UNIXマニュアル
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UNIXマニュアル(ゆにっくすマニュアル)とは、全てのUNIX系オペレーティングシステムのmanページ(UNIXマニュアルのページ)として知られる大量の電子化されたドキュメントのこと。各ページは独立した文書として構成されている。
[編集] 解説
マニュアル内のあるページを閲覧するには、以下のようなコマンドを使用する(Linuxシステムなどでの先頭は“$”)。
% man [<章番号>] <ページ名> % man [-s <章番号>] <ページ名>
シェルのプロンプトで、たとえば“% man ftp”と入力する(章番号は通常省略可能)。ページを文章内で指す場合 “ページ名(章番号)" という書き方をする(たとえば、ftp(1))。
章番号は、同じ名前のページが複数の章に存在する場合、特定のページを指定するために使う。これはたとえば、システムコールの名前とコマンドの名前などが衝突する場合に必要となる。たとえば、man(1) と man(7)、exit(1) と exit(3) などがある。
1970年代に開発されていた当時、マニュアルページシステムによる文書のオンライン化は大きな特長と考えられていた。しかし、各アプリケーションについてひとつのページという形態は複雑で大きなアプリケーションやユーザとやりとりを行うアプリケーションには合わず、グラフィックスなども使えないフォーマット機能も時代遅れになりつつある。アプリケーションが複雑化し、ユーザーが文書がないことに文句を言わないことから、manページシステムは廃れつつあり、後継のシステムが開発されつつある。
基本的には全てのUNIX系システムはmanページをサポートし続けているが、多くの場合それ以外のオンライン文書やヘルプを提供している。初期の後継システムのプロジェクトとしては、GNUプロジェクトの "info" システムがあり、これは素朴なハイパーテキストシステムであった。多くのUNIXのGUIアプリケーション(特にGNOMEやKDEの開発環境を使って作られたもの)は、ユーザー向け文書としてHTMLを採用し、HTMLビューアーをアプリケーションに内蔵することが多い。
マニュアルページはnroffのソースファイルとして格納されている。多くの man のバージョンでは最近閲覧した数ページのフォーマットされた内容をキャッシュとして保存している。マニュアルファイルのパス設定は環境変数MANPATHにて定義・指定する。このパスの通っていない場所にあるマニュアルは表示されない。また、言語設定が“ja”または“japanese”になっていない場合、日本語と英語両方のマニュアルが存在する場合に、日本語でされない可能性があるので注意が必要。
manコマンドのその他のオプションを知るには、
% man man % man 5 man
というコマンドラインを入力・実行することで表示される。
Microsoft Windowsのmanページは Elvis などを使って閲覧することができる。
[編集] マニュアルの章立て
マニュアルは一般に 8つの章に分かれており、以下のように構成されている(BSD系とLinuxでの章立て)。
章 | 内容 |
---|---|
1 | 汎用コマンド |
2 | システムコール |
3 | Cライブラリ 関数 |
4 | 特殊なファイル(主に /dev にあるデバイス) |
5 | ファイル形式とその使用法 |
6 | ゲーム |
7 | その他 |
8 | システム管理と関連コマンド |
UNIX System Vでは章番号は少し異なっている。
いくつかのシステムでは以下のような章のマニュアルもある。
章 | 内容 |
---|---|
9 | カーネル ルーチン (obsolete=旧式、廃物) |
n | Tcl/Tk キーワード |
x | X Window System |
[編集] 外部リンク
すべて英文。
- On-line UNIX manual pages
- Manual of the GNU utilities
- Unix manual(man) pages categorized
- Linux Man Pages
- FreeBSD Hypertext Man Pages (他のLinux、BSD、Unixのマニュアルも閲覧可能)
- The Manual Page Database (多くのマニュアルページのある非商用サイト)