A1リンク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
A1リンク(A1-Ring)はオーストリアのクニッテルフェルトから西へ6km行ったところにあるサーキット。かつてはエステルライヒリンク(Österreichring、オステルライヒリンクとも)と呼ばれていたが、改修後の1997年に現在の名称になった。
エステルライヒリンクは、1969年にツェルトベク飛行場からすぐ北の緑が美しい丘に造られた高速サーキットであった。丘に造られたため起伏差が大きく、オーバーテイクポイントが多い事から、ドライバーに人気が高いコースであった。しかし1987年のF1・オーストリアGPの予選中に鹿が侵入し、ステファン・ヨハンソンが運転するマクラーレンTAGポルシェと衝突する事故が発生。さらに翌日の決勝スタート直後には、ホームストレートの狭さによる多重クラッシュが立て続けに3回発生した。一連の事態を重要視したFIAは、翌年以降、安全性の問題からオーストリアGPをキャンセルする事となった。
その後サーキットの利用は減って荒れ果てていたが新たなスポンサーの出資によってようやく改修を受け、名前もA1リンク改めて1997年に再オープンを果たした。改修でサーキット自体の面白みはエステルライヒリンクに比べ減少したものの、アクセル全開率の高さ、起伏差が大きく、オーバーテイク可能なところはかつてと同様である。その年にF1・オーストリアGPの開催が復活したが、サーキットから出る騒音などの問題を巡り地元の環境保護団体から強硬な抗議が寄せられたことなどから、2003年には開催終了。その後2004年にはレッドブルが同サーキットを買収し大幅な再開発を行う計画を発表したが、前述の環境保護団体からの猛烈な反発に遭いレッドブルは計画を撤回した。2005年には州政府自身によるサーキット改修計画が浮上しているが、その後の進展は不明である。