Portable Network Graphics
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![]() ![]() 上は、8ビット透明チャネルを含むPNG画像。下は、同じ画像を市松模様の背景の上に重ねたもの。市松模様は透明であることを示すためにグラフィックエディタなどでよく用いられる。 |
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拡張子: | .png |
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MIME Type: | image/png |
タイプコード: | PNGf |
UTI: | public.png |
開発者: | W3C |
種別: | 可逆圧縮ビットマップ画像 |
拡張: | APNG、JNG、MNG |
国際標準: | ISO 15948、IETF RFC 2083 |
Portable Network Graphics(ポータブル・ネットワーク・グラフィックス)はコンピュータ上で扱われる画像を格納するためのファイルフォーマットの一つ。PNGの読みは「ピング [/pɪŋ/]」が正しい[1]。ただし英語を話さないか、ネットワーク・ツールのpingとの混乱を避ける際には「ピーエヌジー」とも読まれる。
目次 |
[編集] 概説
既存の画像ファイルフォーマットであるGIFとTIFFの長所、すなわちインターネットでの流通(伝送)の効率、そしてより本格的な画像編集に耐える高度の表現力を兼ね備え、特にGIFを代替しうるフォーマットとしてインターネット上で独自に開発され、広く利用されている。
画像は256階調(8ビット)や1677万色(24ビット)などが扱え、最大280 兆色(48ビット)まで対応している。画像に付属するテキスト情報、パレット情報、αチャンネル、ガンマ値などを個別に記録できる。
もともとGIFの圧縮方式であるLZW圧縮アルゴリズムはフリーとしていて、一般的にGIFが広く利用されていた。ところが1999年頃に、米UNISYS社がLZW圧縮に関しての特許権を主張し、ライセンス料を取る方針に変更したことがPNG開発の発端となった。PNGでは特許に接触しない形で既存の技術を利用して開発されている。
アニメーション機能は持たないため、アニメーション機能を持たせたMNGも別に開発されているが、MNGはあまり普及していない。
公式にはPNGは Portable Network Graphics の略であるが、非公式には PNG is Not GIF の意味も持たされていたようである。
[編集] GIFとの比較
GIFの代替物として開発された経緯があるため、GIFと比較されることが多い。主な差異は以下の通り。
- ほとんどの画像でPNGはGIFより圧縮率が高い。
- GIFは1色透過だが、PNGはアルファチャンネルを持ち半透明の表現が可能。
- PNGはフルカラーが可能なため256色のGIFより精細な色表現が可能。
- GIFはアニメーションをサポートしているが、PNGはサポートしていない(アニメーションにはPNGの発展フォーマットであるMNG形式を用いる)。
- GIFと比較すると圧縮・展開に多少時間が掛かる(ただし前述の通り容量はGIFより小さいため、転送時間の短縮を加味すれば劣点とはならない。サーバーが動的に画像を生成するような使用法では注意を要する)。
- インターレースGIFとインターレースPNGを比較すると、インターレースPNGの方が圧縮率が低い。
[編集] ブラウザの対応
前述の特許権問題によりGIF排斥運動が起こったが、GIFは依然として広く使われている。それは主に以下の理由からである。
- 旧式のWebブラウザではPNGに対応していない。
- 広告(バナー)にはGIFアニメ(現在はFlashも使用)がよく用いられたが、PNGの仕様そのものにはアニメーション機能が含まれていないため、代替することができない(MNGは多くのブラウザで未対応である)。
- PNGの機能はweb上でフルに使われていない。例えばInternet Explorer 6及びそれ以前のバージョンは複数のアルファチャンネルに対応していない。
- Internet Explorer 4はメタデータを含む画像でクラッシュすることがある。
- 既存GIFデータの変換と、これに合わせたHTMLソースなどの修正作業に工数がかかる場合がある。
Internet Explorer はバージョン6の時点までアルファチャンネルを持つPNG画像の正確な描画に対応していなかったが、2006年11月にリリースされたバージョン7以降は、アルファチャンネルを持つPNG画像を正確に描画できるようになった。
PNGはGIFと同様な1色透過も扱え、こちらはInternet Explorer 5 でも対応している。なお、IE5.5はアルファチャンネル付きPNGを正しく表示できるActiveXプラグイン(AlphaImageLoader)を搭載しているため、この機能を使うようHTMLファイルに記述すれば表示できる。ただしIEの設定によってはアルファチャンネルとして機能せず、また他ブラウザとの互換を考えると、わざわざこの機能を利用する価値はほとんど無い。
UNISYS社の主張するLZW圧縮アルゴリズムに関する特許は、米国時間2003年6月20日をもって無効になった。PNGはLZW圧縮アルゴリズム特許の有効期間内で全てのGIFファイルを代替するには至らなかった。特許問題が事実上消失したため、「特許に抵触しないGIFを代替可能なフォーマットのひとつ」としての存在意義は消失した。
しかし、世界でも有数のWeb普及先進国である米国と日本でGIF排斥の傾向が植えつけられた為、GIFへの積極的な回帰はされていない[要出典]。
現在、PNGは「GIFを代替可能なフォーマットのひとつ」であるという見方もされる。
[編集] ファイルサイズ
正しくエンコード処理を行ってメタデータを含まないように作成したPNG画像は、同じように処理して作成したGIF画像より小さくなるはずである。しかしPNGはGIFより機能が多いため、無駄に大きなサイズになってしまわないよう気をつける必要がある。
GIFは256色に制限されているため、多くのソフトはフォーマットの変換を行うとき自動的に256色に減色して保存する。そのためフルカラーの画像をPNGとGIFに保存した場合、GIFの方がサイズが小さくなる(かわりに画質は落ちている)。GIF同様256色のPNGを作ればGIFよりサイズが小さくなるにも関わらず、PNGは256色より多い色数を利用できるため変換時に自動で減色されない場合がある。結果同じ画像をGIFにした場合よりサイズが大きくなってしまい、これによりPNGはGIFよりもサイズが大きくなるのだと誤解してしまう人が多い。
また、大量のメタデータを含んだPNGファイルと、メタデータを含まないファイルを比べるという間違いを犯すユーザーもいる。
Adobe Photoshopはバージョンによっては無駄に大きいPNGファイルを出力する場合がある。
インターレースPNGはインターレースGIFに比べ、圧縮率が低くファイルサイズが大きくなる場合が多い。また、インターレースPNGは通常のPNGより、ファイルサイズが大きくなりがちであり、注意が必要である。
PNGのファイルサイズを減らすにはPNG最適化ソフトウェアなどでPNGファイルを最適化するとよい。最適化の為のソフトウェアとしては、 OptiPNG、PNGOUT、pngrewrite、Pngcrushなどがある。また、Windows用ながらもBlastPNGのような複数の最適化ソフトウェアを一度に扱えるフロントエンドなどもある。
PNGはJPEGに取って代わるものではない。JPEGは写真の圧縮に適した非可逆圧縮方式であり、写真画像に限ってはJPEGのほうがファイルサイズが小さくなる。一方で、文字や線画などの保存はJPEGだと圧縮ノイズが目立ってしまうのでPNGのほうが適している上、ファイルサイズもかなり小さくなる。また、加工を繰り返す予定のある画像はJPEGでは劣化が進んでしまうのでPNG保存が望ましい。
[編集] 出典
[編集] 外部リンク
- PNGの公式サイト
- PNG仕様書(英語)
- なぜGIFはだめなのか(GNUプロジェクト)