キャプテン (漫画)
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[編集] 概要
1972年2月号から『月刊少年ジャンプ』(集英社)に連載された。並行作品として同社の『週刊少年ジャンプ』に連載されていた『プレイボール』がある。
それまで主流だった、所謂熱血野球漫画と違い、現実的で、欠点も持ち合わせた等身大のキャラクターが、仲間と一緒に努力して成長していく過程をみせていくタイプのスポーツマンガを作り上げ成功した。そのため、今でもこのようなタイプのマンガ(『ホイッスル!』『おおきく振りかぶって』等)を指して、「キャプテン型漫画」と表現することがある。
第22回(昭和51年度)小学館漫画賞受賞。『週刊少年ジャンプ』としては史上初。
1970年代末から1980年代初めのアニメブーム期にはテレビスペシャルでアニメが放送されており、本作も1980年4月2日にテレビスペシャルとして単発でアニメ化。ニールセン調べで17.5%の好視聴率を獲得し、放送した日本テレビへは反響の手紙が殺到。これを受けて、8月20日に再試合を描いた新作場面30分を追加して「水曜ロードショー」の2時間枠で再放送が行なわれた。さらに、1981年の夏休みには同名の劇場アニメ映画が公開された。ファンからの反響を受けてテレビシリーズ化が決定。1983年1月10日から同年7月4日まで日本テレビ系で全26話が放送された。エイケン製作。アニメ制作にあたっては監督の出崎哲が率いるアニメ制作会社マジックバスが大きな役割を果たした。
[編集] あらすじ
野球の名門青葉学院から墨谷二中に転校してきた主人公谷口タカオは、野球部に入部しようとグランドを訪れ練習に参加しようと青葉時代のユニフォームに着替えた。そのユニフォームに気付いた野球部員は勝手に谷口をレギュラー選手だったと思いこんでしまう。しかし、谷口は2軍の補欠でレギュラー選手とは程遠い選手だった。そのことを気が弱くて言い出すことができない谷口は周囲の期待に答えるべくすさまじい影の努力で上達しキャプテンに選ばれるまでになりチームを引っ張っていくことになる。
[編集] 主要登場人物
- 谷口タカオ
- 第1次キャプテン。ポジションは三塁手、のちに投手。野球の名門青葉学院から転校してきたために皆に期待されるが、実は2軍の補欠だった。しかし父親の助けもあり影では努力を怠らず、墨二のキャプテンとなる。当初は控え目な性格からとまどいはあったもののやがてキャプテンシーに開花し、過酷なスパルタ練習で墨二を青葉学院と互角の戦いをするチームにまでに鍛え上げる。
- その「がんばる」一辺倒の思考は時にナインの反感を買う事もあるが、自ら不屈の闘志を見せることで自然に周りの人間をまとめあげてしまう。最後の試合では途中指が骨折した事をナインに隠してマウンドに立つが、これはその場にいたナインだけでなく、後に同じく試合中に怪我を負った近藤をも勇気づけるエピソードになった。
- 墨二を卒業後は墨谷高校に入学する(そこでの物語が『プレイボール』である)。
- 丸井
- 第2次キャプテン。ポジションは二塁手。持ち前の強い熱意でチームを引っ張るタイプのキャプテンだが、かなりの激情家が災いして春の全国大会で醜態を見せ、解任されそうになったこともある。同時に人情にも厚く、特に先輩の谷口を崇拝してよく彼を補佐し、また後輩には良き兄貴分として接する(ただし近藤のような上下関係に疎いタイプには容赦がない)。
- 引退後に谷口のいる墨谷高校の受験に失敗、朝日高校に入学後、秋に編入試験を受けて墨高入りした。引退後も墨谷の練習や試合にしきりに顔を出し、試合ではベンチの上からアドバイスを出していた(当初はベンチ内にいたが、監督ではない部外者と言う事で審判に注意され、以後はベンチの上から審判に分からないようにアドバイスしている)。さらには応援団の統率や対戦相手の情報を集めたりと、常に外部から墨中野球部を支え続けた。
- 長期連載のキャプテンにおいて一話から最終話まで登場し続ける唯一の人物。
- イガラシ
- 第3次キャプテン。ポジションは一通りどこでも出来るそうであるが、三塁手、二塁手、投手を主に守った。入学時から中学生離れした発言・行動が多く、言いたい事を無愛想にずげずげと言うその性格を先輩達に疎まれた。しかし谷口に見出されてからは彼の猛練習に最も積極的についていき、チームの重要なレギュラーとしてナイン達の敬意をも勝ち取った。
- エースとなった2年生時には、感情に走りがちな丸井を冷静な視点で補佐する役割も負い、キャプテンとなってからは谷口以上の猛練習をレギュラーに課し、墨中野球部を全国大会で戦えるチームに育て上げた(反面あまりの非情なスパルタぶりと選手の怪我が問題になり、春の全国大会辞退という結果も招いてしまっている)。
