HD 69830
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
HD 69830 はとも座に位置するスペクトル型K0Vの恒星である。海王星サイズの惑星3つ[1]と塵円盤[2]を持つことが知られている。
目次 |
[編集] 惑星系
HD 69830は太陽に似た恒星であるが、系内には木星型惑星が発見されていない。このようなタイプの惑星系としては最初に発見されたものである。発見された3つの惑星のうち最も外側にある惑星はハビタブルゾーン内にあり、液体の水が安定して存在し得る。この惑星は後述する塵円盤にとって外側の「羊飼い惑星」であると信じられている。各々の惑星の質量は地球の10、12、18倍であり、公転周期は9、32、197地球日である。惑星はチリにあるヨーロッパ南天天文台の望遠鏡を使って発見された。
惑星 | 質量 (MJ) | 軌道長半径 (AU) | 公転周期 (日) | 離心率 |
---|---|---|---|---|
b | 0.033 | 0.0785 | 8.667 ± 0.003 | 0.1 ± 0.04 |
c | 0.038 | 0.186 | 31.56 ± 0.04 | 0.13 ± 0.06 |
d | 0.058 | 0.63 | 197 ± 3 | 0.07 ± 0.07 |
[編集] 塵円盤
2005年、スピッツァー宇宙望遠鏡によって塵円盤らしきものが検出された。この円盤は後に発見された惑星cとdの間にあり、太陽系の小惑星帯にくらべ20倍もの総質量を持つと考えられている。主星からの距離は太陽系でいうと金星軌道の内側にあたる。近くの惑星からは、地球からみた黄道光の1000倍の明るさで輝いて見えるだろう。これは天の川よりも明るい。
塵円盤は冥王星サイズの彗星が重力的に軌道を乱されて恒星近くに迷い込み、構成成分が蒸発したために塵が撒き散らされて一時的に形成された可能性がある。塵円盤はカンラン石を含んでおり、ヘール・ボップ彗星と組成が似ている。しかし、超巨大彗星が恒星へ落ちていくという希少な現象が、たまたまスピッツァーによる短い観測時間で捉えられる可能性はわずかである。
[編集] 参考文献
- ^ Lovis et al. An extrasolar planetary system with three Neptune-mass planets, Nature, 18 May 2006
- ^ Beichman et al ApJ. 626, 1061, 2005