B-Factory
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B-Factory(Bファクトリー)とは、KEK-B加速器の通称。KEK-Bファクトリーとは、高エネルギー加速器研究機構においてトリスタン実験装置のトンネルを再利用し、電子-陽電子衝突型実験装置を拡充した加速器。
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[編集] 概要
Bファクトリーとは、B中間子と反B中間子を大量に生成し、小林・益川の理論から予測される「CP対称性の破れ」を検証することを目的に開発された。トリスタン実験装置との大きな違いは、B中間子と反B中間子を大量に生成するために、加速器本体の連続運転が可能なように超伝導加速空洞を活用したこと。また、ルミノシティ(輝度)と呼ばれる値にこだわり、それによって電子・陽電子衝突の際には、大量の中間子を生成できるように設計が行われた。
トリスタン加速器において、特徴であった完全円形ではない加速器トンネルは、電子等のレプトンを加速する場合には、円周上を廻るときにシンクロトロン放射によって、エネルギーが損失することを防ぐためであった。このシンクロトロン放射を積極的に活用したのが、Spring-8加速器である。
[編集] 実験装置
電子-陽電子衝突点には、BELLE(BはB中間子、ELは電子、LEは反電子)と呼ばれる測定器が設置され、この測定器によって、数多くのB中間子・反B中間子が生成され、「CP対称性の乱れ」について検証が行われた。
この測定器は、超伝導磁石によって1.5テスラの磁場がかけられ、その磁場中を通る荷電粒子が受けるローレンツ力を測定するドリフトチャンバーと呼ばれる装置とガンマー線を測定するカロリーメータと呼ばれる装置の複合であり、他にも様々な装置の複合体である。このような大規模な装置を開発するために13ヶ国、55機関の大学院生約300人からなるチームによって行われた。大規模な装置開発研究のため、高エネルギー加速器研究機構は初めて国際共同研究のホスト役を務めることになった。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 世界最強の加速器KEKBの挑戦、総研大ジャーナル-No.2-, 2002年秋号