- 成績優秀。慎二という2才下の弟がいる。実家はラーメン店を営業している。
- 近藤茂一(こんどう・しげかず)
- 第4次キャプテン。ポジションは投手と右翼手。三塁手も一回守っている。剛速球投手で強打者だが、バントや守備などの小技が苦手で鈍足である。入部当初は図体に任せた野球技術の荒さと横柄な性格で丸井キャプテンの反感を買った。しかし彼の実力を見込んだイガラシの推挙と指導で、やがてイガラシに次ぐ墨谷のエースに成長する(だが依然大事な場面のミスや無神経な発言もあり、丸井からはよく蹴られ、チームメイトを幾度と無く激昂させている。冷静になったイガラシですらキレたことも)。
- キャプテンとなってからは、先代のキャプテンらとは違う選手層を厚くするための育成型練習をし、後輩の抜擢と面倒見のよさでチームを引っ張る。
- 一見へらへらとしたお調子者に見えるが、試合では限界を超えた投球をするなど、時に丸井すらうならせる根性を内に秘めている。運送業を営む父がノンプロで野球をしていた経験があり、近藤もよく助言を受けている。関西弁を話す。
- 原作では谷口が卒業してから入学しているので、両者が会うシーンは無いが、アニメ版ではイガラシがキャプテンの時に、球場へ谷口が応援に来た事があり、会話は無いが出会っている。なおアニメ版はイガラシがキャプテンの時に最終回となり、近藤がキャプテンの時の話は放送されていない。また、アニメ版は基本的に中学生達の演技は子役(当時)の役者が演じているこの作品にて彼のみ一線級の声優である中尾隆聖が演じているのは、彼が話す関西弁を見事に演じきれる子役がいなかったためだとも言われている。
- 佐野
- 名門青葉学院のエースピッチャー。その体つきからはにわかに信じがたい程の快速球を投げる。しかしかねて彼の存在をマークしていた谷口によって、墨谷とは互角の勝負を強いられた。
- 不敵な性格の天才肌の選手であるが、小さな体で名門野球部を支える姿には一種の華やかさがあり、また3年の夏には強力打線の丸井墨谷を相手に、9回ついにグラウンドで昏倒するまで一歩もひかない執念の投球を見せた。そのため墨谷選手に負けない読者人気があり、アニメ化の際には端整な顔立ちの下手投げ投手としてより華やかに描かれている(原作ではサル顔の上手投げ投手)。
- 青葉学院監督(部長)
- エース佐野を擁して谷口、丸井期の墨谷に立ちふさがった名門青葉学院の監督(ただし漫画では部長と呼ばれ野球部長として指揮を執っている)。勝負への執念に長けた辣腕家であり、時にスポーツマンシップにそぐわない指示をナインに出すことも辞さず、味方の応援団から野次られることもある。しかし根底では大人としての本分を忘れない人格者であり、要所要所で彼の台詞は作品の大きなアクセントとなっている。初期のキャプテンを語るに欠かせない人物。
- トレードマークは表情を隠すサングラス。なおアニメ版の声を森山周一郎が担当しており、彼がNHKの野球中継で舌禍問題を起こしたときも「さすが名門青葉の監督だ」と妙な納得をするアニメファンが存在した。
- 谷口の父
- 江戸っ子気質が服を着て歩いているような谷口の父親。野球に関してはまるで素人であるが、青葉のレギュラーと誤解され落ち込む谷口を見かね、その首根っこを掴んで猛特訓に引きずり込む。やがてそれが眠っていた谷口の並ならぬ根性を引き出すことになる。大工の腕を活かして特製のピッチングマシンを作り、谷口の影の猛練習の担い手になった。
- 井口
- 体の雄大さを生かした剛速球が持ち味の、江田川中学の投手。投手。イガラシの小学生時代の知り合いでもある。先輩に疎まれたイガラシと違い、入学すぐに弱小野球部のエースの座を獲得、谷口墨谷と戦うことになるが、イガラシが谷口へ助言を行ったことで敗れている。
- その後、左打者に弱いなどの欠点を克服、またずば抜けた実力をもって他のナインをも鍛え上げ、3年時には佐野の抜けた青葉学院に替わるライバルとして、イガラシ率いる墨谷と再度対決する事になる。アニメ版で描かれるのはこのイガラシ対井口の対決までであり、結果的に物語の最初と最後を井口との対決で締める事になった。
- 引退後はイガラシらと共に墨谷高校に進学し、谷口の後輩になる。
- 松下
- 谷口期の墨谷二中のエース。他のチームメイトと同様にイガラシのでしゃばりを快く思わず、彼を登用する谷口と度々対立する。墨谷の中心選手の一人であるが、投手としての実力はあくまで地方大会レベルであり、対青葉学院戦では「あんなスローボールでよく決勝に勝ち上がったものだ」と青葉の監督に評される。それでも打たせて取る投球でよく健闘したが、最後は本気を出した青葉学院のメッタ打ちに合い、右肩に致命傷となる打球の直撃を食らって退場、マウンドをイガラシに託した。
