いすゞ・エルフ
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エルフ(ELF)はいすゞ自動車が製造、販売する小型および中型トラック。嘗て乗用車、SUVを製造していた時代も含め、一貫していすゞ自動車の主力販売商品である。
海外ではNシリーズとして発売される。
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[編集] 概要
1975年にシェアトップを奪って以来、トヨタ自動車のトヨエースに代わり小型トラックの代表的存在として世間では位置づけられている。一般的なトラック同様、荷台のバリエーションによりさまざまな車種が存在する。エンジンは、ディーゼルエンジンのみならず、CNG、LPGを用いたエンジンの他、ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドカーも存在する。
かつては青が標準色だったため自家用や中小企業の車両を中心に青が多かったが後に白が標準となり、白が青を上回った。現行モデルでは17色もの色が設定されている。
[編集] 海外生産・輸出
いすゞの主力輸出商品でもあり、またタイなどの海外でも生産が行われている。
業務提携先の米国ゼネラルモーターズでは、GMCブランドで販売されている。ウクライナのボフダーン社ではエルフのプラットフォームを利用したマイクロバス「ボフダーン」が開発されており、1999年より販売している。 また、かつては韓国・セハン自動車(現:GM大宇)でも生産された事がある。
[編集] 歴史
[編集] 初代(1959-1968年)
- 1959年8月 初代モデル登場。1500㏄ガソリンエンジンのみの販売。
- 1960年3月 クラス初採用となる2000㏄ディーゼルエンジン搭載車の販売。
- 1967年8月 1.25t積モデルのライトエルフを販売開始。
[編集] 2代目(1968-1975年)
- 1968年4月 フルモデルチェンジで2代目登場。
- 1970年1月 3.5t積モデルの350登場。
- 1971年4月 1.5t積モデルの150に2000㏄ディーゼル車追加。
- 1972年4月 FF駆動のエルフマイパック登場。
- 1974年4月 小径ダブルタイヤ採用の低床フラットローの追加。
[編集] 3代目(1975-1984年)
- 1975年6月 フルモデルチェンジで3代目登場。テレビCMに渥美清を起用。ゆえに3代目は通称「寅さんエルフ」とも呼ばれている。
- 1978年9月 生産累計100万台達成。
- 1980年2月 ワイドキャブ車登場。チルトキャブが採用される。
- 1981年7月 マイナーチェンジ。フロントグリルがシルバー塗装に、ワイパーがブラック塗装になる。
[編集] 4代目(1984-1993年)
- 1984年7月 4代目登場。フォワードジャストンはこの代から設定。又ディーゼルエンジンは全車直噴化。
- 1986年12月 NAVI-5搭載車の販売開始。
- 1988年6月 生産累計200万台達成。
- 1989年9月 パートタイム4WD車販売。
- 1990年 助手席セーフティウインドウが装備され、6月にはマイナーチェンジを実施。ISUZUロゴのデザインが変更された他、ヘッドライトが角目4灯から異形タイプに変更された。
- 1991年1月 4速AT車登場。
[編集] 5代目(1993年-)
- 1993年7月 5代目登場。サイドブレーキがステッキ式からハンドブレーキに変更される。ATシフトレバーはゲート式となる。高規格救急車仕様のスーパーメディックも登場する。架装は新星工業。輸出仕様のNシリーズは経済性を優先したためこの代まで角目4灯ライトが採用されていた。
- 1995年5月 マイナーチェンジ。平成6年排出ガス規制適合のディーゼルエンジンを搭載。OEM車に日産・アトラス、日産ディーゼル・コンドル20/30/35シリーズ加わる。
- 1995年6月 生産累計300万台達成。
- 1996年 セミボンネットタイプのルートバン、エルフUT登場。日産へもアトラスMAXとしてOEM供給。(2000年生産中止)
- 1997年 マイナーチェンジ。フロントのISUZUが、エンブレムに変更。翌年モデルより、メーター部変更。CNG車、クラッチフリー車登場。
