CPUの冷却装置
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CPUの冷却装置(れいきゃくそうち、CPUクーラー、放熱機、ヒートシンクなどとも言われている)は高温になるCPUを冷却するための装置。
現在のCPUは高密度に集積された半導体素子であり、電流を流せば(動作させれば)発熱するが、高温になると異常動作が起き、また高温になりすぎれば不可逆なダメージを受ける。そのため、CPUを正常に動作させるためには何らかの冷却方法が必要になる。
CPUの発熱量(TDP)は2006年現在までの10数年ほぼ一貫して上がり続けており、冷却装置も強化されてきた。一般に単体販売されるCPUには強制空冷式の冷却装置が付属しているが、性能の高い冷却装置もそれとは別に販売されている。
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[編集] 自然冷却
マイクロプロセッサの黎明期からおよそ80386の時代までは、専ら自然冷却に依る事が主流であった。デバイスを空気に晒し、発熱によって生ずる対流に頼って熱を放散する。また、デバイスの上に放熱性の高い金属性フィン(ヒートシンク)を取り付け、冷却の効率を上げる事も行われた。パソコンでは現在でも省電力(低発熱)のCPUに対しては、大型のフィンを取り付けて自然冷却を行い、ファンを省いて静粛性を追求する製品がある。
[編集] 強制空冷
消費電力が30W前後にのぼったi486の時代になると、自然冷却では放熱が間に合わず、ファンでおこした風を吹き付けて冷却する強制空冷が行われる様になった。CPUに放熱フィンを付けて放熱効果を高める。現在ではもっとも一般的な方式である。
[編集] 水冷
空気より熱容量の大きい水を冷却に用いる方法。CPUに水を循環させるヘッドを接触させて、熱を水で持ち去り、外部のラジエータで放散させる。大型汎用機では普及している方法だが、パソコンに用いるには仕掛けが大掛かりになり、また、メンテナンスも必要で、簡便に用いられなかった。近年は高品質のキットも販売されており、冷却性能の高さに加え、ファンによる騒音を嫌い静粛性を求める向きにも用いられる。
[編集] ペルチェ素子
ペルチェ効果を利用した薄型のヒートポンプ。CPUに接する面から熱を奪い反対の面に移動させ、併用する空冷や水冷の冷却装置によって廃熱する。素子単体では冷却装置として機能せず、併用する装置の放熱効率の向上や、外気より低い温度を作るために使用される。
パソコンではi486、Pentiumの時代に流行したが、それ自体がかなりの電力を消費し発熱すること、冷却しすぎると結露が発生するため使い勝手が悪い事、また、空冷装置の性能が上がり、ペルチェ素子に頼らなくても充分冷却出来る様になったこと等で廃れ、現在はオーバークロッカー等、一部マニアで使用されるに留まる。
[編集] ガス冷却
パソコンの筐体に小型のコンプレッサを仕込んで冷蔵庫などと同様の方式で、液体が気化する時の気化熱を利用した放熱を行うもの。マニアが自作する物のほか、これを組み入れた製品を出荷しているメーカーや、パソコンショップのショップブランド品に仕込んで販売する例もある。
水冷よりもさらに高い冷却効果を得られる反面、冷却装置そのものがそれなりに大掛かりかつ高価であり、一般的なエンドユーザーの使用環境であれば空冷でも十分なため、一般的な方式ではない。
[編集] ヒートパイプによる冷却
熱を伝える効率の高いヒートパイプを用いて、CPUの熱を他の場所に移して、そこで空冷等の手段で放散させる。レイアウトの制約が厳しいノートパソコンでCPUの熱を背面一面に伝えて放散したり、熱を側面に移して、ファンで放散させるなど。ドリームキャストやXbox360、PS3などのゲーム機でも使用されている。また、一部の空冷式の装置では、ヒートパイプと金属製フィンを組み合わせた高効率のヒートシンクを使用している。
[編集] 関連項目
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