- プレーボールでも城東高校の控え投手として再登場。
- 小山
- 谷口、松下と同期の捕手。副キャプテンでもあり、谷口が新入部員への挨拶で上ってしまった時も代わりにしっかりと挨拶をしている。捕手で5番を打ち副キャプテンを務めていることから、谷口・イガラシ以外の中では実力のある選手のようである。
- イガラシ慎二
- イガラシの2才下の弟で、兄を追って墨谷二中の野球部に入部。顔は兄と似ているが、性格は兄とは逆で愛想良くしっかりしており、おだてに弱い丸井などとは変に相性が良い。野球センスも兄に負けず非凡なものがあり、丸井に続く墨谷の二塁手のレギュラーとして、1年時から活躍した。ナイン達からは「ジュニア」「弟はん」などと呼ばれる。
- 松尾直樹
- イガラシ、近藤期の右翼手。1年次にレギュラーに抜擢されるが、イガラシの勉学を犠牲にした猛練習が問題視されてる最中に運悪く頭部に大怪我を負ってしまい、春の大会辞退の要因となってしまう。松尾の母親は特に野球部非難の先頭に立った人物だが、後に松尾が野球を続けることを了承している(アニメ版)。
- 牧野
- 2年生時から外野手のレギュラーとして活躍し、近藤墨谷では副キャプテンを務めた。近藤とは逆にしっかり者でありよほどキャプテンに向いた人物にも思えるが、結局補佐役に回ったのはやや神経質な面をイガラシが考慮したと思われる。万事に鷹揚な近藤キャプテンや、ともすれば甘えがちになる後輩達を厳しく叱咤する役割を果たす。
[編集] 試合
[編集] 谷口キャプテン
- 夏の地区予選
- 1回戦 江田川中
- 2回戦 金成中
- 準決勝 墨田中(『プレイボール』にてのみ語られる)
- 決勝戦 青葉学院
- 夏の全国大会
- 決定戦 青葉学院
[編集] 丸井キャプテン
- 春の選抜大会
- 1回戦 港南中
- 夏の地区予選
- 4回戦 江東中
- 決勝戦 青葉学院
[編集] イガラシキャプテン
- 夏の地区予選
- 1回戦 金成中
- 決勝 江田川中
- 夏の全国大会
- 1回戦 白新中
- 準々決勝 北戸中
- 準決勝 南海中
- 決勝 和合中
[編集] 近藤キャプテン
- 春の選抜大会
- 1回戦 南ヶ浜中
- 準々決勝 富戸中
[編集] アニメ
イガラシキャプテン時代に夏の地区大会決勝戦で江田川中と対戦するまでの全26話。
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
OP:「君は何かができる」、ED:「ありがとう」 (作詞:山上路夫/作曲・編曲:木森敏之/歌:99Harmony)
[編集] キャスト
- 谷口タカオ:和栗正明
- 丸井:熊谷誠二
- イガラシ:中田光利(映画)、木村陽司(TV)
- 近藤茂一:中尾隆聖
- 松下:大見川高行
- 小山:手塚学(映画)、長谷有洋(TV)
- 加藤:西脇政敏
- 西田:松永大
- 高木:小山神
- 浅間:岩田光央
- 島田:大栗清史
- 小室:鳥海勝美
- イガラシ慎二:池田真
- 松尾:土方博一
- 番長:酒井晴人
- 佐野:安田裕司
- 青葉中の監督:森山周一郎
- 谷口の父:ハナ肇(映画)、雨森雅司(TV)
- 谷口の母:麻生美代子
[編集] 放送リスト
- キャプテン誕生
- いよいよ初試合
- 強敵! 金成中
- 結束
- 対決! 青葉学院
- ピンチ! 墨谷ナイン
- 勝利はいずれに
- 再試合決定
- キャプテンに続け!
- 谷口キャプテンの登板
- 死闘!! 9回の攻防
- 新キャプテンは誰に!
- 丸井キャプテン奮戦
- 先制2点を守れ!!
- 再起を賭けた合宿
- 連続36試合
- 墨谷快進撃
- 宿敵青葉学院
- 死闘! 18回
- 新キャプテンの初仕事
- イガラシの特訓
- めざせ! 選抜大会
- 思わぬ伏兵
- 丸井先輩の助言
- エース井口対イガラシ
- 激突! 9回裏
[編集] ネット局
- 日本テレビ - 札幌テレビ放送、テレビ岩手、宮城テレビ放送、秋田放送※、山形放送※、福島中央テレビ、テレビ新潟、テレビ信州、山梨放送※、福井放送※、静岡第一テレビ、中京テレビ放送、讀賣テレビ放送、日本海テレビジョン放送※、西日本放送、広島テレビ放送、福岡放送、テレビ長崎、熊本県民テレビ、宮崎放送※、鹿児島テレビ放送
- 無印=同時ネット ※=時差ネット
[編集] 関連事項
- 劇場版映画「キャプテン」(日本ヘラルド、1981年7月4日公開、95分、ビスタサイズ)
日本テレビ系 月曜19:00枠 | ||
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