行くな、行くな」と制止した。しかし三塁ランナーのデニー・ドイルは球場の歓声で「行け、行け」と聞き間違え、ホームへ突入する。そしてレフトのフォスターの返球にあえなく刺されてあっという間に2アウトになってしまった。次打者のペトロセリもアウトになり、2試合目の延長戦に突入する。
11回表、今度はレッズにチャンスがめぐってくる。一死後、グリフィーを一塁に置いて打席にはジョー・モーガン。モーガンはライトへ大きな当たりをかっ飛ばす。しかしそれをライトのエバンスが好捕し、強肩でもって一塁へ返球する。抜けると思っていたランナーのグリフィーは俊足を飛ばしてすでに二塁を回っていたので、あえなくダブルプレーになってしまった。
そして運命の12回裏、先頭打者として打席に入ったのは四番・カールトン・フィスク。パット・ダーシーの2球目をとらえると、打球は大きな放物線を描いてフェンウェイ・パーク名物のグリーン・モンスターへ飛んでいく。飛距離は十分。しかし打球はレフト線ギリギリである。フィスクが想いを込めてフェアの側に「入れ、入れ」と手を振ると、ボールはそれが通じたかのようにレフトポールを直撃した。このときの時間は午前0時34分。こうして二日がかりの大激戦は劇的な形で幕を閉じたのだった。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | R | H | E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 14 | 0 |
レッドソックス | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1X | 7 | 10 | 1 |
勝利投手: リック・ワイズ (1-0) 敗戦投手: パット・ダーシー (0-1) | |||||||||||||||
HR:レッズ – シーザー・ジェロニモ(2) レッドソックス – フレッド・リン(1),バーニー・カーボ(2),カールトン・フィスク (2) |
[編集] 第7戦
10月22日 球場 フェンウェイ・パーク
- 先発投手
- レッドソックス ビル・リー
- レッズ ドン・ガレット
最終決戦である第7戦、先取点は前日同様レッドソックス。3回裏に3点を挙げる。対するレッズは6回表、リーの山なりのスローボールをペレスが2ランホームラン。さらに7回表、ローズのタイムリーで同点に追いつく。そのままもつれこんだ9回表、レッズはグリフィーが四球で出ると、バントと内野ゴロで二死三塁。ローズが四球でつないで、打席には前日惜しい当たりを打っているモーガンが入る。モーガンは見事にセンター前へタイムリーを放ち、ついに勝ち越しに成功する。9回裏、レッドソックスはレッズのウィル・マッケナニーの前に三者凡退に倒れ、球史に残る激闘はレッズが制した。レッドソックスに掛けられたバンビーノの呪いが解けるには29年後の2004年まで待たなければならないのである。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
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レッズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 1 | 4 | 9 | 0 | |
レッドソックス | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 2 | |
勝利投手: クレイ・キャロル (1-1) 敗戦投手: ジム・バートン(0-1) セーブ: ウィル・マッケナニー(1) | |||||||||||||
HR:レッズ トニー・ペレス(3) |
メジャーリーグ ワールドシリーズ 1903 | (1904) | 1905 | 1906 | 1907 | 1908 | 1909 |