- 1999年5月 マイナーチェンジ。グリルがメタル仕様。運転席エアバッグが標準装備される。
- 2002年6月 マイナーチェンジ。4.6Lエンジン(4HG1)をコモンレール式4.8Lエンジン(4HL1)に変更。平成15年排出ガス規制適合(一部車種を除く)を機に「エルフKR」という名で発売される。一部グレードにデュアルモードMTを装備。救急車仕様のスーパーメディックが廃止される。
- 2004年5月 マイナーチェンジ。全車種にセミオートマチックトランスミッションのスムーサーEが標準設定、一部車種に機械式オートマチックトランスミッションのスムーサーE オートシフトがオプション設定される(従来のクラッチ付のマニュアルシフト車も全車にオプション設定)。OEM車にタイタンが加わり、4兄弟化する。このモデルで異形ヘッドライトがNシリーズ全モデルに採用された。
- 2004年12月特別仕様車VPを設定。
[編集] 6代目(2006年-)
- 2006年12月13日にワイドキャブ車とハイキャブ車が、2007年2月5日に標準キャブ車がそれぞれ発売された。
- 6代目ではシャーシとエンジンが一新され、キャビンについては標準キャブ車のみ5代目最終型(05モデル)のマイナーチェンジ(車内のインパネ周り・シートや外回りのエンブレムなどの変更)となったほかは一新された(CNG・LPG・ハイブリット車、輸出仕様Nシリーズについては、当分の間05モデルの継続販売)。
- 平成17年新長期排出ガス規制適合に加え、国内2~3tクラスキャブオーバー型トラック初の重量車燃費基準を達成した。また、全車種に機械式オートマチックトランスミッションのスムーサーExが標準設定された(従来のクラッチ付のマニュアルシフト車も全車種にオプション設定)。
- 05モデルは4.8リットルエンジン車が主力だったが、当代では3リッターDOHC16バルブ・コモンレール超高圧燃料噴射・インタークーラー付VGSターボ(可変容量型ターボチャージャー、ターボチャージャーはIHI製)ディーゼルエンジン車(エルフ史上初、1.5トンクラスは81kW(110PS)、2トンクラス以上は110kW(150PS))をメインに置き、4トン車クラスに5.2リッターSOHC16バルブ・コモンレール超高圧燃料噴射・インタークーラー付ターボディーゼルエンジン車(114kW(155PS))を設定している。
- 道路交通法改正で新免許制度を対応した3t未満タイプも設定している。
- 国産トラックでは初めて、イモビライザーを全車標準装備とした。
- エンジン自動停止機能及び自動再始動機能付アイドリングストップ&スタートシステムを標準装備。
- 2007年1月にはマツダ、日産ディーゼル、日産自動車へのOEM供給(標準キャブ車については同年3月上旬からOEM供給予定)も開始され、新型タイタン、新型コンドル(小型シリーズ)、新型アトラス20として発売された。
- ハイギャブ・ワイドギャブは2006年度グッドデザイン賞受賞。[1]
[編集] ラインナップ
- NHR(積載1.5t級)4×2
- NHS(積載1.5t級)4×4
- NKR(標準キャブ・ハイキャブ)4×2
- NKS(標準キャブ・ハイキャブ)4×4
- NPR(ワイドキャブ)4×2
- NPS(ワイドキャブ)4×4
- NQR(積載量4t超)日本ではフォワードジャストンの名で販売。
海外向け車ではこの3文字が"ELF"表記の変わりに書いてある。OEM車輌は形式記号先頭のNがA(日産自動車向け)、B(日産ディーゼル向け)、L(マツダ向け)となる。 平ボディ、バン、特装(ダンプ・消防車等)が設定され、積載量・架装種別・仕向地などによって2000以上の車型が存在する。CNG(MPI新長期排出ガス規制対応)、LPG、ディーゼルハイブリッドも選択可能。
[編集] エルフ100
1995年に登場したアトラス10系のOEM供給車(積載量1t級)。こちらはガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方が設定される。
[編集] 外部リンク
- ISUZU:ELF(メーカーの公式HP)
- 6代目エルフスペシャルサイト
- ISUZU N-Series